パイロット適性と一点集中についてアドバイスを下さい。

過去の記事でパイロット適性検査について書かれていたのでコメントさせていただきました。
私は、パイロットを職業にしたいと考えている大学生です。残念ながら、全日空のパイロット採用試験の航空適性検査にて不合格という結果になりました。
面接官の方に自分はパイロットに向いていないと判断されたということだと考えていますが、その原因は注意の分散ができていなかったのが原因の一つだと思っています。
一点集中とは直らないものなのでしょうか?
全日空と日本航空両方の適性検査を受けて、一方は合格。他方は不合格をもらった先輩方もいらっしゃるようです。
どうしてもパイロットを諦めることができないので航空大学校、他社の採用試験の受験も考えています。
よろしければ、管理人様のご意見をお聞かせください。
By 大学生さん
回答
大学生さん、ご質問ありがとうございます。
試験の結果は残念でしたね、ですが諦める必要はありません。
1社の航空適性検査は落ちて、他社の航空適性検査は受かったという例は数えきれないくらいあります。
僕もその一人です。
試験である以上、ある程度の基準をもうけているのは当然なのでしょう。
自分で注意の分散ができていなかったことが原因であると分析されているようですが、一点集中してしまう性格であることが、そのまま注意の分散ができないことを意味するわけではありません。
自分が(人間が)一点集中してしまう性格であることを認識して、フライト中は(または試験中は)注意の分散ができるような能力を磨いて行くのがパイロットです。
例えば、初フライトで飛行機の操縦もままならないのに、ATCも完璧に聞き取って返事してしまう人なんていません。
さらに上昇や降下中はその巡航高度の手前で注意喚起のコールをすることになっていますが、これも最初から完璧にできる人はいないでしょう。
決められたスピードと上昇率、操縦桿とパワーレバーでこれを調整しますが、最初はなかなか安定しなくて、簡単にできるものではありません。両手をガチャガチャ動かしている間に、レベルオフの高度を突っ切ってしまうことはよくあるでしょう。さらにターンが入るとさらに難しくなります。ターンのロールアウトと上昇のレベルオフが同時のタイミングになったりすれば非常に難しい。
普通の人は操縦に夢中になるでしょう。でも、ここでATCに呼ばれたならば返事をしなければなりません。やらしい教官はそこで話しかけてくるでしょう。もっとひどい教官はそこで怒鳴りつけてくるかもしれません。
しかしイメージトレーニングや実際のフライトを重ねて、ほぼ全ての人がこれをできるようになります。
もっとレベルがあがるとここまでやりながら、空域や次のことを考えてもっと広い方へヘディングを向けておこうとか、そろそろ空港に帰るからそっちに向けておこうとか、次のことを考えておけるようになります。
自分の30%の頭で操縦をしろというのがよく言われることです。
ある程度飛行機の諸元があっているのにもかかわらず、きっちりとしたいがために90%の頭を使ってしまってはいけません。もちろん、きっちり合わせる努力も必要なのですが。
さて、話がずれてきそうですが、これが注意の分散です。
もちろん、最初からこれができる人なんていない。
しかしその傾向を見るために航空適性検査によってチェックしているのでしょうが、これで落ちたからといって自分が注意の分散ができないんだと感じる必要はありません。
最初に言ったように、注意の分散を能力として捉えて、フライト中はそれができるように自分を作り込んでいく。別に日常生活では一点集中してしまってかまいません。僕も映画なんかを見る時は完全にのめり込んでしまって、他の人が呼んでも聞こえなかったりすることがありますが、それは僕の性格です。
しかし、フライト中は注意の分散をしています(願わくばですが)。
だから、質問されているように、一点集中を直すという感覚でなく、注意の分散を行う能力を身につけるという視点で望んでみたらいいと思います。方法はいくつかあるでしょう。僕も昔はそんな雰囲気のゲームをやってみたりしました。効果があったかは甚だ疑問ですが。
もう1つアドバイスとしては、何かをする時は前のめりにならずに、リラックスして全体を見れるように一歩引いて望むこと。また30%の頭でフライトをすることです。僕も最近身にしみて感じていることですが、リラックスをすることは非常に大事です。
回答は以上、頑張って下さい。応援しています。