これからのパイロットとは

2011-02-25

これからのパイロットの姿について、考えてみたいと思う。

君がパイロットに対して、どういうイメージを持っているかはわからないんだけど、僕が昔持っていたイメージは、『職人』って感じだった。

専門性が高く、閉鎖的で、またフライト中は法律で強く権限が守られていて、飛行中の決定にはその航空会社の社長よりも強い権限を持つ。

実際これらはどれも間違ってはいないし、こういうパイロットが昔も、今も多いと思う。

でも時代はどんどん進んでいて、昔はJALとANAの大手2強体制だったものが、一度そのJALは潰れてしまったし、現在はLCCも乱立して、また海外の航空会社と競争する必要も出てきた。

パイロットの転職も昔はほとんどなかったものが、JALが潰れたくらいから国外を含めて転職が一般化して、LCCが出来てから激化してきたように思う。

ライセンスをとって、航空会社に入れればもう安泰って時代じゃなくなってしまった。

また、仮に同じ会社で働き続けるとしても、社会人として広い目線でモノを考え、振る舞える人間でなければならなくなったと思う。

具体的に行こう。

以前のパイロットはフライトの技術を磨いて、気象や航空法などの知識をつけて、いいフライトを提供すればそれがいいパイロットだと言われていた時代から、人格や一般教養、社交性などの一般的な社会人が必要とされる能力も磨いていかないといけない時代になってきたと思う。

乱暴な言い方をすれば、昔は多少変な人でも、「パイロットだからなぁ」で許されてきたものが、今後はそれだと自分が職を失うことに繋がっていくんだと思う。

フライトに対する金銭感覚を持って、安全運航はもちろんのこと燃料節約や定時性の維持、お客さんと企業の利益と双方を考慮してジャッジをしていかないといけない。

社会人として、閉鎖的な世界に生きるのではなく、いろんな知識を吸収して、広い知見を持ってものを考えなければならない。
少なくとも、自分の会社が今後どうなっていくのか、航空業界がどうなっていくのかの展望くらいは持ってないとダメだ。

またサービス業に従事する者として、お客さんに対して心地よい立ち振る舞いができないといけないし、お客さんと同じ目線でものを考えられる人でなければならない。

じゃあこれからパイロットになりたい君が何をしないといけないのか。

ここまで読んでくれて人は僕が何を言いたいのか想像がつくかもしれないけど、『人間性を磨け』と、いまいちよく分からないことを言わざるを得ない。

パイロットとしての専門性は希少性が高いとはいえ代替可能なもので、残念ながらその専門性が評価しづらいところもある。『あの人はパイロットとして優秀』っていうのが、定量的に測れないわけだ。

だからパイロットを評価する上で、別の尺度を用いる必要があって、それは一般的な社会人としての総合能力になるんだと僕は思う。

そしてその総合能力ってのは就活で見られているのと一緒で、全部だよな。

多方面の知識や知性もそうだし、コミュニケーション能力や人間性なんかを見られるし、『これが正しい』って正解のない世界だ。

だから自分で判断して、勉強なり努力をしていく他ない。