一生食っていくことについて相談です。
はじめまして。
最初に、感謝の気持ちをお伝えさせてください。
4年と少し前から、毎日、本当に毎日、ブログを拝見しております。
こちらのブログを見つけたきっかけは、就職活動でした。
修士1年当時、やりたい仕事が見つからず思い悩んでいました。
大学(院)ではロボットや人工知能について学んでいたので、その延長で仕事を探していました。
しかしながら、人生をかけたいと思えるものは見つかりませんでした。
そんなときに、飛行経験なしでもパイロットになれることを知り、詳しく調べる中でこちらのブログに辿り着きました。
パイロットの仕事の奥深さ、管理人さんの考え方に惹かれ、その日は一番最初の記事から夜通し読み続けたのを覚えています。
その後、ANAとJALの自社養成パイロットを受験しました。
ANAの方は3次試験の航空身体検査まで行きましたが、眼科に引っかかり、再検査も虚しく不合格となりました。
不合格を受け取った日に、いまの会社でシステムエンジニアとして内定を受け取り、これが自分の運命だと悟り、受け入れるに至りました。
パイロットへの憧れ(未練)が絶えることはありませんが、管理人さんのブログを読むことで少しずつ気持ちを整理する毎日です。
様々な記事を通して管理人さんの考え方を理解する中で、それは自分の生き方、働き方を見直す上での重要な柱の1本になっています。
こんなにも貴重な内容を継続的に更新してくださり、本当に感謝しております。ありがとうございます。
管理人さんは心の師匠です。
前置きが長くなりましたが、続いて質問をさせてください。
一生食いつないでいく上でのリスクヘッジについてです。
例えばパイロットの場合
・航空需要の減少によるリストラ(コロナウイルスによる移動制限、技術革新による代替技術の台頭など、原因は様々にあると思います)
・チェックでのフェイル
・健康状態の悪化
など、様々な理由によりパイロットとして収入を得られなくなるリスクがあると思います。
言い方はよくないですが、パイロットは潰しが効きにくい職業だと思い、他の職業とは異なるリスクもあると思います。
管理人さんはそういったリスクに対してどのように考え、どう対処していく(またはしている)か教えていただけませんでしょうか。
私はいま27歳で、システムエンジニアとして働き始めて4年目になります。
・いまの会社で働き続けてよいのか、転職するならばどの会社がよいのか
・エンジニア一本で食っていけるのか
・パイロットの道に再挑戦するのはどうか、パイロットになるまでの間、食っていけるのか
などといったように思い悩んでいます。
自分の結論としては、どんな仕事をしていても、本業一本ではなく副収入を得る術をいくつか持っておきつつ、早めにある程度の資産を蓄えるのがよいと思い至りました。
半ば自己完結してはいますが、ぜひ管理人さんの考えをお聞きしたいです。
長くなりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
By らどみさん
回答
らどみさん、ご質問ありがとうございます。
また非常に嬉しいコメントをありがとう、嬉しくて、何度も読み返してしまいました。
まずはパイロット受験、残念です。
でも君のように自分の将来について真剣に考えて、本気で向き合った結果であれば、無駄な経験ではありません。その悔しさや、納得がいかないこと、言葉にできないような思いもあると思います。でも、それも含めて今後君の財産になると思います。
それでは回答に入ります。
生きてく上でのリスクヘッジについて。
いろんな考え方があっていいと思うのですが、僕は人生に対してリスクヘッジは必要だと思っています。
君の言うとおり、パイロットは潰しが効かない仕事で、他の職種と比べて職を失う機会が多いと思います。
それぞれ考えてみますが、まず一番多いのが身体検査に通らないというケースです。
これは本当に死活問題だし、よくあるケースで、僕は今30代後半に入っていますが、前後の期の人で、身体検査に引っ掛かり飛べなくなった人が数人います。
しかしこれに対しては制度が保障してくれています。
LOA(Loss of License)と言うパイロット専用の保険で、身体検査に通らなくて乗務ができなくなり、収入が減った場合に乗務していた頃の収入の8割だとか、航空会社や契約する保険会社によっても違いますが、毎月保険を払うことによりリスクヘッジをしています。
もちろん、お金は貰えるからよかったねって話では決してなく、まだ30代で飛べなくなることの無念は相当なものだと思います。しかし、収入は保障されます。生活は保障されます。
次にチェックフェイル。これはあまりないのですが、たまにあります。一度フェイルしても大抵はリチェックといって、再訓練の後にもう一度チャンスがもらえます。しかし、これにも通らないというケースがたまにあります。
この場合、その会社ではパイロットとして飛ぶことはできなくなります。
