入社時の視力の屈折度の基準が各会社で異なることについて質問です。
はじめまして
僕は最近パイロットになりたいと思い始めた高校生です。
最近、パイロットになる方法を調べたところ、自社養成、航空大学校、私立大学パイロットコース、自費ライセンス取得などの方法があると知り、僕は普通大学に進学してから自社養成と航空大学校の受験をしようと思っています。
パイロットという職業に就くためには努力だけではどうしようもない部分があることは承知しているので、大学はパイロット以外の道も視野に入れて選ぼうと思っています。
紹介が少し長くなってしまいました。申し訳ありません。
本題ですが、僕が管理人さんにお聞きしたいのは各航空会社社が設定している航空身体検査の基準についてです。
僕は目がとても悪く、視力は左右とも裸眼で0.1程度で現在使用している眼鏡のジオプトリーは両眼とも-5です。
矯正視力は両眼で1.2程度です。
各航空会社の自社養成の基準を調べたところ、ANAが-8〜+8、JALが-6〜+2、peachが-5.5〜+4.5と航空会社によってバラバラでした。
ANAは少し余裕があるみたいですが、JALやpeachは僕のジオプトリーはかなりギリギリでした。
なぜこれらの数値は航空会社によってバラバラなのでしょうか?
また、現役のパイロットの方が受ける航空身体検査は自社養成の基準よりも緩いのでしょうか?
僕はかなりギリギリなので身体検査に引っかからないか心配です。
長くなってしまい申し訳ありません
どうかよろしくお願い致します
By エビFlyさん
回答
エビFlyさん、ご質問ありがとうございます。
いいネーミングですね、僕も一番好きな食べ物はエビフライです。
エビフライって美味しいお店を探すのがすごく難しいなーと感じていて、都内にあるエビフライが有名な洋食屋さんをいくつか回りましたが、いまいち『これだ!』ってものを見つけられていません。
おすすめのお店があったらぜひ教えてください。
どうでもいい話は置いといて、本題ですね。
なんで航空会社によって眼の検査でレンズの屈折度にばらつきがあるのか。
僕もこれは正直不思議に思っていたことです。
はっきりとした理由はわかりませんが、考えてみましょう。
まず、国の定める航空身体検査の屈折度の基準は
『各眼について、各レンズの屈折度が(±)8ジオプトリーを超えない範囲の常用眼鏡により0.7以上に矯正することができること。』
とされています。
エビFlyさんが調べてくれたところによると
ANAが-8〜+8、JALが-6〜+2、peachが-5.5〜+4.5
ということでしたね。
ANAは国の基準と一致しています。
JALとPeachが厳しめにしていますが、+側に厳しくなっていることが気になりますね。
WEBで探してみたところ、近視に対しては『ー』の屈折度、遠視に対しては『+』の屈折度を使うということです。
出典:視力相談室eyeland
つまり、いずれの会社も、遠視に対して厳しくしているということですね。
じゃあ遠視の何が問題なのかということですが、こんな記述を見つけました。
『個人差がありますが、遠視の方は近くを見るのに必要な調節力が多いために、老眼を早く感じる傾向にあります。』出典:老眼鏡ペーパーグラス専門店
ちょっと情報の真偽に責任は持てませんが、遠視の方が年取った時に早く老眼になってしまうかもしれないということで、遠視側の屈折度を厳しくしているのかもしれませんね。
→専門家に非常に参考になるコメントをいただきました。コメント欄まで読んでください。
度数0Dが5mでの視力測定を前提としていること、またピントを合わせるために必要な調節力が遠視と近視で違うので、厳しくなるということでしょうか。(あってるかな?)
さらに遠視は成長とともに一般的に軽くなり、近視は進行していくことが多いようです。うーん、、複雑ですね。
近視は遠くが見づらい。
遠視は近くが見づらい。
老眼は眼のピント調節機能が衰えて、手元のものが見えづらくなること。
のようです。
パイロットとして飛んでいる人は国の基準である ± 8ジオプトリーが基準になりますが、航空会社の採用ではその人が今後さらに目が悪くなっても飛び続けられるように入社時には厳しくしています。
JALが異常に厳しくしているように感じますが、それだけ将来の衰えを危惧しているってことなのかな?
