パイロットとマニアの違い

初めまして。
明けましておめでとうございます。いつも拝見しております。
突然ですが、現役パイロットの方にしかできない質問ですので、ご容赦ください。
先日、TVでANA社員とANAマニアが対決をする、という内容の番組が放送されていましたが、管理人さんはご覧になりましたか?
内容は、お互いにANAや航空機に関する知識を、お互いにクイズで出し合う、というものでした。
社員の方もマニアの方も、広い知識を持っており、優秀でどちらもANAが好きなんだな、という印象を持ちました。しかし、両者の間には何か違いがある、と考えました。
そこで質問なのですが、管理人さんが考えるパイロット(もしくは社員)とマニアの違いは何でしょうか?
パイロットの方の考え方に興味があるので、よろしくお願いします。
By 飛さん
回答
飛さん、ご質問ありがとうございます。
正月にしてくれた質問に、回答がこんなに遅くなってしまい申し訳ない。
質問してくれた順番に回答しています。遅くなっても必ず回答するので、待ってくれている方は辛抱強く待っていて下さい。
さて、質問の中のテレビ番組ですが、もちろん僕も見ました。
パイロットはもちろん、マニアの方もものすごい知識を持っていて、とても楽しかったですね。
ではパイロットとマニアとは何が違うのか、そういう疑問が出てくるのは至極当然なのかもしれません。
いや実はこれはとてもいい質問で、事業用操縦士の口述試験では
「君はこれからプロになるわけだけど、アマチュアパイロットとプロパイロットの違いは何かな?」
なんて聞かれることがあります。
今回はプロパイロットとマニアの違いについて考えてみましょう。
プロとマニアの一番大きな違いは何かな?ちょっと考えてから読み進めてほしい。
それは、責任だと思います。
僕は精神論を語っているわけではないよ、これによってパイロットとマニアの知識が異なってくる。
マニアは「自分の知りたいこと」を勉強すればいいけど、プロパイロットは「安全運航のために知らなければいけないこと」を勉強しなければならない。
つまり、飛行機が大好きなマニアの人は飛行機の構造(システム)や、飛行機が飛ぶ仕組み(航空力学)、世界にどんな飛行機があるのかなんてことを勉強し、
プロパイロットにも負けないくらいの知識を身につけるかもしれない。
またエアラインそのものや、空港ってものに興味を持つマニアの方は、世界にどんな航空会社があって、どの路線をどの機種で飛ばしていて、あそこは搭乗率が高いけど意外と赤字なんだよとか、どこどこの空港のラウンジはとても綺麗で…なんてこともめちゃくちゃ詳しかったりします。これも、航空会社の社員以上の知識を持っている人は珍しくないでしょう。
じゃあパイロットはどうだろう?
お客さんの命を預かって飛ぶパイロットは、自分が興味のあることよりも、パイロットとして知らなければならないことを知っていなければならない。
飛行機のシステムや航空力学はもちろん、例えそれが面白くなくても航空法も勉強しなきゃならないし、管制通信の方法、英語も必要だ。
でも逆にマニアのように、自分の就航していない空港については知っている必要はないし、自分がライセンスを持っている飛行機でない飛行機のシステムがどうなっているのか(ある程度を除いて)知らなくてもいい。
またあまりエアラインの教育では行われないけど、海に漂着した時のために体を冷やさないサバイバル法なんかも知っていた方がいいかもしれない。
このように、プロパイロットは安全運航のために必要な知識をすべて身につけます。必要のない知識は趣味の範囲です。
だから質問にあるような番組でパイロットが負けることは当然あり得るし、パイロットがなりふり構わず超難問をぶつければパイロットが楽勝ということにもなるでしょう。
気楽な質問でしたが、とても核心をついたいい質問です。
パイロットを目指すならば、嫌なことも勉強しなけりゃならない。
一度深く考えてみて下さい。