緊張とプレッシャーについて、アドバイスを下さい。
パイロット志望です。管理人様のアドバイスをいただきたいです。
はじめまして、普段から管理人様のブログを参考にさせていただいています。
私は現在大学4年生で、大手航空会社の自社養成パイロットの採用試験を受験しました。
管理人様のブログはパイロットを目指すモチベーションの形成にも、採用試験の対策にも非常に役に立ち、特に『パイロット養成道場』は繰り返し読ませて頂きました。
結果として1次選考の面接試験、初期適性検査は通過することができました。管理人様がこのブログを通して後輩パイロットを育成しようと取り組まれてきたおかげだと思っています。大変感謝しています。
残念ながら私は2次選考の操縦適性検査で不合格になってしまいましたが、諦められず航大受験を決定し、最悪の場合には一旦社会人となり資金を貯めてA制度で挑む可能性も考慮に入れています。
また、採用試験は例年までは3次試験であった操縦適性検査より前のステップで不合格となった場合には再受験を認めていました。今年はその操縦適性検査が2次選考になり、来年は再受験できない可能性がありますが、再受験可能であれば、既卒でも今度こそリベンジしたいと考えています。
一点目として再受験の可否の可能性について管理人様の意見を伺いたいです。
さて、本題ですが私は操縦適性検査を通して弱点を把握することができたと感じています。
再受験にあたり、操縦適性検査の具体的な内容については航空会社の企業利益を損ねないため、また道徳的に良くないと考えて言及を避けますが、操縦適性検査は現役のパイロットの方々が乗り越える訓練と共通点があると感じたので、現役のパイロットの訓練の乗り越え方、ということで質問させてください。不適切だと判断したところは削除してください。
管理人様は以前の投稿で
1.プログレス及び同じミスをしないか
2.急激なインプットをしないか
3.注意の分散ができるか=エラーに気づけるか
4.エラーに対して修正操作が取れるか
と挙げています。
私は休憩時間に受験者との意見交換とイメージトレーニングによって”通常の状態”ではこなせるようにプログレスしました。
視覚・聴覚・触覚が今まで経験したこと無いほど研ぎ澄まされて頭の後ろ側まで様子が把握できるぐらいでした。意図していませんでしたが、教官が後ろでただ座っているだけじゃないことまでわかってしまいました。
問題は状況が厳しくなった時です。
パイロットの方々の訓練でも次の動画の2:35から(http://www.youtube.com/watch?v=wotLZcGzUEg&list=FLfN7bwtTJDKF4kmukmpimcg)
見ていただければわかるようにパイロットは訓練で常に対処の様子をチェックされ、緊急事態につぐ緊急事態と、ギリギリこなせるレベルのタスクを課されていかれるのかもしれません。
操縦適性検査はパイロットの方々がこなす訓練ほど難しいということはないのでしょうが、忙しいときに限って難しくなったりと、古臭く言えば、”強靭な精神力”とか”いかなる時でも冷静でいる力”が必要とされていたのだと、今ではそう思います。
私は事態が輻輳した瞬間に、片足に力が入り、カタカタと音を立てて震えてしまう瞬間が有りました。また、同時に維持しなければならないコントロールを失い、早く回復しなければと、急激なインプットをしてしまいました。
私が左利きのために右手のみでのコントロールが難しくなったという一因はありますが、何よりも冷静さを保って事態を処理できなかった自分の今までの生き方に反省しています。
面接試験では突拍子もない質問が来て、返答の内容は酷かったものの、不安を見せることなく答えることが出来た、適性検査でそれができなかった自分が悔しいです。
これを乗り越えるために、難しいことをしているときに事態が難しくなっても『極力緊張しない』か『緊張しながらも厳しい状況をクリアする』か、プロのパイロットの方は訓練をどういうスタンスでこなしているのでしょうか?
例えば、低空飛行での旋回を開始したときに操縦桿を精度よくコントロールしなければならない、その中で同時に故障の警報が複数鳴り一定時間内に処理しなければならないが、操縦桿のコントロールが許容範囲以上に外れるとGPWSが鳴り危険な状態になるが、急激な回復はしてはいけない、訓練でこのような状況になったとき、パイロットの方々はどのようにして対処してくのでしょうか?どのようにプレッシャーを抑えているのでしょうか?