いずれにせよ採用段階でその会社の基準を満たしているのであれば、それで採用に悪い影響を与えるとは考えづらいと思います。そもそも余裕をもって採用基準を設定しているのにさらにその余裕…なんてやり出すと訳がわかんなくなっちゃいますよね。逆に余裕を設定していないANAは現場の医師の裁量で余裕を持たせているかもしれません。推測ですが。
さらにエビFlyさんは近視なのかな?であればさらに余裕がありますね。
以上、最後にですが、君が言うようにパイロットになれなかった場合のことをちゃんと考えて置くのは僕は大事なことだと思います。
これから大学に入るのかな?楽しい大学生活にしてください。
ディスカッション
コメント一覧
エビFlyさん
>また、現役のパイロットの方が受ける航空身体検査は自社養成の基準よりも緩いのでしょうか?
パイロットとしての資格を得るための航空身体検査の基準に、パイロット受験生も現役パイロットも差がありません。あくまでも就職後に度が進んでも航空身体検査をクリアできるように受験時には余裕も持っているだけです。
管理人さん
>『個人差がありますが、遠視の方は近くを見るのに必要な調節力が多いために、老眼を早く感じる傾向にあります。』
ですが、乱視は置いといて
遠視(+)、正視(0)、近視(-)と分かれますが、
遠視は遠くが見えるのではなく、遠くも近くもどこにもピントが合っていない状態です。
ただ、正視の度数0Dというのが、5mでの視力測定を前提としているので、軽度の遠視+0.5Dとかでしたら遙か遠くというのは正視の0Dよりも見やすくなります。ただ、調節力があると、遠視の場合でも調節することによって、若ければ+2Dから-2Dへの4Dぐらい調節して50cmぐらいの距離でもピントを合わせて見ると言うこともできます。
反対に近視は遠くは見えません。近視の度数に応じてピントが合う一番遠くの位置(5mよりも近くになります)から調節力の範囲で近くが見えます。
その意味で調節を始める基準位置が違うので、
+1Dの遠視の人は、50cmの-2Dの距離を見るのに、3D調節が必要ですが、
-1Dの近視の人は、50cmの-2Dの距離を見るのに、1Dしか調節が必要ありません。
そう言った意味では、この記事は、裸眼での比較としては正しいのですが、眼鏡装用すれば、眼鏡によって遠視も近視も正視に出来る訳なのでこの問題は解決するので、調節力が問題なのでしたら別の要因です。
https://twitter.com/ortkokushi_bot/status/836138394514161664
の図にあるように、
屈折異常があると、眼鏡装用時の近見時に必要な調節力は、近視の場合より遠視の方がより大きくなります。老眼が進んでくると遠視が強いほど、眼鏡をかけても近くが見えにくくなるのが早くなります。
航空身体検査では、眼鏡での検査を求められます。これは、コンタクトは必ずしもいつも装用できる物ではないからです。
ちなみに、遠視は成長と共に一般的に軽くなります。ですから遠視度数が進んでいって航空身体検査にかかるということは通常考えられませんので遠視方向の余裕は必要ないです。勿論元々遠視の方にとっては基準が緩いに越したことはないですが。
反対に近視は成長と共に進行していくことが多いです。(通常はある程度の所で止まりますが、最近はスマホ近視などでひどくなる方もいますが)
ですから、近視方向には、より余裕を持たせておかないと検査基準をクリアできなくなります。そのために、遠視よりも近視の方が基準が緩くなっているのかな?
