パイロットと花粉症

2011-04-01

この時期になるとこの記事が人気記事にあがってくる。
10年以上前に書いたものだったので、ちゃんと書き直しておこうと思う。

『花粉症だとパイロットになれない』

そんな妄言を聞いたことがある人もいると思うんだけど、大丈夫。程度にもよるが花粉症でもパイロットになれる。
何を隠そう、この僕も立派な花粉症だ。

航空身体検査マニュアルを見てみよう。
" 1-7アレルギー疾患
身体検査基準
航空業務に支障を来すおそれのあるアレルギー性疾患がないこと。

不適合状態
2-1
高度の鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎
2-2
アレルギー性結膜炎又はアレルギー性眼瞼炎
2-3
アレルギー性皮膚疾患 “
(航空身体検査マニュアルより引用)

一見すると不適合状態に高度の鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎と書いてあって、『ダメじゃん』となるんだけど、続きがある。

実際、鼻水がじゅるじゅるの状態でフライトをすると気圧の変化によって耳が詰まってしまって航空性中耳炎になってしまったり、フライトに集中できなくて危険な状態になってしまうかもしれない。だから症状が強い場合にはダメと前置きした上で、こう続く。

" 評価上の注意
4-1
上記2.の不適合状態については、掻痒、流涙又は鼻汁等の症状が軽微であり、航空業務に支障を来すおそれのない場合は、適合とする。
4-2
アレルギー性の諸症状が外用薬(点鼻、点眼及びステロイド含有の外用薬を含む。免疫抑制薬はタクロリムス水和剤に限る。)、内服薬(フェキソフェナジン又はロラタジンに限る。)又は減感作療法により抑制されている場合は、適合とする。フェキソフェナジン又はロラタジン以外の内服薬を使用する場合は、鎮静作用のない抗ヒスタミン薬(第二世代の抗ヒスタミン薬に限る。)又は抗アレルギー薬で、過去の使用経験により、眠気・集中力低下等の副作用がないことが指定医又は航空医学に精通している航空会社の産業医により確認されれば適合とする。ただし、フェキソフェナジン又はロラタジン以外の内服薬を服用後少なくとも通常投与間隔の2倍の時間は航空業務に従事してはならない。 “
(航空身体検査マニュアルより引用)

これを要約すると、『症状が弱ければOK』『使っていいと決められてる薬で症状が治ればOK』ということになる。

使っていいと決められている薬っていうのは調べれば出てくると思うけど、有名なのでは『アレグラ』とか『ビラノア』とかの薬で、僕もこれを使っている。

だから気になる人はこれを使ってみて、症状が改善するかみてみるといいと思う。

僕は花粉症だけど自社養成採用時の航空身体検査に通ったし(薬なしで)、結構重度の花粉症を持っている先輩はアレルギー緩和の注射を打つことを条件に自社養成に合格していた。

だから実際そんなに不安に思うことでもないと思う。
安心してよし。