自分の意見を言うことと判断力、諦めない心を持つことについて相談です。
私のパイロット適性の問題についての質問です。
初めまして、今年大学1年生になったばかりのユウキといいます。
いつも楽しく拝見させていただいてます。管理人様がたくさんのためになる情報を投稿する姿そして、コメントに対して丁寧、真剣に答えていく姿は尊敬の気持ちしかありません。
そこで私にも、できれば厳しめの、アドバイスを頂けたら嬉しいです。
その前に、少し長くなりますが、パイロットになりたいと思ったきっかけを説明させてください。
私は、小さい頃から好奇心が少なく行動力があまりない方で挑戦することが怖かったため中学校・高校時代はこれといったことをしてきませんでした。
そのため、未だに自分は将来はどの職業をしたいのよくかわかりません。
ですが、大学生になった今、時間の大切さと挑戦して世界を広げて自分から行動する大切さにようやく気がつきました。
そこで自己分析をした結果私の人生の価値観を知り、それと共通しているパイロットになりたい気持ちが芽生えました。
それで、パイロットになりたいという目標ができて色々と情報を集めていたときにふと私自身に対しての疑問と不安が出て、果たしてこんな私がパイロットになりたいという夢を持つ資格はあるのかと思い始めてしまいした。
一つ目は自分の意見と判断力についてです。
管理人様は飛行中問題が生じて管制塔からでた司令とは別の行動をとった場合あとからその理由と自分の意見をいう必要があるとおっしゃいました。
ですが、私は自分の意見をいうのに恐怖心があります。
昔から他人の意見に影響されがちで、自分の意見を言う機会がなかったため、気がついたら他人の目と批判が怖くなってしまい特に圧を感じた時は意見を言えなくなってしまっています。
判断力については、人から圧を感じるとパニックになり頭が白くなって慌てて行動してしまいます。そのせいで何回か人の前で失敗した経験もあります。
もちろんなそうとはしてますが、なかなか、よくなりません。
こういう能力は訓練をするにつれて養われていくものなのでしょうか。
もう一つは諦めない心についてです。
私は一回無理だと思った場合、もしくは周りから無理と言われてしまった場合、すぐに諦めてしまいます。
そこから «なに、くそ! » という気持ちで私自身と周りを説得させる気が持てません。
こんなこというと、たかがその程度って思ってしまうかもしれません。
ですが先ほど書いたように人の批判が怖いためそれよりさらに先に行く勇気がないのです。
ですから管理人様はどうやってモチベーションと諦めない心を持ち続けたのか教えていただきたいです。
パイロットの世界を知れば知るほど夢を諦めたくありません。
ですが私の性格の問題で考えば考えるほどこの職業は難しいと思ってしまいます。
それでも、この夢を持ち続けていつかは本当になるという希望を持つ資格を持ってもいいのでしょうか。
私の悩みが過去の投稿や質問に出てきたのはわかっているのですがどうしても私の悩みが晴れなかったので、繰り返しになってしまうかもしれないですが、質問させていただきました。
長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
P.S. 最初の方に書くのを忘れていましたが私は生まれた時からヨーロッパにあるチョコレートで有名な国で生まれ育ち現地の小学校、中学校、高校に通っていたので日本語がおかしければ申し訳ないです。
By ゆうきさん
回答
ゆうきさん、ご質問ありがとうございます。
そうですね、うん。。まずは、長い!!
いやそれだけ真摯な悩みということだと思います。
僕も真剣に回答していきたいと思います。
質問の趣旨を勝手に要約させてもらうと、
①自分の意見を言うのが怖い
②判断力について自信がない
③諦めない強い心を持ちたい
というとこでしょうか。
まず前提として僕が思うことですが、自分の性格は変えることが難しいですが、自分の行動は訓練や知識、テクニックによって変えることができます。
パイロットをやっていくのに向いた性格はあるのかもしれませんが、それがないとなれないというものでは決してありません。
僕だって、自分がパイロットに向いた性格をしていると思ったことは一度もありません。
でも、その分しっかりと自分を見つめて、足りない部分をどうにか補おうと努力はしてきたと思います。
それは僕だけではないと思います。現役のパイロット達だっていろんな悩みや不得意なところがあって、それを努力でカバーしてきています。
それを大前提にして話を進めていきます。
①と②については相互に絡む話になるので一緒にしてしまいますが、まずはこの記事を読んでみてください。
判断力ってなんだ?
