飛行機の設計思想

2011-01-28

ここでは飛行機の設計思想についてのお話をしよう。

飛行機は基本的に、壊れた時のことを考えて設計されている。
エンジンが2つある飛行機は、一つのエンジンが壊れてももう一つで飛べるようになっているし、ギアを降ろす機構が壊れたら手動でギアを降ろせるようになっている。

パイロットでもそうだ。
機長が心臓発作で倒れた場合にも、副操縦士だけで安全にフライトできる。

これは前章で述べたことに関係するのだが、この理由は、飛行機は止まれないことに起因している。
車のように、『エンジンが調子が悪いからちょっと路肩に止めて調べてみるか』ってわけにはいかないのである。
だから発想を切り替えて、『機械は壊れるものだ』と思いきって、『壊れても問題ないシステム』を作り上げたわけだ。このような設計思想を、『フェイルセーフ』という。

分かるだろうか?こんなにも飛行機には安全に対する防御策が施されているのだ。
オートパイロットもそうだ。今の制御技術は途方もなく進化している。

UAVってものをご存知だろうか?UAV: Unmanned Airborne Vehicleの略で、人間が乗らなくても、いや操縦しなくても自動で飛んで自動で降りてくる。
障害物があったら避けてくれる。

この記事はもともと2011年のものなんだけど、2021年現在、ドローンが一般的に普及して、個人でも持つことができるようになった。技術の進歩ってほんとに早いよな。

そんなすばらしい技術が発達してきているが、パイロットの仕事がなくなることはない。
理由はもうお解かりだろう。フェイルセーフのためだ。この世界では、常に『それが壊れたら?』ってことを考えていなければならない。自動操縦が壊れてしまったらおしまいです、じゃお話にならないってわけだ。

今は2人でコックピットオペレーションが行われているけれど、将来的に1人になることはあるのかなと個人的には思う。でもゼロになるハードルはかなり高いだろう。

もっと色々知りたい人はこういうのから読んでみるといいだろう。

専門的な学術書は多いんだけど、広く浅く網羅した本って意外と少ないんだな。