機長と対立した場合について相談です。
もし、自分が副操縦士で、機長が頑固なおじさん機長だった時に、その人が間違った選択をしていると思い、それを説明したにも関わらず、その事を聞き入れてくれない場合、自分は副操縦士として、どうするべきでしょうか?
あくまで機長の判断を絶対として、その判断を受け入れ、サポートに徹するべきでしょうか?それとも、自分の意見を受け入れてもらえるように説得を続けるべきでしょうか?
宜しければ、ご意見ください。
By まっこりさん
回答
まっこりさん、ご質問ありがとうございます。
いい質問ですね、それに似たようなケースはいろんなところであると思います。特に細かいところでは。
そもそもですが、機長の判断は絶対ではありません。間違っているならば、またそれが安全に関わるものであれば、副操縦士は止めなければなりません。しかし、君の思う通り、副操縦士でありながら機長の考えを変えさせるのは、なかなか難しいものです。しかしケースバイケースで、以下の4つほど状況をあげてみましょう。
まず、オペレーションとしては、会社には規定で定められているものがあって、それを守るのが基本です。
例えば、私の乗っているB737ではギアを下ろしてから最終フラップを出しますが、「先にFlap出した方が燃料節約だしな」とか言って機長が先に最終Flapをおろそうとしたら、止めなければなりません。まあ実際にはそんな操作をすると警報音がなるし、やろうとする人はいないと思いますが。
またもしかしたらなんらかの理由でそんなオペレーションをする必要性があるなら、前もって機長はブリーフィングにて言っておく必要があります。
次のケースとして、例えば管制官に高度20000ftまで上昇せよと言われて、自分は20000ftと聞いたのに機長が30000ftと聞いて30000ftに上がろうとした場合。実際、「トゥー」と「トゥリー」はよく聞き間違えます。
こんな時は「機長違いますよ」って言ってもしょうがないから、管制官に確認します。自分が間違えてるかもしれないし、むしろこんな時は「多分この機長だから大丈夫だろう」とか思ってしまうと危険です。これで管制官がいや、30000ftであってるよって言ってきたら、「すいません、聞き間違えでした」で済む話です。機長が間違っていたなら、「お、サンキュ」ってなるでしょう。
3つ目のケースとしては、規定にない部分。例えば、羽田にアプローチを行う前に、どこで速度を落とそうかななんてのがあるかもしれません。
これも状況がたくさんあるし、正解などないのですが、到着が遅れていて、なるべく飛ばしていきたい。でも確実に減速して、着陸形態を作っていかないと、不安定なアプローチになってしましなる。自分はもっと早く減速したいけど、機長はギリギリまで飛ばしていって、ギアなどの抵抗を使って一気に減速をするっていうプランを立てるっていうケースが考えられます。
このケースは難しいですね。お互いそのプランを立てることのメリットとデメリットをわかっていて、しかも規定としての正解がないケース。これは機長の意見に従うことになるのかなと思います。でもこれも安全性への不安から嫌だと言っても構いません。
4つ目のケース。これが一番嫌なケースですが、じゃあさっきの3つ目のアプローチの結果、滑走路に対して非常に高くアプローチをしてしまった。これは危険だからゴーアラウンドしましょうって言ったのに、機長は「大丈夫、行ける。」の一言。この場合は、「I have」って言って、機長からコントロールを取り上げてでもゴーアラウンドしなければなりません。非常に難しい判断だと思いますが、これはやらなきゃいけない。あとで殴られてもいいから、自分とその機長との関係が非常に悪くなってもいいから、でもこれは安全のためにやるってのは、まさに副操縦士が存在している意義でしょう。
しかし、その時は頭に血が上っていても、この判断を後々まで文句をいう人はなかなかいないと思います。
回答としては以上です。
実際のフライト中は時間やタイミングの問題があって、その場で議論するのは難しい場合がほとんどです。だから、この場合はどうするのがいいかとか、先にある程度考えておくのがいいのだと思います。