>息子をパイロットにしたい眼科医さん
非常に参考になるコメントありがとうございます。間違っていた部分を訂正しました。
遠視の方がメガネ着用時に必要な調節力が多くなるので、歳をとってもメガネをつけても近くが見えにくくなってしまうということですか。
裸眼の状態の話よりも、メガネをつけていても見えなくなるってことの方が実際の生活、フライトでは問題になりそうですね。
そして一方で成長して進行するのは近視であると。
勉強になりました。
個人的な雑談ですが、僕も入社時の航空身体検査では裸眼で基準内ですが、今はメガネなしでは身体検査に通りません。
しかし日常生活ではまだメガネが必要ないので、フライト中のみメガネをかける、ということになっています。
意外とそういう人は多いのですが、予備眼鏡も必要になるのでフライトバッグに2つもメガネを入れておかなければなりません。
審査の時はそのうち一つでも忘れてきたら不合格です。
おまけにサングラスにこだわろうにも、いいサングラスが欲しくてもレンズを度付きに交換するので、なんだかもったいない気分になります。
ほんと眼は大切ですね。
管理人さん
だいたいそのような理解で良いかと思いますが、実際には幼少時の弱視で受診されるお子様以外で、+5Dを越えるような大人の遠視の眼鏡処方をする機会ってほとんどないですね。老眼鏡は、年齢相応の老眼度数に遠視度数を足した物になるので。70歳ぐらいの方が、30cmあたりを見るのに、正視なら+3Dでよいのが、+5Dの遠視があれば、+3+5D=+8Dのレンズを掛けないと30cmが見えないと言うことになります。
高齢になると老眼で近くが見えにくくなるので遠近レンズにすると思いますが、航空身体検査では、1つのメガネで、遠方視力だけでなく中・近の視力もクリアしないといけないので大変ですね。まだ調節力が残っている内は、あえて遠近レンズにせず、近視度数を軽めに作るという手もありますが。
雑談のメガネの予備は高くつくので困りますね。
2つ一緒に変えないといけないですから。
ただ、同じ度数にしないといけないわけではなく両方とも視力基準をクリアしたメガネならOKですから、常用を軽めに作って、予備を完全矯正ぐらいにしておくと、交換する際に1つずつの更新で済むかも?
息子をパイロットにしたい眼科医さん
ありがとうございます。
>ただ、同じ度数にしないといけないわけではなく両方とも視力基準をクリアしたメガネならOKですから、常用を軽めに作って、予備を完全矯正ぐらいにしておくと、交換する際に1つずつの更新で済むかも?
実は僕もそのようにしています。予備は過去に一度も使ったことがないので、それくらいがちょうどいい気がします。
日中はめちゃくちゃ眩しいので、メガネは夜間か分厚い雲の中にいる時しか使いません。
一度常用メガネを調光レンズにしてみれば荷物が減るかな?と思い試しましたが、眩しすぎて調光レンズくらいの遮光ではどうにもなりませんでした。
パイロットは脇に自分のカバンを置いてフライトをしますが、このカバンの使い勝手が悪いとフライトがし辛くなるのでカバン選びはみんな試行錯誤していて、面白いものです。
日中に雲の上からアプローチをしていて、目的地は雨だったりするとどこかでサングラスからメガネに掛け替える必要があるわけですが、この時にメガネが取れない!ってなるとすごいストレスなんですよね。
雑談でした。
でも、あまり軽くしていると、暗いところでは見えにくくなります。
これは、暗いところではコントラストが悪いこともありますが、瞳孔が散大することにより、被写界深度が浅くなってピントの合う範囲が狭くなるんですよね。
ですから、度が軽いと明るいところだったら見えた距離でも見えにくくなりますので注意が必要です。
ですので、予備の方がよりはっきり見える方が無難でしょうね。
メダルラッシュの東京オリンピックもいよいよ閉幕が近づきましたが、卓球で金メダルを取った水谷隼選手が引退されるそうですね。有終の美を飾ったとはいえ残念の話です。
事実関係はわかりませんが、ネット上の噂では、以前受けたレーシック手術の合併症で、見えにくくなったことが原因とか。
パイロットの航空身体検査でも、レーシックは認められているものの、視力が出るだけでは不可で、グレアテストなどいくつかの合併症がないかの検査があってそれもパスしないといけません。
特にパイロットになろうという方で近視が強いと、度数制限があるためにどうしてもレーシックも考えると思いますが、度数が強いだけに度の軽い方よりも深く削るために合併症が出る可能性も高く、安易にレーシックをして合併症が出ると後の祭り。今一度、レーシックの前によく考えてましょう。
息子をパイロットにしたい眼科医さん
情報ありがとうございます。
やはりレーシックのリスクはありますか。
僕も将来やってもいいかもと漠然と思っていましたが、安易に選択できませんね。