ディスパッチャーとの対立について質問です。
飛行機が出発するには必ずディスパッチャーと機長の両方が同意しなければないと聞きました。
そこで質問なのですが、ディスパッチャーと出発するかしないかで意見が対立したことはありますか?
どちらも気象には詳しい知識を持っていると思うので、なかなか意見が違うということはないとは思うのですが実際はどうなのでしょうか。
By 小咲さん
回答
小咲さん、ご質問ありがとうございます。
GWももう終わってしまいますね、この仕事ではカレンダー通りのお休みではないのであまり関係ないのですが、SNSなどで周りが楽しそうな写真をアップしているのを見ると羨ましくなります。
さて、ディスパッチャーとの対立について。よく知っていますね。
飛行機が出発する際には、フライトプラン(飛行計画)というものをディスパッチャーが作成して、機長と協議して、互いにサインをすることでフライトが成立します。
ここでフライトプランには飛行ルートや高度、持っていく燃料の量などが記されます。
基本的にはこれを協議することになります。今日は台風だから迂回ルートでフライトプランを作りましょうとか、燃料はこれでは足りません、とかね。
これは対立というほど大げさなものではありませんが、意見が食い違うことはよくあります。しかし、その場合、より安全な方が採用されるのが原則です。燃料だったら多い方の意見を採用します。
じゃあ出発するかしないか、これで対立することは普通はありません。
基本的には各空港の最低気象条件というものが定められていて、これを予報が満たしていないのならば出発できないし、満たしていれば出発しない理由が乏しくなります。
一方、台風の時などは予報が降りられる条件以上の場合でも、飛行機が欠航するすることがよくあります。
例えば、沖縄に台風が上陸。午前10時〜12時までの時間の天気予報で、横風がリミット以上になる、なんて状況だったとします。
こんな時は、ニュースでよく見る「〇〇社はxx日の午前の沖縄到着便を全便欠航」なんてことになります。
しかしその判断はパイロットではなく、ディスパッチと、会社のもっと上も絡むのかな?
我々パイロットは『明日のフライトはキャンセルになりました』なんて電話を受けるだけです。逆に自分のフライトは14時の沖縄行きでキャンセルにならなかった場合には、風が強い中行かなければならないのでとても嫌なものです。
もう一つ、ディスパッチャーもパイロットも気象の知識を豊富に持っていますが、気象を解析することと、それに対してどんなジャッジをするかというのは別の話です。むしろ、パイロットによってもまちまちです。例えば低気圧の通過でこんだけ視程が落ちるから、念のため燃料を後2000ポンド多めに積んでいこうって人もいれば、いや1000ポンドで十分だよって人もいます。そんなわけで対立というほどではありませんが、意見の違いが出るのは当然のことになります。
そんなとこでしょうか。またなんでも聞いてください。