航空業界はコロナから復活したのか?
ずいぶん時間が空いてしまったけれど、2025年度の各社決算も出てきたことだし、コロナを経て航空業界が今どうなっているのか振り返ってみようと思う。
ちなみに過去にもコロナの影響について記事を書いているので参考にしてほしい。過去に僕が言っていたことへの答え合わせができて面白いかも。
2021/10 航空業界の現状について
コロナ禍の航空会社の戦略
コロナウイルスによる航空業界への影響 2021/8月
新型コロナウイルスと今後の航空需要について
まず、国土交通省が旅客数を公表してくれている。
国内線
国際線
これを見ると令和5年(2023年)の時点で国内線はほぼコロナ前の水準に戻り、国際線も急激に回復をしている。また2024年はさらに伸びていると思うので、コロナ前の水準を超えているかもしれないと思う。
次にANA、JALの決算情報を見てみよう。
ANA IR:https://www.ana.co.jp/group/investors/irdata/summary/
JAL IR:https://www.jal.com/ja/investor/library/information/earning.html
ちょっと見にくいんだけど、コロナ前との比較をしたかったので最新の決算と同じ第1四半期の売り上げと利益で、2018年、2021年、2025年度の資料のみをプロットしている。
これを見ると両社ともにコロナ前の売り上げを越えている。
でも利益はそこまで上がっていない、もしくは2018年よりも減っている。
ちゃんと決算書を読めば理由も書いてあると思うけど、理由は円安、物価高、原油高だと思う。
航空会社は意外にも円安に弱い。
原油などはヘッジしているとはいえ、基本的に原油の取引はドルで行われるし、機体のリース料などもドル建てで値段が決められている。
だから円の価値が低くなるほど(インバウンド需要の旅客増はあるかもしれないが)、出ていくお金がそれよりも多くなってしまい、利益が上がりづらくなる。
最近は円安もちょっとずつ落ち着いてきているし、今後米利下げと日本の利上げにより状況は改善されるのかなーと期待している。
最後に、ANAとJALの利益剰余金の推移をプロットしてみた。
利益剰余金とは会社が溜め込んでいるお金のことで、これが多いほど財務的な安全性が高いと言える。
意外なことにコロナが明けた後も利益余剰金は減り続けている。
これは新機材への投資や、コロナ禍に借り入れた負債の返済が理由なのかな?と思う。
そもそも利益としてはコロナ前まではまだ戻っていないのだから当たり前なのかもしれないが。
ということで、結論としては航空業界としてはコロナを乗り越えて売り上げも戻ってきたが、円高などの他の要因もあり利益はもうちょい。
またコロナ期の借入などにより傷ついた財務状況はこれから回復させていく必要がある。