2010年 JALは何故潰れたのか?その1

2011-01-26

*2011年の記事です。2021年現在ではコロナの影響は別にして、非常に健全な会社になっていると思います。

ここではJALが何故潰れたのか、論理的に検証してみよう。『マスコミはこう言ってます』とか、そんなナンセンスなことはなしだぜ。

まず、JALとANAの売り上げ、利益を比べてみる。
ANAtoJAL_Profit.jpg
上図より、JAL、ANA両者とも売り上げが景気(GDP)に引っ張られていることがわかるが、利益率はJALの方が極端に低い。(…①)
2008年からの落ちがJALが激しいのは、国際線のビジネス客に頼っていたためであると考えられるが、要確認。(…②)

① 2007年のデータに絞って、細かく売り上げから利益までの内容を比較
ANAとJALの表

上の表から、2007年においてはJALの営業利益率は対売り上げで4%。ANAは6%である。特記すべきはANAは2004年から2008年まではこれくらいの数字を安定して出しているのに対して、JALは利益がでたり赤だったりを繰り返している。(…③)

これが後述する現在において両社の純資産(…④)の量を大きくわけ、両社が赤字を出す2010年に破綻するか生き残るかをわけることにも繋がった。

また、上の表において最も注目すべきは事業費である。対売り上げ比で5%も違う。さらに販管費。これはJALの方が少ないように見えるが、ANAは広告費に多額の費用をかけている。確かにサービスにおいて差別化を図りにくいこの業界では重要だろう。

また人件費。ANAを見習えばあと2%削れる。だがメディアでよく言われる年金などは本質ではないことが明らかだ。年金全く払わなくても潰れているよ。

また、小宮一慶さんの著書、『「1秒!」で財務諸表を読む方法(企業分析編)』で、会計、財務の観点から論理的に考察しているので一度読んでみるといいだろう。

次回は貸借対照表についても検討してみる。