離着陸時に手動で操縦する理由について質問です。

いつも楽しく読んでいます。
質問です。離着陸時にオートパイロットを解除して手動で操縦すると思うのですが、オートパイロットでは離着陸できない理由とかあるのでしょうか。
よろしくお願いします。
By kenさん
回答
kenさん、ご質問ありがとうございます。
今日は暖かかったですね、寒い日が続いて、ふと暖かくなるといいものです。
離着陸時に手動で操縦する理由について、いい質問ですね。回答を読む前に、現在の飛行機の性能について、また空港の性能について色々と調べてみるとまた面白いかもしれません。
まず飛行機の性能については、現在飛んでいる旅客機のほとんどは自動で着陸する能力を持っています。
しかしその性能については一長一短で、条件が整えばオートパイロットはとてもうまく着陸してくれますが、横風が強かったり、ラフエアーだったりすると飛行機はなかなかうまく着陸してくれません。
僕も昔ひどい経験をしたことがありますが、台風の時でめちゃくちゃラフエアーの時に、勝手にオートパイロットが外れたことすらありました。
ここはボーイングとエアバスでも思想が違うのですが、ボーイングは最終的には人間任せ。コントロールできなくなると勝手にオートパイロットが外れるようになっています。びっくりしますが、それを分かって操縦しているので危険ではありません。そういうものです。
じゃあ次に空港の性能について。現在の飛行機のオートランドはILS:Instrument Landing Systemといって、滑走路の接地点の隣にアンテナがあって、これが出す電波に乗って上下方向のコントロールをします。
簡単に言うと、電波から上に飛行機がずれると降下率を大きく、電波より下に飛行機がもぐると降下率を小さくします。
これで滑走路上約30ftまで飛んで、そこからフレアーモードに入ります。
現状ではこのアンテナがないとオートランドができないわけですが、このアンテナは滑走路ごとに必要になります。しかし、日本の空港においてすべての滑走路にILSは設置されていません。将来的にも、お金がかかる割にメリットが少ないのでないでしょう。
また、ILSが設置されている滑走路であっても、このILSの性能によってオートランドは不可だったりします。だから現状では、そもそも日本の空港においてオートランドができる滑走路はごく僅かだということになります。
将来的には、GLSという、GPSを持ちいたシステムが現在開発中で、これがILSに変わるだろうと言われています。
https://wind.ap.teacup.com/aviationbusiness/852.html
GLSのメリットは、GPSを使うため、ILSのようにアンテナが必要ない点です。そのため、多くの滑走路で精密進入が行えるようになります。
安全性が評価されてからの運用になるのでしばらく時間はかかると思いますが、これが運用されれば運航もだいぶ楽になるのではないかなと僕も思っています。
そんなとこでしょうか。業界研究にもなると思うので、興味があれば色々と調べてみてください。