変化する航空業界でパイロットが変えていく使命とは?

初めてコメントいたします。
中学生の時からパイロットに憧れ、高校生の時にこのブログに出会い、それ以来ずっとこのブログを読んでいます。
来学期から大学四年生で、昔からの夢であるパイロットを目指して就職活動を進めております。

一つ質問があります。
コロナ禍を経て、航空業界にとって転機であるこの時代で、航空業界は社会と共に変化していくと思います。
パイロットは変わっていく社会の中でも、変えてはならない「安全」を守る使命があると考えるのですが、逆に社会のために変えていくべきものや、変わるべきことはあるのでしょうか。

このブログは私にとって道標のような存在です。いつもありがとうございます。これからも楽しみにしております。

By 鈴木さん

回答

鈴木さん、ご質問ありがとうございます。
このブログを長い間読んでくれていてありがとうございます。思い返せば長いもので、ブログを始めて10年も経ってしまいました。
始めた当時の記事を読み返すと僕も尖っていたなーって思いますが、ちょっと恥ずかしいですね。

さて、難しい質問ですね。
航空業界が社会と共に変化していく中で、パイロットが社会のために変えていくべきものや、変わるべきことはあるのか。

パッと思いつかないので、ダラダラと考えながら書いていこうと思います。どこにも辿り着かないかもしれませんが。。

まず、日本の航空会社がどう変わってきたのか考えてみましょう。
国営企業だったJAL一強時代から、ANAやJASが現れて、その他の新興航空会社が現れて、統廃合を繰り返しました。

航空の自由化によって、外国からの格安航空会社がどんどん日本に入ってきて、JALやANAの大手航空会社が傘下にLCCを設立しました。
外資傘下のLCCもいくつかできましたが、現状は全て大手と資本関係があります。

小型機を使った国内、短距離国際線を担うLCCはそろそろ飽和してきた感があって、長距離国際線を狙ったLCCとしてJALはZIPAIRを設立し、ANAも続いてAirjapanの設立を発表しました。

またこれらとは別の軸でコロナウイルスの蔓延によって全ての航空会社はダメージを受けていて資金難、つまりは新たな挑戦や成長のための原資が少なくなっている状況だと思います。
そんな中でAirjapanを発表したANAは流石だなーって思いますが。

同時に貨物需要も高まっていて、ANA Cargoの好調や配送会社のヤマトがJALと組んで貨物専用機を運航すると発表しました。

現時点までの動きとしてはこんなものでしょうか。
最近は国内線の旅客数はまた少し増えてきたという感覚ですが、海外旅行が以前のようにできるようになるのは2024年以降となんかで読みましたが、国際線はもう少しかかるでしょう。

まあそんな感じで航空業界は色々と変わってきたとも言えるし、会社の形体が変わっただけで『飛行機を使って人やものを運ぶ』という使命は一緒。とも取れると思います。

ただ今後は、環境面の配慮については各社考えていかないといけないと思います。
SDGsという言葉がいろんなところで聞こえてきていますね。僕は不勉強なので触りの部分くらいしか理解していないんですが、ぶっちゃけ日本ではまだそこまで気にされてないように思えます。

しかしヨーロッパではもうちょっと環境配慮への意識が強いし、今後の10年とかでもっと目に見える形で地球の環境が破壊されてくればより自分のこととして感じることになるでしょう。

だからこそ行動するのは今、ということなのですが、コロナにより体力難の航空会社では大きなことをするのは厳しいというジレンマにいると思います。環境への配慮というのは基本的にお金がかかります。
しかし、今後環境に優しくない航空会社はお客さんに選ばれなくなってくると思うので、確実に進んでいくでしょう。

それでそれらを踏まえてパイロットの役割ということですが、やっぱり基本的な使命である『安全を守る』ということは変わらないでしょう。
しかし、その『安全を守る』ための方法論として、パイロットは変わってきています。
この辺は前回の記事で話しましたね。
これからのパイロットにはコミュニケーションが必要?

今後はさらに自動操縦や管制システムなどのテクノロジーの発展により、『操縦士』としての側面より『管理者』『コマンダー』としての側面を強めていくと思います。

ちょっと話が変わりますが、パイロットの判断や行動の指針として、4つの軸があります。
それは『安全性』『定時性』『快適性』『経済性』となります。

安全性が絶対の第一で、後ろの3つは状況によって変わります。
カフューのある空港だったりすると定時性の優先度が跳ね上がるし、最近の不況では経済性が優先されるかもしれません。
経済性とは燃料のセーブになるので、=環境への配慮ということもできます。

つまり、上で『環境への配慮が重要になる』と言いましたが、パイロットがそれに対してできることは燃料を節約することくらいです。

なんだか夢のない話ですね。
ただし、ちりも積もれば…という諺がありますが、世界中のパイロットが燃料をセーブすることはお金を節約するとともに環境にもいい、という認識が広がれば、いいインパクトを残せるとは思います。

そんな感じでしょうか。ご参考までに。