ダイバードと引き返しについて質問です。

はじめまして。いつも興味深く記事を拝見させていただいております。今回、旅客機の運航についての疑問を抱いたので質問させていただきました。
私は北海道南部の在住なのですが、先日のある吹雪の日に函館空港の発着状況を観察していました。函館空港発着便は悪天候による欠航や上空待機による遅着が多く見受けられました。
 そんな中、羽田空港を出発した函館行きのある一便は、しばらく函館空港に着陸できずに上空待機していました。この便は函館空港が悪天候の場合は羽田へ引き返すか新千歳へ向かうという条件付き運行でしたが、函館上空で1時間40分上空待機した後、羽田空港へ引き返しました。
この時、私の素人考えでは、当時の新千歳空港は特に大きな問題なく運用されているようでしたので、函館上空からの距離も短く、到着後にお客さんは陸路で函館へ向かうこともできる新千歳へダイバードしたほうがよいのではないかと思いました。それなのに羽田へ引き返したのは、きっとそうしないといけない、私が知らないような判断材料があったのではないかと推察しています。
 過去の記事で、航空機はドアを閉めた瞬間から、全て機長の指示に従わなければならない、と見ました。この時も最終的にどこへ向かうかは機長の判断であったと思います。悪天候などで目的地にたどり着けない場合、機長を始めとしたコックピットのクルーはどのようにして引き返すか、ダイバードするかを決めるのでしょうか。
 個人的な疑問で恐縮ですが、お時間があればお答えいただければ幸いです。よろしくお願いします。
by Flying squidさん
回答
Flying squidさん、ご質問ありがとうございます。
うーん、とてもいい質問ですね。僕も正しく回答できるかわかりません。いやひどい回答かもしれません。
もしこのブログを読んで下さっている機長の方がいれば、ご意見を頂きたく思います。恥ずかしいですが。
その場の判断のことはわからないですが、航空会社の一般的な話をしましょう。千歳もダイバートしてくる飛行機で混んでいたのかもしれません。
飛行機のチケットを買う時に、その契約書のようなものを読んだことはあるかな?
実は僕もちゃんと読んだことがないんだけど、約款というものがあって、そこに契約内容について書かれています。
そこには「目的地まであなたを運びます」って書かれていて、航空会社の側からすれば、函館までのチケットを買ってくれたお客さんに対しては、必ず函館まで運ばなければなりません。
だから近いからといって千歳に降りても、そこから函館まで行くことを考えないといけません。
そうすると、時間帯にもよりますが千歳に行くよりも羽田に帰った方が何かと都合が良かったりします。
羽田からであればまた函館行きの自社便があるかもしれませんし、(本当に申し訳ないことですが)契約の観点から見ればそこで「じゃあいいよ」ってお客さんには返金すればいい。
また飛行中は機長が責任を持ちますが、機長が何でもかんでも決めるわけではありません。この辺は誤解を招く書き方だったのかもしれません。
飛行計画については出発前から「目的地に降りられなかった場合は…」なんて話をディスパッチャーと相談しておきます。
しかし飛行中は天候など状況が変化していく中で、フライトが計画通りにいかない場合、安全のためにどうするという判断は機長が行いますが、特に安全面に問題のない場合はだいたい会社の定石のオペレーションに沿った判断をします。
補足として降りる空港を選ぶ際の判断材料についてですが、オンラインの空港に降りたいというものもあります。
オンラインというのは自分の会社が就航している空港のことで、非常時にそこに降りれば自分の会社のスタッフが旅客の対応をしてくれるのでその後がスムーズです。
特に国際線運航の際にそれが際立ちますが、長距離フライト中に急病人が出てしまったとして、すぐ近くの空港に降りた場合、飛行機が着陸してから患者が病院に行くまでとてつもない時間がかかってしまうことも考えられます。
それだったら、少し遠くてもオンラインの空港を選んで地上スタッフに病状などを前もって知らせておけば、より患者が助かる可能性が高まるかもしれません。
などなど、判断の根拠となるものはたくさんあり、僕もまだまだ勉強しなければなりません。
今日の話も本当に合っているかわかりませんが、全ての質問に回答すると銘打っているので回答しました。間違ってたらごめんね。以上!