今後のパイロットの雇用と待遇

はじめまして、アメリカの大学に通っている大学3年の女子です。
金銭的な理由から免許は取得していませんが、
一応、航空学部で空港・エアラインの経営について学んでいます。
10時間のフライトが卒業するために必須なので小型機ですが自分で操縦して、涙が出るほど感動し、3歳のときからの夢、エアラインパイロットに絶対なる!を、改めて決意し、頑張っているところです。
最近このブログを見つけ、管理者様の言葉のおかげで高いモチベーションをキープすることができ、本当に感謝しております。ありがとうございます。前置きが長くなってしまいましたが、本題の質問です。
最近、本格的に就活を始めて、かつアメリカで3年間生活をして、ふと思ったことがあるので、管理者様のお考えを聞いてみたく、ここにメッセージを投稿させていただきました。
ご存知のとおり、アメリカは世界一の航空大国で、小型機から大型機まで本当に数多くの飛行機が飛んでいます。少し離れた町に移動するのに飛行機に乗ったり、飛行機はとても身近な乗り物です。そしてパイロットという職業もとても身近で、日本でよりももっと簡単に就ける職業です。航空学部を持つ州立大学(日本でいう国公立大的な感じでしょうか)もたくさんあり、安価で自家用や事業用のライセンスを取得すると同時に大学卒業に必要な単位も取得でき、ライセンスがあれば普通にエアラインパイロットになれます。なので、パイロットという職業は割と普通の職業で、日本の大手のエアラインのパイロットほど高い給与をもらっているわけではないようです。
そして近年は、航空機のシステムにコンピュータ化がかなり組み込まれ、かなりの程度、自動化が進みました。そしてどの職業でも言えますが、今後さらにグローバル化が進んで賃金相場が限界まで下がったり、日本人じゃないといけない・できない仕事は確実に減ります。
その他、エアライン業界の現状をふまえ、ふと思ったことがあります。国内のエアラインパイロットと外国のエアラインパイロットの待遇格差は今後是正されていくのではないか、日本人パイロットの割合が減る・外国人の飛行時間を多く持つパイロットの中途採用が増えるのではないか、ということです。
乗客のみなさんにとって客室乗務員が日本人であるのは重要なことですが、パイロットに一番に求めるものは「安全」です。航空会社のビジネス視点から見ても、自社養成で莫大なお金をかけてパイロットを養成するよりも、たとえばすでにエアラインとしての飛行経験を積んでいるアメリカ人パイロットを中途採用する方がコストもかからなくて、(事実、日本の航空会社で活躍する外国人パイロットがいらっしゃいますし)、今後ANAなどの大手航空会社でもこういったことが増えていくのではないかと考えられます。(もうすでにいらっしゃるかもしれませんね)
今後、旅客数は増えるのでパイロットの需要も増えるとは思いますが、日本の航空会社のパイロットは今後、どのような雇用・待遇になっていくと、管理者様はお考えでしょうか。
わたしは、女子ですが、訓練生と教官のつながり(いわゆる空の男の上下関係?☆)とか、空の男の情熱(日本人パイロットは特に熱い☆と思います)とか憧れるし、本当にかっこいいと思います。
「日本のエアラインパイロットカラー」が好きなので、やっぱり、日本人のパイロットがたくさんいらっしゃる環境で飛びたいです。今までの自分を支えてくれた人々に恩返しもたくさんしたいし、できれば今の現役のパイロットのみなさんくらいに稼ぎたいとも思っています。
まとまりがなく、大変長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました。
管理者様のお考えを拝見できるのを楽しみにしています。
By KNTさん
回答
KNTさん、ご質問ありがとうございます。
長文で、熱い文章ですね。KNTさんが本当に空が好きなんだなということがひしひしと伝わっています。
また君みたいに遠い国に住んでいる人にまでこのブログを読んでもらえて、僕も非常に嬉しく思っています。
さて、僕が口をはさむ隙がないくらい鋭い視点でこの業界を見ておられると思います。
おそらく、僕の考えもKNTさんの考えと基本的に同じだと思います。
それを話して、日本の航空会社の現状についても少しだけ触れておきましょう。
まず日本の航空会社のパイロットの待遇については、すでに以前に比べて大きく下がっていますし、これからもまだ下がるでしょう。
現にいろんな航空会社で、給与体系の見直しがされています。以前のように2社独占で比較的コスト削減の圧力がなかった時代は終わり、大手でもコストを下げないと潰れてしまう時代です。
ANAも経営状態が好ましくないことはご存知だと思います。
JALが大規模なリストラを行ったことは今や常識でしょう。
LCC以外の子会社はLCCの出現を大手航空会社以上に驚異に感じているだろうし、LCCはそもそも人件費を抑えないといけない。
また僕の知っている限り新たに出現したLCCのパイロットで主になっているのは(特に機長は)JALの退職パイロットや外国人パイロットです。
これから先は自費でライセンスを取得したパイロットをどんどん採用していくだろうし、待遇(特にパイロットでは飛行時間と給料、時間保証を気にすると思います。)は現時点のものよりは下がっていくでしょう。
便数の増加に従ってパイロットの需要は増えていますが、僕の感覚ではまだパイロットは供給過多であると思います。ライセンスをとったものの就職先がないという例が非常に多い。
それには事業用操縦士を持っていても即ラインに投入できないということが関係しているのだと思います。
しかし大手航空会社で外国人パイロットが増えてくるのかというと、それはまだ先のことであるように思います。なぜなら、大手ではパイロットが余っているからです。
JALが海外の航空会社にパイロットを派遣したという新聞記事が以前でていましたが、航空会社もコストを下げたいといえども現役の日本人パイロットを切るわけにはいけないのです。
もう一つ、海外からパイロットが入ってきにくい理由として、権利の問題があります。(外国人パイロットがたくさん入ってきていはいるけど、障壁もあります。)
基本的に外国人が日本で就労するには、法律的なハードルが高いのです。
僕が以前聞いた話では、労働者としてのパイロットではなく、教育者としてのパイロットだと許可がおりやすいと聞いたことがあります。
だから外国人キャプテンが多く、コーパイは少ないと聞きました。
まとまりのない文章となってしまいましたが、1人の意見として参考にしてもらえばと思います。まあ待遇は下がるだろうけど、この仕事が素晴らしい仕事であることには何の変わりもありません。
ぜひともパイロットという夢に挑戦して下さい。待っています。