Boeing 787の苦悩
*この記事は2013年に書かれたもので、現在はB787の不具合は解消されています。今(2021年)では注目すべきはB737-maxについてですね。航空史を知る上で読んでみてください。
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みんな今この飛行機には注目してるだろう。最近(2013/1/25現在)燃料漏れや火災など不具合が多発し、ついに不具合のためANAが緊急着陸まで行い、運航停止になってしまった。
このBoeing 787の事例について、僕なりの見解を述べてみよう。
B787はアメリカのBoeing社の最新の飛行機で、その開発時から世界中に注目されていた。
その理由は、複合材という軽くて強い材料をメインに機体構造に使っていて、大きさは中型機であるB767とあまり変わらないのにも関わらず大型機であるB777に匹敵する航続距離(遠くまで飛べる最大距離)を持っている。
何がいいんだ?と一般の感覚なら思ってしまいそうだが、小さいのに遠くまで飛べるというのはとてつもなく燃費がいいということであり、大量輸送を行わないと採算が合わなかった長距離路線もこの飛行機であれば飛べるということになり、エアラインの戦略に大きな幅がでてくる。まさにドリームライナーというわけだ。
全日空がローンチカスタマー(世界最初にこの飛行機を運航する航空会社)となり、初就航当時の当時は窓が大きいとか、キャビンの電灯がLEDであるとか、トイレがすごいとかテレビでいろいろ言われていたが、実はそんなことはどうでもよく、B787の本質は複合材をメインに使った飛行機だということなんだ。
しかしこのB787はその開発も難航を極めた。
当初の予定では2008年度の初めに引き渡しだったが、機体のいくつかの箇所に不具合が見られ、予定通りの燃費とならないという事態にもなり、さらにBoeing社がストライキにも見舞われ、最終的に全日空が就航を行ったのが2011年の暮れだ。3年強も遅れたなんて、航空会社にとっては迷惑もいいとこだろう。
2012年度の初めに日本航空も就航させたし、戦略機材として、JAL復興の要と位置づけている。
それが最近になってトラブルがたくさん報道されるようになってきたが、2013年の初めなんて連日のようにトラブルが起こっていたよな。
マイナーな不具合は2011年にもあったようだが、それでも最近のこの不具合の連発は異常だった。
もしかしてずっと不具合が起こっていたにも関わらず、報告してこなかったんじゃないか?と勘ぐってしまうほどだ。
まあ邪推はこれくらいにしておくが、実は新機材においてはトラブルが起こるのは避けられない。
世界で初めてのハイテク技術を使っているわけだから、それに伴う不具合も世界初だ。
少し前にヨーロッパのAirbus社がA380という次世代飛行機を開発した時もエンジン系統の不具合があった。
またこのB787は本当に謳われていた燃費が出ていないという話をよく聞く。
いずれにしても今回運航停止ということになったが、これはバッテリーに問題があったと現時点では言われている。
航空会社としてはこれは痛いだろう。
すでに多くの欠航が出ているし、いつまた運航が再開されるのかわからない。
この運航停止はエアラインが自主的に危ないから飛行機止めますとやっているわけではなく、FAA(アメリカ航空局)による命令で、B787の運航を止めざると得ない状況なんだ。
しかし安全が最優先することは疑いないので、早く状況が改善されて運航が再開されることを願う。