自分で驚いたけど、これはもう10年も前に書いた記事です。
フライトにおいて、人と違った意見を言うのも、何かを判断するのも、
『自分がこうしたい!』『理由はないけどこっち!』『俺のパイロットとしての直感がそう告げている』
ということはありません。
自分が持っている知識や計算をもとに、
『こっちの方がリーズナブルだよね』
っていうのが判断であり、その客観的な事実を自分が代弁しているだけです。
よくパイロットの教育で言われることですが、
『誰が正しいか』ではなく『何が正しいか』で議論する。
もうこの格言に答えはあると思いますが、もう少し君の悩みについて掘り下げてみます。
質問の趣旨からは君は『人に批判されること』『人から圧を受けること』に弱いんだと思います。
でもそれは僕も同じです。人に名指しで『お前は間違っている!』と言われると嫌な気持ちになるし、傷つきもしますもんね。
でも、上の考え方をすると、間違っていたのは僕の意見や判断ではなく、その根拠となった知識が間違っていたり、足りていなかったり、それよりいい選択があっただけで、別に僕の人格が否定されたわけではありません。
『ありがとう、そうだね。そっちの選択にしよう。』
となるだけです。
こんなことを言うと僕も歳をとったなぁと感じてしまうのですが、若い副操縦士に、その判断について『それはこうした方がいいんじゃない?』ということを言うと過剰に反応してしまう人がいます。
反応として機嫌が悪くなったりする人もいれば、萎縮してしまって縮こまってしまう人もいますが、それは君が今思っているように、間違った知識や見れていなかった状況への指摘を、自分自身に対する攻撃と混同してしまっているんだと思います。
まあ単に僕の言い方が悪かっただけって可能性もありますが。
経験の違いもあるし、間違っていても、知識が足りなくてもいいのに。と僕は思います。
しかしそれをこれから学ぶ意思は持っていて欲しいですよね。
また人から受ける圧についてですが、これは難しいですね。
フライトでも、これをやる人がいます。
訓練の時なんかに、あえて無言になったり、訓練生の判断に対して否定的な顔をしたり、ひどい場合には怒鳴ったり。
これに対しては、みんな弱いです。
コックピットという狭い空間で怒鳴られて、それでも冷静にやれる心の強い人はたまにいますが、90%くらいの人はボロボロになります。
でも、その中でも絶対にやってはいけないミスがあり、ボロボロになりながらもそれをやらないことが大切です。
それは日々の積み重ねがものをいうと思います。
最後に諦めない心について。
これも難しいなー。
僕も心が強い方ではないのですが、そもそも強い心ってなんなの?って気もします。それはただ心が鈍感なだけなのでは?と。
僕もパイロットを目指すに当たって、『やっぱ無理かも』『どうせ自分には…。』と思ったことは何度もありますが、それでも行動は止めませんでした。
まあそもそも当時はパイロットになるための選択肢が今ほどありませんでしたが、全ての自社養成と航空大を受験する。大学卒と院卒時とでその受験機会を最大化する。
ただそれを実行しただけです。
でも、みんなそんなもんじゃないのかな?
『自分こそがパイロットになるべき人間だ!』なんて人、実は僕は見たことがあるんですが、ほんとにイヤなやつでした。
『自分には厳しいかもなー』『でもやるだけ頑張ってみよう』
何事もですが、こう思ってか思わずか、行動した人にだけ道は開かれます。
受けなきゃ受からん。当たり前すぎるくらい当たり前です。
以上、答えになっているかな?
考えてみてください。