飛行機の操縦は常にエネルギーを意識する。
飛行機の操縦において、高度と速度を指定されることは多い。例えば、『ここでは10000ftの高度を200ktで飛ぶ』という要求が出てくることがあるが、これをあわせるのが非常に難しい。その理由が、上にあるエネルギーだ。
『エネルギー保存の法則』って知ってるかな?
かのアイザック・ニュートン大先生が見つけ出した運動方程式から導かれる物理法則だな。
高校物理の知識だが、知らない人も多いだろう。今日は物理の授業をする。もちろん君が小学生でもわかるように説明するから、読んでくれ。
ちなみに僕はよく小学生小学生って言ってるけど、別に人を馬鹿にしてるわけじゃないよ。
むしろ、本当に若い人に飛行機について理解してもらいたい。君らが大人になった時に航空宇宙工学の専門家になってくれたら最高に嬉しいし、少なくとも飛行機を身近に感じてほしい。
まあ本題に戻ろうか。エネルギーって概念を知っているかな?
これって人間の感覚では理解するのが難しいと思う。目に見えないからね。
じゃあ力って何かわかるかな?
力ならわかりやすいよ。感じることができる。その辺にあるものを手で押してみればいい。
手にぎゅっと重さを感じるよね。それが力だ。力があれば、ものを動かす=速度を与えることができるし、ものを持ち上げることができる。
じゃあエネルギーは?
エネルギーは、その『力を生み出すもと』になるものだ。
どんなエネルギーがあるのかというと、いろんな形でエネルギーは存在する。
例えば熱エネルギー、電気エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーなんかがある。
飛行機の操縦で重要なのが、最後の二つ、運動エネルギーと位置エネルギーだ。
まずこれら二つの説明をしよう。
運動エネルギーっていうのは、運動している(速度を持っている)物体が持っているエネルギーのことだ。
難しく考える必要はない。動いている物体がほかの何かにぶつかったら、そこには力が生まれるよな?じゃあエネルギーを持っていることになる。そのエネルギーを運動エネルギーって呼んでるだけだ。
ちなみにエネルギーの量は数学で表すことができて、運動エネルギーをKとすると、物体の重さをm、速度をvとすると
K = 1/2 mv2
と表すことができる。まあ数式を深く考える必要はない。
次に位置エネルギーってのは、物体が高いところにあったらエネルギーを持っていることになる。なんでか分かるかな?
高いところにものがあったら、その物質をそこから落とすだけで速度をつけることができるよな?つまりすぐにでも運動エネルギーを得られるわけだ。
だから高いところにあるだけでエネルギーを持っていることになる。こういうわけで潜在エネルギーともいう。
潜在エネルギーも数式で表せる。潜在エネルギーP、物体の重さm、物体のある高さをhとすると、
P = mgh
と表すことができる。gって何だ?これは重力加速度といって、地球の重力を表していると思ってくれればいい。まあ重力が弱い月なんかではこのgが小さくなるので、位置エネルギーは小さくなるというわけだ。
ここまではいいかな?運動エネルギーと位置エネルギー。
今日はここまでにしよう。エネルギーという概念と、この二つのエネルギーだけ覚えてくれればいい。