パイロットと屈折度

パイロットの視力規定には屈折度がありますが、今後改定される余地はありますか?
アメリカでは、屈折度に関する規定はないみたいですし、またレーシックも認められているみたいです。
この「屈折度」というややこしい規制にひっかっかてしまい、試験すら受験できずに、悔しい思いでいっぱいです。
受験して落ちてしまえば、あきらめもつくと思うのですが・・・
私ごとで大変申し訳ありません。
ご多忙かとは存じますが、アドバイスを頂けると助かります。
by 斎藤さん

回答

斎藤さん、質問ありがとうございます。
『屈折度について、今後改定される余地はあるのか?』
結論から言うと、改定される余地は十分にあります。
でも、それがいつになるのかは分からない。それは航空局が決めることで、僕の手には届かないところで決められてきます。
現状から説明しましょう。2011年4月現在において。
ANAが課する自社養成パイロットに応募するための基準は、
・各眼の矯正視力が1.0以上であること
※裸眼視力の条件はない
・各眼の屈折率が-4.5~+3.5ジオプトリー内であること
次に航空大
・遠見視力について各眼が、裸眼又は矯正視力で1.0以上あること。
  ・各レンズの屈折度が-4.5~+2.0ジオプトリー以内であることこと。
じゃあ航空身体検査基準では?
 ・各眼が裸眼で0.7以上及び両眼で1.0以上の遠見視力を有すること。
 ・各眼について、各レンズの屈折度が(±)8ジオプトリーを超えない範囲の常用眼鏡により0.7以上、かつ、両眼で1.0以上に矯正することができること。
また、例えばライセンス保持者への募集では(A制度採用)
 ・第一種航空身体検査証明に適合すること
と書いてあることが多い。
つまりはまとめると、『国の基準では結構緩いものとなっているが、航大や自社養成では将来もっと悪くなるだろうことを見越してもう少しキビシメに設定してある。
でも、A制度採用ではそんなに厳しくみていない。』
って言えると思う。
こっからが本題。『今後どうなっていくか』
もちろん僕の個人的な考えではあるが、データを用いて考えてみた。
次の2点。
1.歴史的な流れとして、視力に関する要求は緩くなってきている。
 昔は裸眼視力での最低値が決まっていたが、僕の記憶では2001年かな?に、裸眼視力による規定はなくなり、矯正視力のみの判定となった。
2.世界と比べると、日本は厳しめに基準を設定してある。
 以下を見てほしい。http://www.arknext.com/lib/contents/medical.html 日本とアメリカの視力基準を比較してくれている。これを見れば一目瞭然だが、日本の基準は厳しいんだ。だから、今後世界水準に基準を緩めるということは十分に考えられる。
以上2点から、僕は視力の基準について今後改定される余地はあると考えています。
しかし、『いつ改定されるか』は見当もつかない。それは航空局が決めることだからね。
またレーシックについては屈折度よりも厳しい見方がされていると思う。基本的に、『データに乏しいこと』をこの仕事は嫌います。
レーシックで今は視力がよくても、いつか発作的に視力を失うかもしれない。それがフライト中だったら致命的だと考えるわけです。レーシックはまだ技術的に歴史が浅い。
流れとしては緩くなってきていて、世界的にも日本はまだキツイ。これから先も変わる可能性はある。
前回に改定されたのが2001年。そっから10年間同じ基準できてるという状況であるというとこまでは言えます。
僕に言えるのはここまでです、斉藤さんがやきもきされているところを明言できなくて申し訳ない。
でも、チャンスを逃さないためにも基準が改定されるかどうか、注意深く見ておく必要があると思います。
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