社会人からのパイロットへの挑戦について質問です。
初めまして。私は文系学部卒でメーカーに就職し今年2年目になる男です。
 昔からパイロットに憧れる気持ちはありましたが、「憧れ」止まりで、学生時代には実際に目指そうと考えたことはありませんでした。
 しかし、社会人として過ごす中で、エアラインパイロットの職業としての素晴らしさに気づいたことや、一生をかけて挑戦し続けていけるものだと思ったことから、今は真剣にパイロットへ挑戦してみようと考えています。
 ただ、年齢の関係上、自社養成試験を受験か、自費でのライセンス取得しか道は無いようです。。
 ですので、まず自社養成での採用を目指しているのですが、2012年度の自社養成はANAのみの募集でしかも既卒者は受験時に就業していないことが条件のようで、
 仮に次回の募集が同じ条件であるとすると今勤めている会社を退職しなければなりません。
 前置きが長くなってしまいましたが、3点質問させていただきたいです。
 ・もし管理人様のお知り合いの方に同じような境遇から自社養成パイロットになられた方がいらっしゃいましたらその方の転身(?)の経緯を知りたいです。また仮に自社養成試験に不合格だった場合はどうされる予定だったのでしょうか。
 ・自費ライセンス取得からラインパイロットへの就職は険しいという話を聞くことがありますが、今後の業界動向を考えたとき採用はどうなっていくとお考えでしょうか。
 ・サラリーマンとして働いていると、上司や関係部署のご機嫌を取らなければいけなかったり、業務を進める上での申請や書類作成が無駄に多いなど、煩わしさを感じることがあります。パイロットにもそのような「サラリーマン的な煩わしさ」を感じる場面はありますか。
 同じような内容の質問に既に答えられていたら申し訳ありません。
 長文になってしまいましたが、実際は踏ん切りがつかず悩んでいます。実際にパイロットの方に質問させていただく機会はなかなかありませんのでご返答いただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
 By Mitsuさん
 回答
 Mitsuさん、ご質問ありがとうございます。
 社会人からパイロットに挑戦、とても夢がある反面、悩みは計り知れないと思います。
 さて、上の3つの質問に対してですが、順番に答えていきたいと思います。
 まずは僕の友人で社会人から自社養成パイロットになった人がいるのか。
 います。何年か前に大手航空会社の子会社が既卒者に対しても自社養成試験を行っていました。(もしかしたら今でもやっているのかな?)
 そこで私のとても仲のいい友人が採用されていますが、彼はとてもエネルギッシュな男で、何年も前からパイロットになると言っていて、自社養成試験を受け続け、落ち続け、そしてやっと内定を獲得したという人でした。
 その頃は他の会社で働いていても自社養成試験を受けることができましたので、特に受験することへの障壁はなかったものと思います。
 従って現在の全日空の自社養成試験とは話が違います。なぜ受験時点で別の会社に勤めていてはいけないのか理解に苦しみます。
 次に自費ライセンス取得からのラインパイロットへの就職についてですが、今後の業界動向を考えると、自費でのライセンサーがエアラインに就職するチャンスは増えていくと思います。
 このような記事を最近よく目にしますし、
 http://news.livedoor.com/article/detail/7236031/
 実際LCCではパイロットが全然足りていないという話をよく聞きます。
 また以前にも話したことがあるかもしれませんが、必要なパイロットの数は基本的にはそのエアラインの保有する機材の数によって決まります。
 エアラインが保有する機材の数はその路線の数によって決まります。また規模の原理を考えるとある程度拡大した方が利益が出しやすい体質となります。
 また機材繰りというエアライン独特の問題があるので、余裕があるならば機材はある程度は持っていた方がいい。
 そう考えると現在のようにLCCが乱立した状態では日本国内の飛行機の数が増え、それに伴ってパイロットの数も増えるのが自然だと思います。
 そしてLCCには自社養成を行うほど充分な資源はないでしょう。必然的に(大学生を含め)自費でライセンスを取得した人を採用したいと思うでしょう。
 ただすでに東海大などパイロットコースのある大学がいくつかでてきていますので、ライセンサーの絶対数も増えてきていることも事実です。
 パイロットと言えば自社養成か航大か自衛隊出身だったという時代はもう終わりにきているのだと思います。(そんなのはもともと日本だけだったのだと思いますが。)
 次にパイロットにサラリーマン的な煩わしさはあるのかどうか。
 これは残念ながらあります。イメージしてみて下さい。
 国際線、片道で13時間のフライト。
 狭い空間で機長と2人。初対面のこともある。
 いったい何を話せばいいのか??
 また機長もいい人ばかりではありません。
 会社でも悪名高い機長がたくさんいます。
 そんな人とフライトの時は前日から憂鬱な気分になります。
 またログブック(自分のフライト時間を記録するもの)の記入なんてとても面倒です。
 時間がずれていたら何ページも斜線と訂正印を押したりもします。
 あとサラリーマン的ではありませんが、やはり身体検査と技能審査は嫌なものです。
 こんなストレスのない生活が送れたらなーなんてしょっちゅう思っています。
 まあネガティブなことをたくさん述べましたが、やはりどんな仕事もいい面と悪い面があります。
 それでもこの仕事は最高に楽しいと思います。
 実際君が受験や自費でのライセンス取得を決断するのはとても勇気のいることだと思います。
 リスクもあります。
 どういう結果になっても自分の責任です。
 だからこそ自分の人生、自分で納得できるようにしてほしいと思います。
 またなんでも質問して下さい。