長くなりましたが、どのようなことをすればプレッシャーに強くなる練習ができるのでしょうか?アドバイス頂ければ幸いです。
長文・乱文大変失礼致しました。
By KTさん
回答
KTさん、ご質問ありがとうございます。
うーん、すばらしい反省と分析ですね。非常に優秀な人なのだと推察しますが、それだけに今回の結果は残念でしたね。
まだまだ挑戦を続ける君の意気込みには頼もしくも思います。
さて、質問に答えていきますが、一点目は申し訳ないですが、わかりません。
しかし試験の順番が変わったとはいえ、操縦適性検査より前のステップで不合格となった場合には再受験可というのが自然だと思います。
しかし来年の募集要項は必ず確認するようにして下さい。
みすみす受験の機会を逃してしまうのはあまりにももったいない。
次に緊張やプレッシャーに関してですが、うーん、難しい質問ですね。
まず、どんなパイロットでも緊張します。
あくまでも僕の考えですが、緊張により自分のパフォーマンスが落ちることはしょうがないが、それでも結果を合格点内におさめることが重要なのだと思います。
例えば、飛行機の操作方法を暗記して訓練に望んでも、コックピットシートに座った瞬間に頭が真っ白になるというのは多くのパイロットが経験したことがあると思います。
しかし、そんなものは何も考えなくても体が勝手に動くというくらいにまで練習して、それでやっと緊張してガチガチになっても合格点に入るのでしょう。
(まあこれは入社試験には当てはまらないでしょうが)
君も今回知った通り、フライトはタスクが重なってくると急激に難しくなります。
そんな時にパニックになってしまうともうおしまいです、トラブルには対処できないわ、機体のコントロールは落ち着かないわ、ATCに呼ばれても気づかないわという事態に陥ります。
程度の差はあっても、同様のことを経験しているパイロットは多いでしょう。
だから常に冷静でいることはとても大事です。
上の緊張の件もそうですが、徹底的に練習したことによって、それが自信になり緊張も減るだろうし、冷静でいられるのだと思います。
「離陸中にエンジンが壊れたときにはえーと…」なんて考えるより先に手が動くと、そう自信をもっていれば緊張もそんなにしない。
すると冷静に広い視野がもて、異常により早く気づけるかもしれません。
また操縦に関しては、エラーが小さいうちに対処すれば簡単ですが、エラーが大きくなってから修正するのははるかに難しくなります。
あとは、、そうですね。チェックなどでは非常に緊張しますが、僕はそんな時にはストレッチをするようにしています。
どこかで聞いた話ですが、人はストレッチにより筋肉をリラックスをさせながら心は緊張するっていうことはできないらしいですよ。
最後に君が設定してくれたトラブルに関してですが、
『例えば、低空飛行での旋回を開始したときに操縦桿を精度よくコントロールしなければならない、その中で同時に故障の警報が複数鳴り一定時間内に処理しなければならないが、操縦桿のコントロールが許容範囲以上に外れるとGPWSが鳴り危険な状態になるが、急激な回復はしてはいけない、訓練でこのような状況になったとき、パイロットの方々はどのようにして対処してくのでしょうか?どのようにプレッシャーを抑えているのでしょうか? 』
空港への旋回をともなったアプローチや、離陸直後の出発経路上でエンジンが壊れるという状況がこれにあたるのかと思いますが、パイロットは基本的にはその全ての状況を想定して、練習しています。
また訓練でやらないことに対しても、いいパイロットほどイメージとしてあらゆる組み合わせのトラブルを想定してどう対処すればよいのかを『すでに考えてあります』。
離陸経路中でのエンジン故障に対しては、まずは飛行機のコントロールをする。エンジンが一つになっても上昇ができているか確認して、エンジン故障のチェックリストをコーパイにさせる。エンジンが壊れた場合にはそれに付随してこれとこれとこれのアラートライトが点灯するが、最重要なのは飛行機のコントロール…などなどちゃんと考えています。
だからプレッシャーがあろうがなかろうが、それを行うだけです。
回答はそんなとこです。
緊張とかプレッシャーというのは本当に嫌なものです。
しかしそれはしょうがないものとして、うまく付き合っていくしかないんじゃないかと思います。