2021年 航空業界マップ

2021-07-05

2020年度の決算があらかた発表されたので、現在の航空業界マップを作ってみた。
こういうのをインフォグラフィックスっていうんだけど、感覚的に物事がわかっていいよな。

さて、まずはグラフの説明をしておこう。
まずデータは2020年度、つまり2020年4月1日から2021年3月31日までの航空会社発表の決算資料を使ってる。
でも意外と決算をWEB Page上で公表していない会社もあって、そういうのは別で拾ってきたデータを使ってる。見つからなかったものは、しょうがなしにその一年前のデータを使ってる。かっこ書きで入れたけど、フジドリームと春秋航空は2020年発表のデータだから、その前年度の数字だ。だからコロナの影響を本格的に受ける前のデータだから入れることに違和感はあるけど、これよりも2021年度は数字が小さくなると思って読んでほしい。

またこういうのって何のデータを使うかが結構難しいし、センスを問われるんだけど、円の大きさはその売上にしている。
売上とは航空会社がチケットを売って入ってきたお金。ANAやJALは貨物やその他の事業もやってるからその売上も入ってる。

売上と利益は全然違って、売上から人件費や燃料代など様々な経費を引いた金額が最終的な航空会社の取り分、利益になる。
2020度に限っては多分すべての会社が利益はマイナス、赤字だと思う。
なんで売上をメインのデータに据えたかというと、売上って要するにその会社の影響力なんだ。

『でかい会社』という時に何をもってでかいとするのかはっきりしないんだけど、従業員の数や売上、利益、なんでもいいんだけど、売上をその会社のサイズに選ぶのが適当なのかなと僕は思う。

またこのグラフには日本のすべての航空会社が入っているわけではない。
例えばJ-AIRやANAウイングスなど、親会社の100%子会社はその決算が単独で発表されてないのか、僕が見つけられなかっただけかもしれないけど、売上の数字が参照できなかったので除外してある。またZIPAIRもまだデータがないので除外した。来年ZIPがどう入り込んでくるのか楽しみではある。
つまりANAのデータの中にANAウイングスやエアージャパンが入っているし、JALのデータの中にはJ-airやJACも含まれているということだ。

では行ってみよう。
まずはグラフを見てほしい。円の大きさは売上で単位は億円だ。色はANAの資本が入っていたり業務提携している会社は青。JALと関係がある会社は赤。横軸に意味はなくて、縦軸は機材の数をプロットしてみた。

パッと見て、業界マップだなんて言ったもののANAとJALが圧倒的にでかいことがわかると思う。
同じ陣営の2番手の会社といえども、ANAやJALの10分の1にも満たない。

またANAとJALでは、ANAの方がでかい会社だと言っていいと思う。
これは2010年にJALが破綻して、ANAが逆転した結果だ。若い人は知らないかもしれないけど、昔はJALが日本一の航空会社だったんだぜ?

この数字はコロナ禍で各社、売上も利益も激減している中での数字になるんだけど、コロナが収束するに連れて前の数字に戻っていくのか、この数字との中間くらいのところに落ち着いていくのか、神のみぞしるだ。

ちなみにANAの2019年度の売上は1兆9742億円、JALは1兆3850億円。2020年度ではそれぞれ1/3くらいにまで売上が減ったことになる。それくらいダメージがでかい。

次にグラフの下へ目を向けてみると、意外とPeachとJetstarの円がでかいことに気づくと思う。
それだけLCCが頑張っているということだと思うけど、売上を円の大きさにしている以上、『薄利多売』の企業は円が大きくなる傾向がある。しかしそれを加味しても、僕自身驚いた。
スカイマークやAIRDO、ソラシドなど割と古い会社よりもでかいんだもんな。

前の記事でAIRDOとソラシドの合併について書いたけど、AIRDOとソラシドを足すと約380億円と、スカイマークよりも大きくなるけどPeachよりは小さい、というサイズ感になるな。

もう一つ、驚いたのはフジドリームズのサイズだろうか。
これはコロナの影響を受ける前のデータを並べちゃってるんだけど、こんなに売上の上がっている会社だとはイメージできてたかな?
フジドリームは略してFDAと呼ばれるんだけど、FDAは静岡に拠点を置く会社で、エンブラエルという小さめの飛行機で地方から地方をメインに飛ばしている会社で、大手がほぼ独占している羽田から地方都市を結ぶドル箱路線を飛ばしていないにも関わらずこれだけやれているってのはほんとにすごいことだと思う。

あとは時間の都合上ここには入れられなかったけど、新中央航空という航空会社もあって、東京都の調布から伊豆諸島に飛行機を飛ばしている。ここの売上が12億。

このグラフをしばらく眺めて、航空業界の力関係について感覚的に掴んでほしい。