パイロット訓練と競争について意見を下さい。

BFと申します。いつも拝見いたしております。ありがとうございます。
自社養成ではありませんが、あるソースの訓練生です。
パイロットの訓練と競争/同期とのかかわりについてお考えをお聞かせいただけたらと思い、今回初めてコメントさせていただきます。
訓練においては、「ここは競争の場ではない」と教官やエアラインに勤務されている諸先輩方の多くがこのことを口にされます。これまで多くの方からこの考えの重要性を伺ってまいりました。
しかし、私はこの「競争の場ではない」というパイロットの世界での考えに訓練が始まった当初からこれまでずっと疑問を抱き、今も完全には納得できておりません。
もちろん、各個人が同期のために自らの経験、情報等を共有、教え合うことで全体のレベルアップになることは疑いがありませんし、各個人が短い訓練時間の中で経験できることには限りがあるという事実から見ても、同期間での協力というのは個人にとって非常に有益だと思います。また将来的に同期全員がパイロットとして様々な会社で仕事をすることを考えても、同期一人一人のレベルアップは航空業界全体へのプラスとも考えられるのかもしれません。
ただその一方で、自社養成ではない私たち一人がエアラインにおいてパイロットとして勤務するためには、卒業時、エアラインから採用されなければなりません。そこで競争が生まれるのもまた事実ではないでしょうか。同期に有益な情報を教えて、自分の相対的な成績、評価が下がるのは就職試験時に不利になるポイントの一つになることも考えられます。(もちろん評価軸は成績だけではありませんが。)
現在の経済情勢を反映して、各航空会社でも採用を抑えておられるところもあり、自社養成の方でない限り、就職の不安というのは皆が持っていることと思います。
非常に稚拙かつ利己的な考えに陥ってしまっているのかもしれません。
お時間がある際で構いません。
アドバイスをいただければうれしいです。
宜しくお願い致します。
By BFさん
回答
BFさん、ご質問ありがとうございます。
至極最もな意見ですね。僕もここでは「同期に敵はいない」と言ってきましたが、自社養成を想定したものでした。
君のこの質問を受けて、僕も深く考えさせられました。
確かに大学やパイロットスクールの場合については、同期が大手航空会社に受かってしまうということは自分のチャンスが減ることを意味するのかもしれません。
しかし僕の考えとしては、やはり同期は協力すべきだと思います。個人的な目線においてもです。
理由は主に2点あります。大局的な目線では上で君が言う通り協力した方がいいことは当然とします。
一つ目に、同期にライバル心を持つことはいいことですが、それが行き過ぎて自分の失敗や気づいたことを共有しないクラスができてしまうと、
クラス全体のレベルが下がります。
それには君の教官達はすぐに気づくだろうし、毎年そのソースからの受験生を見ている航空会社の検査官も気づくでしょう。
大げさかと思うかもしれませんが、それくらいレベルダウンします。
僕の会社でも雰囲気の悪いクラスがありましたが、そのクラスでは他のクラスに比べフェイル者が多かったのを記憶しています。
教官もそれを受けて、毎日のミーティングをしっかりやっているか、オブザーブに来たことがあります。
また評判というものも馬鹿になりません。
この世界は狭いので、君の教官が航空会社のパイロットや偉い人と知り合いであることは多いでしょう。
そんな中で、今年の卒業生は出来がいいよとか、逆に今年はダメだなという話が出た時に、同期みんなで損をすることになります。
君のライバルは君の同期だけではなく、もっと多くの他のソースの人たちがいます。
同期と協力してやってこなかったクラスは、協力してきたクラスに比べてフライトの試験においても大きく見劣りすると思います。
二つ目に、大手航空会社は同期と協力できるパイロットが欲しい。
どんなに優秀な人でも、一人同期から孤立していると必ず落ちていきます。
訓練を始めたばかりの頃はそれでも乗り切れるかもしれませんが、長いパイロット人生でそれを続ける人はきっとキャプテンになれないでしょう。
またこの世界の文化として、パイロットの技術は継承するものです。
それはエアラインパイロットでも重要な役職にいる人はみんなわかっています。(少なくとも僕はそう望みます)
だから大学やパイロットスクールから採用する場合も、優秀で他と協力してこなかった人よりも、能力は普通でも同期と協力することができる人を欲しいと思うでしょう。
またそもそも就職活動なんだから、能力と人格の両方が評価材料になるはずです。
回答は以上ですが、君の考えもよく理解できます。
しかし、同期と協力する方が自分へのメリットが多いと思って頑張ってほしい。