パイロットの今後の年収について質問です。

先日はお忙しい中回答いただきありがとうございます。
パイロットの今後の年収について2つ質問があります。
今現在、パイロットの平均年収は1000万を超え、高給な職業だと思います。私の勝手な予想ですが、今後は旅客機のハイテク化が進み、より簡単な操縦になり、旅客機のパイロットも2人ではなく1人での操縦になるのではないかと思います。
そのようなことがあると今後のパイロットの年収は下がっていく一方でしょうか?また下がるとしたらどの程度まで下がるでしょうか?
By 浪漫飛行さん
回答
浪漫飛行さん、いつも質問ありがとうございます。
パイロットの今後の年収について。それは僕も非常に気になるところですね。
先日もJALが大幅なパイロットの給料のベースアップを発表しました。
それは会社の再建のために下がった給料をまたあげたというものだと思いますが、じゃあ君の言うようにもっと遠い将来、パイロットの給料はどうなっていくのか、ちょっとまじめに考えてみたいと思います。
まず短期的な話をすると、パイロットの給料は上がるのではないかと思っています。
それは単純に需要と供給の関係で、パイロットが不足しているというのならば、当然君がパイロットだったとして給料のいい会社の方が魅力的ですよね。良い給料を提示しなければパイロットを確保できない、または他社に引き抜かれてしまう、そういう状況では給料は上がります。JALも他社へのパイロットの流出が激しく、今回ベースアップを決めました。
これからエアアジアの運航が始まるし、少し前から飛び出したLCCがさらに拡大する中でパイロットがさらに必要になり、需要は大きくなります。
それに対して供給の方はどうなんだろう?実際のところ、最近は大学の操縦学科の出現により供給数は大幅に増えてきているので、若い副操縦士の供給数は大きくなりますね。
拡大する会社が年に何人必要とするか、航空大や操縦学科、自費取得により新たにパイロットになる人が年間何人いるか、よくわかりませんが、なんとなく数をイメージしてみると副操縦士は供給数の方が多い気がしますね。給料下がるのかな?
でも、機長はそんな風には増やせません。早いところでは5-6年、大手では10年前後副操縦士として経験を積んでからじゃないとなれないので、機長の供給数は今までとほぼ同じ。
だったら機長の給料は上がるのかな?
次に君が言う旅客機のハイテク化によってパイロットの給料が下がるのかという視点ですね。
運航(操縦)が簡単になるとパイロットの給料は下がるのかな?
そもそも、なんでパイロットの給料は地上職の人と比べて多いんだろう?
まあ僕の持論ですが、別に操縦が他の仕事と比べて難しいわけでもないというか、そんなジャンルの違うことは比べようがないのだから、仕事が簡単 or 難しいの話ではないと思います。
もちろん乗務手当や、責任にたいする報酬という側面で給料が多いというところはありますが。
じゃあなんで地上職に比べて給料が高いのかというと、やはり需要と供給の関係ではないかと思います。
基本的に航空会社は路線の数に対して飛行機の保有数が決まり、飛行機1機につき例えば副操縦士5人、機長5人必要とか、そんな風に必要なパイロットの数は決まっています。
つまり100機飛行機を保有する航空会社は副操縦士500人、機長500人必要ということになります。もちろん、航空会社や短距離、長距離路線によってその数は変わりますが、イメージとしてはそういう風に決まります。
だから、新たにLCCなんかが現れると、必要なパイロットをどこからか(まあ他社からですよね)引き抜いてくる必要があります。
逆に自社のパイロットがごそっと他社に引き抜かれたりしたら、時刻表に乗っている便を維持できなくなります。一昨年前くらいにいくつかのLCCでそんなことがありましたよね。
つまり、パイロットは他の地上職の職員と比べて、他から引き抜かれた時に即運航に影響が出ます。地上職職員であれば例えめちゃくちゃ優秀な人であったとしても、引き抜かれてすぐに飛行機が止まるということはないですよね。それに加えてパイロットは日本、世界的に数として足りていないということが給料が高い主な理由だと思います。
だから飛行機がハイテク化して運航が簡単になったとしても、その給料にはたいして影響はないんじゃないかと思います。
むしろ今の政策はそうなっていますが、長期的な話として、パイロットの養成をガンガン国をあげてやっていって、パイロットの数が必要数に比べて多くなってくれば、パイロットの給料も下がってくると思います。
じゃあそれはいつ、いくらにまで?という話になると、、わかりません。
どこかに現在のパイロットの数と、今のペースだと年間養成されるだろうパイロットの数をグラフにしてみて、また日本(世界?)単位で必要とされるだろうパイロットの数(そんなデータが航空政策とか、どこかにあるかもしれませんね。)をなんとなく計算してみて、何年後かにパイロットが余ってくるところで給料が下がり始める可能性があるかもしれません。
しかし、機長と副操縦士は別で考えるべきだし、また給料を下げるという話になると組合ともめて、、となるのは明らかなので、まあ正確に予測するのは難しいですね。
またパイロットが1人になると、という話ですが、遠い将来にそういうことはあり得ると思いますが、今のところボーイングやエアバスがそんな旅客機を設計しているという話も聞かないし、航空政策としてそんな方向にあるという話も聞いたことがありません。短距離のプロペラ機などではパイロットが一人で運航してもいい飛行機がありますが、どうなんだろう。
僕があと30年飛べるとして、その間にコックピットが一人になるとは今の僕の感覚では思えませんね。
ジャーマンウイングスの事故(パイロットが意図的に墜落させた)を考えてみても、そういう話にはしばらくならないのではないかと思います。
以上、まあ僕の偏見でなんとなく考えてみただけです。何か違うアイデアがあれば遠慮なくまたコメントして下さい。