普通は配置転換して、地上の業務を行うことになります。この場合は当然、LOAは使えません。収入が減った場合にはそれは保障されません。
ただ、このケースでは多くの場合、他社に転職してそこでパイロットをやるという人が多いですね。そういう意味ではリスクに対して対処できる場合があるということになります。
最後に今回のコロナウイルスのような外的な要因でリストラにあった場合ですね。
これは厳しいことになります。
2010年にJALが倒産した時は、多くのパイロットがリストラされましたが、その幾らかの方は海外を含めた他の会社にパイロットとして転職し、また他の幾らかの方はパイロットの仕事を辞めました。辞めた方が他にどんな仕事についたのか僕には分かりませんが、テレビでみたところだと翻訳家になった人や、タクシーのドライバーになった人の話が報道されていました。そのまま引退された方も多いと思います。
しかし、今回のように世界的な航空業界の不況時においては、他社にパイロットとして転職するという選択は難しくなると思います。しかし最近まではパイロットが足りないと言われていましたが、航空業会がまた盛り返してくればその時に再就職できる可能性は十分にあると思います。
以上から、パイロットとしては上の3つ目のリスクが最も厳しく、何らかのリスクヘッジをしてもいいと思います。
リスクヘッジの手段としては、貯金や投資、副業が許されている会社であれば副業などいろんな手段がありますが、まず必要なのは知識だと思います。
生きるためにはお金が必要ですが、失業した場合にどれくらいのお金が必要なのか、資産を作る上でどう考えればいいのか、いろんな考え方があります。
例えば、まずは転職が決まるまでの貯金があればいいという考え方があります。もちろん、その他の資産は無駄遣いするのではなく、他の資産の形で持つ。
貯金は安全な資産ですが、銀行に貯金していてもお金はほとんど増えません。
かといって株に全ての資産を回してしまうのはリスキーです。
すぐに使える最低限の資金だけ貯金としておいておいて(これは転職活動にかかるであろう期間分の生活費になりますね。一般的には1-2ヶ月分でしょうか。)、他は日本株、日本債権、外国株、外国債権、REITなどその他の資産に配分を考えて持つというのが資産の管理として最もヘッジが効いていると言われています。これをアセットアロケーションと言います。興味があればいろんな本が出ているので読んでみてください。
ちょっと話がそれました。
まずは転職活動にかかる期間分の貯金をおいておくことが絶対に必要になります。
これがいくらになるのかは人によります。
自宅のローンがある人や、若い人はパイロット需要が盛り返すまでに他の仕事をするにしても職は見つかりやすいでしょう。しかし歳を取ればとるほどこの期間は長くなるだろうし、お金が必要です。逆にパイロット以外に専門的なスキルを持っている人は他の仕事を簡単に見つけられるかもしれません。
まずはこれを自分に当てはめてイメージしてみて、必要な貯金はして、その上でパイロット以外の収入源になるようなものを探すことは有意義であると思います。
じゃあ僕は?というと、副業、専門的なスキルを含め、まだ何もありません。申し訳ない。
というのも、優先順位の問題もあるのかなと思います。
リスクヘッジも大事だけど、本業に力を注ぐこともまた重要です。
パイロットの場合、副操縦士から機長になるのには相当な勉強、日頃の努力が必要です。
言い訳も多分に入っていますが、「後のことは機長になってから考えよう」という気持ちもあります。
ただ、リスクヘッジというよりそれが面白そうだから、という理由ですが、会社を作ってみたり、ネットを使って面白いことができればやりたいなーと思っているし、それに必要な知識は本を読んで勉強しています。本も書いてみたいなーとか、いろいろやりたいことはあります。それが収入になれば最高ですね。
しかし副業解禁を政府の方針として挙げられていますが、会社によってはまだ禁止されているところもあります。その場合にはやはり注意が必要だと思います。結婚しているならば、妻にやってもらうという手もありますね。
なんだか支離滅裂になってきましたが、副業やリストラされた時に再就職するために専門的なスキルを身に付けるというのならば、自分の興味があること、楽しいと思うことでそれを選ぶのがいいんじゃないかなと思っています。
また、インターネットやパソコンのスキルは現代においては非常に強い。
インターネットと自分の強い分野を組み合わせれば本業以外で収入を得ることは簡単ではないですが、不可能ではありません。
ユーチューバーやインスタグラマーなんかがその際たるものですが、それにも限りません。
写真の好きな人が普段はサラリーマンをやっていて、休日には結婚式などのカメラマンの仕事をして収入を得ている人もいるし、人気ブログを作って収入を得ている人もいます(残念ながらこのブログは全く収益があがりません)。
昔面白いなーと思ったことがありますが、「さおだけ屋は何故潰れないのか」という本を聞いたことがあるかな?
