ストールという現象

2011-03-18

本来、自然の摂理ってのは美しくできてる。美しい飛行機の方がよく飛ぶし、『不連続な現象』ってのはあまりないものだ。

でもごくまれに存在するこの不連続な現象が、大きな危険を呼ぶ。みんながよく知ってるブラックホール。これもその一例だし、『衝撃波』ってものもそうだ。

冒頭を読んで、??って思った人は多いんじゃないだろうか。

あるいは理工学系の学生なら飛びつきたくなるようなテーマだよな。

『不連続な現象』

普通は、自然現象ってのは連続なんだ。例えば、車。自然じゃないが、まあ解り易い例だから。

アクセルを踏む。 ⇒ スピードがあがる。
当たり前だよな?

さらに強くアクセルを踏む ⇒ スピードがもっとあがる。
これは『連続した現象』だ。

じゃあ『不連続な現象』ってのはその逆。

上の車の例で言えば
もっともっとアクセルを強く踏んでいったら、急になぜか車が減速する。しかも急激に。
こういうのを不連続な現象という。まあ僕の言葉だけど。こういう現象はもちろん嫌なものなんだが、学術的には非常に面白い。もちろん、車じゃそんなことはありえないよ。

でも、飛行機ではそんなことが起こってしまう。それが『ストール』(失速ともいう)だ。

前回の記事:エルロンの働きで揚力係数曲線ってのが出てきたよな?
あれで曲線が右上で折れ曲がっていることに気づいたと思うが、前回は無視してくれとお願いした。

あれだ。あの折れ曲がりが実はくせものなんだ。見てくれ。
エルロン_揚力係数曲線
この図から言えることは、『迎え角を上げていけば行く程揚力は増えるが、ある一定の迎え角を越えると、揚力が減ってしまう』ってことなんだ。わかるかな?大丈夫、次の図を見てくれ。

ストール
一番左の飛行機の写真から見てくれ。これが普通の状態。これからだんだん迎え角を上げていく。一つ右上の写真だ。傾きがちょっと急になったよな?これで揚力が増える。

だからパイロットは高度をてっとり早くほしい時は操縦桿を引くんだ。すると揚力が上がって高度があがる。

でも、そうやって操縦桿を引きすぎると…わかったかな?ストールする。

ストールすると、揚力がガクッと減るから、飛行機を支えきれずに高度がぐっと落ちる。これはこわいよな。

さらに、もっと嫌なことに、ストールすると、飛行機は操縦不能になる。一時的に。
それについては次回。