コロナ禍の航空会社の戦略

コロナウイルスによって航空業界は壊滅的な状況になっていたけれど、3月に入ってからは乗務していて旅客が増えてきたように思う。

感覚的にだけど、以前は座席数100に対して20〜30%程度だったのが、今月に入ってからは50〜70%くらい埋まるようになってきた。

でもだから危機は脱したのかなって考えるのは錯覚で、いずれの航空会社も減便しているので、絶対数としての旅客数は減っていて、会社としての赤字幅がどうなっているのかは全く別の話になる。

まずよく『減便』というけどこれはどういうことかというと、例えば羽田ー沖縄線を見てみて、一日に往復1000人ずつの需要があるとして(わかりやすくしているだけで本当はもっとある)、100人乗りの飛行機を10往復させれば最も効率よく、旅客を運べて、航空会社も利益が出ることになる。

これがコロナによって1日の需要が200人程度になってしまったとすると、同じスケジュールで飛行機を10往復させると1便当たり20人しか乗らないことになるので、100席ある飛行機の80席は空席ということになり、航空会社は大赤字になる。当たり前すぎるけど。だから減便して、半分の5往復とかにして、少しでも傷を浅くしようと努力する。理想的には1日2往復にして満席で飛ばせれば旅客が減った中での利益を最大化できるけど、そもそも旅客数を正確に読むのは不可能だし、乗りたい時間帯が旅客によって違うし、減らした分のお客さんが他社に流れて行ってしまうこともあるし、難しいわけだ。

現状でネットニュースによると、2021年3月の減便率はANAが42%、JALは49%を減便するようだ。

飛行機は重くなるほど同じ路線であっても使う燃料が増えるんだけど、お客さんから頂ける運賃ほどは変動しないので、飛行機が満席に近いほど航空会社の利益は増えるし、飛行機を空で飛ばすほど利益は減って赤字になる。

じゃあ何割の座席が埋まれば黒字になるのか、これは航空会社によっても違うんだけど、国内線、エコノミークラスで考えるとざっくりと7割ってとこじゃないかと思う。結構厳しく感じないかな?

100席中、70席埋まらないと飛行機を飛ばす意味がないわけだ。

これは国際線になるとビジネスとかファーストクラスが大きな利益を生むので話が変わる。一般的には国際線はビジネスクラスで航空会社は設けていると言われているけど、現状は国際線はまだまだ壊滅状態なので、話は置いておく。

そう考えると単純に搭乗率が70%以上になるように減便すれば大丈夫だろって思えるけど、実はそんなに簡単じゃない。

航空会社の固定費と変動費って概念を考えると、固定費は人件費や飛行機のリース料、本社や訓練施設、空港施設の家賃や使用料がこれに当たり、変動費は飛行機の燃料代と着陸料が多くを占める。

つまり、減便をしてその便あたりの収益を最大化できても、人件費などの固定費は常に同じだけ支払わなければならないので、結局のところ赤字になる。冒頭で述べたように、減便っていうのは『いかに傷を浅くするか』ってものにしかならないわけだ。

また考えだすと頭がこんがらがってくるけど、上の飛行機を飛ばして黒字になる搭乗率がざっくり70%としたけれど、これは先にあげた固定費を含んでいて、さらに平時における数字だから(固定費を総運航本数分で割って、1便当たりで回収すべき費用って感じかな?)、減便しているとその分1便当たりの固定費負担が増えるから、100%座席が埋まっても航空会社としては赤字になる。これは感覚的にわかると思う。

でも、変動費、つまり燃料代(着陸料は減免される救済策があるようだ)以上稼げるならば、赤字ながらも飛ばす意味はあるだろって話でもあり、燃料代だけを考えれば1便当たり30〜40%くらい座席が埋まれば取り戻せるので、ここをターゲットに減便率を決めるのが合理的だとも言える。

難しいよね、100席中、40人乗ってくれればOKと考えるか、いや70人乗ってくれない限りは飛ばさないと考えるか。

取り留めのない話になってきたのでこの辺にするが、暇な時にでも考えてみてほしい。