公認会計士の方が書いた本ですが、これは会計のように専門的で他の人からはなんだか難しそうで自分にはちょっと、、でもこの知識があったら色々便利なんだろうな、みたいなテーマを誰にでも分かるような例を挙げて分かりやすく解説した本で、大ヒットとなりました。
ネーミングもいいですよね。
どんどん話がずれていきますね。
今までは日本は新卒一斉採用、終身雇用が普通でしたが、それが今後は続けられないんじゃないかなぁと僕は思います。
強い専門性や、突き抜けた優秀さがあれば引く手数多でそれ自体がリスクヘッジになると思います。しかしそれでは業界全体の不況には対処できません。そこまで考えてリスクヘッジする必要があるのかというのもまあ難しいところですが、まずは自分の専門性や能力を磨く、知り合いを増やす。その人たちに必要とされるような魅力的な人間、誠実な人間になる。興味があることで、収入の種になるようなことを探す。
やらなきゃならない!となると苦しくなってしまうので、気軽に自分が気持ちよくできるペース、内容で考えてみればいいんじゃないかなと思います。
以上、長くなったし、なんだかバラバラな文章になってしまったけれど、僕なそんな風に考えています。
参考になればと思います。
最後にですが、もう一度パイロットを志すも、システムエンジニアとして一生懸命腕を磨くもの、他に面白ろそうなことを探すのもいいと思います。
何か決まったらぜひ教えてください。お互い、いい人生にしましょう。
ディスカッション
コメント一覧
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らどみさん
今回のコロナの影響を見ていると、パイロットだけでなく航空業界という職業がリスクの高い業界だと言うことがよく分かりますね。
ただ、リスクが高くても、本当にやりたい仕事をするのが自分の人生を後で振り返って悔いない生き方だと思います。
まず気になるところですが、
>ANAの方は3次試験の航空身体検査まで行きましたが、眼科に引っかかり、再検査も虚しく不合格となりました。
ですが、眼科で何がかかったのですか?航空身体検査にかかるのでしたら現実問題としてパイロットになれませんので、原因をはっきりさせておいた方が良いです。
当然、想定されるリスクには対応できるようにしておかなければなりません。
リスクヘッジができなかったために今回のコロナ不況では倒産や失業などで苦労されている方は一杯います。
ですから万一に備えて副業を持つと言うことも良いことだと思います。もちろん、想定される本業に対するリスクを回避できるような副業でないと意味が無いですが。
管理人さんが、1-2ヶ月の生活費をと書かれていますが、今回の様な惨状を見れば、サラリーマンなら失業しなければ、倹約すればなんとか半年ぐらい食いつなげるかもしれませんが、個人事業主だと、固定支出があるのでとても持ちません。
収入を分散することは、一つの改善策ではありますが、結局は個人の収入として税金ががっぽりかかってきますので、いくら副業で稼いでもそれほど早期に貯蓄額が増えることは無いでしょう。ですから、理想的なのは結婚していればツインカムです。その際もどうすれば世帯として必要経費や税金を最小にして資産をいかに残していくかと言うことを考えることが大切です。
投資については、たしかにアセットアロケーションは大切なのですが、現在、世界的な低金利で債券は貯金と一緒で利回りが悪いです。また、どの投資でもそうですが、目先の利回りだけにとらわれずに、為替や手数料に税金まで考えて投資する必要があります。
一攫千金を狙って株やFXなどを始める方もいますが、投資の方法以上に税金の勉強をしておかないと、「億り人」となっても、後でとんでもない税金がかかってきて自己破産することになります。また、自分の解らない物には投資しないことです。世の中、楽して確実に儲かる話はありません。そういった意味では、一般教養としてFPの勉強を一度されると良いと思います。日本では、学校で投資などについて学校で学ぶ機会はあまりないですし、税金も源泉徴収制度のために納税を意識する必要が無いために、サラリー以外の収入以外があると税金を減らす手段を知らずに損することが多いと思います。大手証券会社に相談しても鴨がネギをしょって行くようなものです。相手も手数料商売ですから、利益背反の関係ですので、自分の好きなことをして生きていくためには、不労所得を得て、お金の呪縛から解放されることですが、そこにたどり着くにはそれなりの努力と経験が必要だと思います。
不労所得の名著と言えば、ロバートキヨヒサの「金持ち父さん貧乏父さん」ですが、不動産投資中心の本ですが、この通りやれば金持ちになれるというものではなく、不労所得の大切さを知るのにはよい本だと思います
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>息子をパイロットにしたい眼科医
ありがとうございます、勉強になります。
不労所得を作るのが一番だとは思うのですが、なかなか難しいです。
私も何かしたいなとは思っているものの、上記のように実行はできないでいます。
今後もぜひいろんなアドバイスをお願いします。
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楽になるためには不労所得を増やすことと、支出を減らすことです。けちけち生活をしようというのではなく、無駄な出費を減らすことです。所得は増やせば増やすほど税金も増えますので、税金や社会保険など特に額の大きいものも一緒に勉強すると返ってくるお金が増えますのでより効率よくお金を残すことが出来ます。株に投資をして利益を上げて確定申告をしたとして、申告の仕方で1つで払う所得税、住民税、社会保険料なども変わってきます。また、節税するには申告時では遅く、株の売却時に景気浮揚策としての減税制度などをよく調べて株を売るとかなり税金で得をすることもあります。
所得を増やすことよりも、ふるさと納税などもそうですが、こういった節税などの知識を持つ方が結果的に確実に得をすることが多いです。
それから、副業にして投資にしても、副収入を得るためにするわけですが、決して本業がおろそかになるような事はしないことです。特に、このような航空不況時に、管理人さんが、ANAとJALの大株主だったらとてもじゃないですが、落ち着いて仕事に専念できないことでしょう。リスクの分散は大切です。