色弱ではパイロットになれませんか?
はじめまして、高1の者です。
私は幼いころからパイロットを目指していました。そこで小学生の頃、航空身体検査の存在を知り、それについて親に話たら色弱であるといわれました。
信じられず、眼科医に2回検査してもらったところやはり色弱とのことでした。ですが、日常生活にはなんの支障もきたしませんし、友人などに打ち明けても普通にわかってるじゃんという感じです。
それでも、航空身体検査ではだめなのでしょうか?
あと、第1種と第2種がありますが、この2つで色覚に関する検査基準の違いがありましたら、教えていただきたいです。
もし日本の検査でだめなのであれば、海外の色覚検査基準の緩い国の操縦資格を取得してそこでだけでもいいので空を飛びたいと考えています。このことについては、どう思いますか?是非、意見などをお聞かせください。
いろいろとあって長くなってしまいましたが、ご回答いただけると幸いです。
By ヒト科のエビさん
回答
ヒト科のエビさん、ご質問ありがとうございます。
また先を越されてしまいましたが、息子をパイロットにしたい眼科医さん、早速のコメントをありがとうございます。(コメント欄に入れさせていただきました。まずコメントを確認してください。)
さて、目に関しては僕よりも専門医の意見の方に耳を傾けるべきなのですが、僕の思うところを書いていきます。
まずパイロットに色覚が必要だとされる理由は、主に2つかなと思います。
一つ目はコックピットの計器は色によって情報分けがされています。
基本的には緑が正常、オレンジが注意、赤が警報、青が作動状態などです。
これはライトの色もそうなっているし、グラスコックピットと言って、メインとなる計器がデジタル表示になっている飛行機では(ほとんどの旅客機はこれです)、何かが壊れてますよってメッセージがこの色で文字として出てきます。
だから色弱の程度にもよるとは思いますが、ライトの色が判別できないといけないし、デジタル表示が読めない、ということがあるかもしれません。
二つ目の理由は、パイロットはATCと無線通信で情報をやり取りしますが、この無線が壊れてしまった時の信号が決められています。
『ライトガン』と言いますが、管制塔からパイロットに向かって色のついた光を当てて、意思を伝えます。
これも色によって意味が違って、緑が『着陸してよし』赤は『ゴーアラウンドしろ』とか、様々に決まっていますが、これは管制塔との距離があるとか、日中帯では非常にみづらいです。
これらの理由で航空身体検査では色覚の検査があります。
それで検査基準についてですが、航空身体検査マニュアルにあるように、まずは石原色覚検査表で検査します。
これで基準内ならば合格、不合格ならばパネルD-15の検査を行い、これに通れば適合ということですね。(訂正しました)
パネルD-15でも基準外となってしまった場合には、残念ですが航空身体検査には適合しないということになります。
また一種、二種の区分けが色覚検査にはないので、どちらも同じ基準だと考えられます。
なのでまずは以上を確認してみてください。
さらにそれでもダメな場合に、海外の色覚の基準が緩い国でライセンスを取得することについてですが、いいんじゃないかと思います。
かかる費用に対して納得できるならばですが、なんだかんだで無線機の故障なんてほぼないし(小型機でも2つ装備されています)、セスナのような小型機では計器はアナログ表示なので、メッセージが読めなくて困るということはないと思います。
またそもそも、その国の法律が許すのであれば飛ぶことになんの遠慮もいらないと思います。
ただ、こういう決まり事はICAOという世界基準で決められていることが多いので、独自に基準がゆるい国というのは探すのが難しいかもしれません。
回答は以上です。
期待していた回答をしてあげられなかったかもしれず心苦しいですが、参考にしてみてください。
ディスカッション
コメント一覧
ヒト科のエビさん
高1でパイロットを目指しているのですね。私の息子も初めてパイロットを目指したのは高1の時ですよ。
さて質問の件ですが、管理人さんが回答される前に簡単にコメントを
https://www.aeromedical.or.jp/manual/manual_10.htm
に
評価上の注意
上記2.不適合状態の者が、パネルD-15検査結果においてパス判定の場合は、適合とする。この場合において、眼科専門医の診断により確認を行うこと。
となっています。
ですので、眼科でパネルD-15がパスすれば、パイロットの免許は取れると言うことになります。1種、2種で違いはなく同じですね。パスできなければ無理だと思います。
眼科で2回色覚の検査をされたとのことですが、パネルD-15もしていると思います。結果はどうでしたか?
ただ免許は取れても、航空会社にパイロットとして採用されるかどうかはまた別の問題になります。
息子をパイロットにしたい眼科医さんより
管理人さん
>このパネルD-15で基準内となれば、マニュアルを読むと大臣申請により適合となるのだと思います。
これはマニュアルを読む限り、大臣判定ではなく、診断医の段階で、適合になるのだと思います。
>これも色によって意味が違って、緑が『着陸してよし』赤は『ゴーアラウンドしろ』とか、様々に決まっていますが、これは管制塔との距離があるとか、日中帯では非常にみづらいです。
緑と赤は混同色ですので、見分けにくいのですが、信号機の青信号(緑色に見えますよね)と赤信号は、色弱でも見分けがつくと言われています。
青信号が、見た目は緑色でも、JIS規格で青みがかった緑にしているので、正常者ほどではないにしても、緑と赤よりも区別がつきやすいそうです。その代わり、赤と黄色の信号は見分けにくいので、夜の点滅信号は注意が必要です。
息子をパイロットにしたい眼科医さん
>>このパネルD-15で基準内となれば、マニュアルを読むと大臣申請により適合となるのだと思います。
>これはマニュアルを読む限り、大臣判定ではなく、診断医の段階で、適合になるのだと思います。
確かに、マニュアルを読み返して見ましたがその通りですね。訂正しました、ありがとうございます。
色の話も大変参考になりました。
つまりは信号が判別できるならばライトガンの色も判別できる可能性が高そうですね。
>つまりは信号が判別できるならばライトガンの色も判別できる可能性が高そうですね。
あくまでも可能性であって、厳密にどのような色がつかわれているかですね。
また、コックピットの計器はまだそれほど影響は少ないかもしれませんが、ライトガンの場合は、管理人さんの書かれているように距離的な影響で小さく見えたり、天候などにより見えにくい場合に、正常色覚の方以上により判別しにくくなると思います。
実際に日常生活でも色弱だと、まわりの光の加減や、体調などでも色の誤認をする頻度が高くなります。
体調にもよりますか。
ライトガンなんて基礎訓練で使ったっきりですが、でも万が一の時に備えておかないといけません。
色弱で相談される方は多いのですが、一般的には実害が少ないため、治療法も確立されにくいということでしょうか。
>体調にもよりますか。
注意していれば判別できるけど、ボーとしていると混同するということがあります。
>色弱で相談される方は多いのですが、一般的には実害が少ないため、治療法も確立されにくいということでしょうか。
色弱は遺伝ですので、治療法という物は存在しません。
世の中には,ダルトンメガネのように色弱の方が、石原式検査表に合格しやすいように見える色調を変えるものもありますが、正常者と同じように世の中が見えるわけでは勿論なく、これをかけて航空身体検査に合格できるかというと無理だと思います。あきらかに特殊な色調のメガネでしょうから検査医にずるをしているのがばれるでしょう。
https://asada.website/cvsimulator/j/
色のシミュレータという
アプリがありますので、それを使って見ると、色弱でどのような色が見分けにくいかわかりやすいですよ。
機会があったらコックピットでためされてはみてはどうでしょうか?