今は別の夢

2012-12-21

先日すばらしいコメントを頂きました。
パイロットを目指すすべての人に読んでほしいので、ここで紹介します。

夢散ったおやじさん、僕もこれを読んでパイロットを受験していた頃のことやそこで出会った友達のことを思い出しました。
こんなに素晴らしいコメントを頂いて本当に感謝しています。

管理者様

私は十数年前に自社養成パイロットを受検し、見事に夢散ったアラフォーオヤジです。
先日親戚の子にパイロットになりたいと相談され、最近の状況を調べている内に辿り着き
ました。

私は今は航空関係とは全く違う仕事をしておりますが、受検の際に経験したことは現在で
も私の人生に非常に大きく影響しております。

本当に素晴らしい経験でした。

私は当時、地方の国立大学工学部の学生で、土木工学を専攻していました。
パイロットになりたいという気持ちはあったものの、土木も自分には合ってる気がしてい
たし、土木で飯食っていくのも悪くないと思っていました。

ただ、行動に移さずにパイロットの夢をあきらめるのも悔しいので、何とか勉強し自社養
成の試験を受けることにしたのです。

何次試験だったか、同じホテルに泊まっている受験者十人程で夕食をとることになりまし
た。

みんなすごかった。

会って少し話しただけで、勉強もスポーツも人並み以上に努力してきた人たちだと確信で
きたし、パイロットという夢に対する情熱がハンパじゃなかった。

再受検を許されない、最後のチャンスを掴むための男の覚悟とか情熱とか、こうもかっこ
よいものだと垣間見ることができました。

私はこういう人たちがパイロットになるんだろうと彼らを見て思いました。
しかしそれでも、その時に連絡先を交換した全員が最終的には散りました。

採用に至るということがどれだけ難しいことか、あらためて痛感しました。
夢に見るほどあこがれていた職業にもう一歩の所まできて、それを閉ざされる悔しさは想像を絶します。

彼らのその後は知りません。

おそらくエアラインパイロットという道はなくなったと思います。

でも、確信できるのは、彼らは今ごろ別の道できっと一流になっている。
きっと別の道で同じような情熱をもって生きている。

そう思えるくらいバイタリティに溢れ、魅力的な男達でした。
だから私は今、彼らに負けないよう今の道を進みます。

仕事で行き詰ったとき、彼らだったらもっと面白いことを考える。パイロットだったらこういうところは妥協しない。そんな風に自分を奮い立たせることがあります。
たった数時間の彼らとの出会いはその後の私の人生を本当に豊かにしてくれたと思っています。

管理者様をはじめ、パイロットの道を開いた方々に対し、本当に尊敬します。
あんな素敵な人たちと一緒に仕事ができることは、本当に素晴らしいことです。

あまり人に言えないことですが、私の思いを吐露させていただきました。

最後に空を目指す若者達へ

合格体験記より不合格体験記の方が役に立つこともあると思うので聞いてください。
あの試験は、「飛行機を操縦できる人間」ではなく、「エアラインパイロットになれる人間」を探しています。正解は無いかもしれませんが、私の印象では、少なくとも自分なりにその答えを持って初めてスタートラインに立てます。それが分かって、何が必要かを
考え、実行し、体得した人たちの中で、すこぶる健康な人だけが、採用という狭き門をくぐることができるでしょう。

あなたが命を預けるとしたら、どんな人に預けますか?

合格された方は、自分がそういう人間だということは言いにくいかもしれません。
あなたたちが目指しているのは、「そういう人達ばかりがいる職業」ですよ。

がんばれ。

駄文長文失礼いたしました。

飛行機に乗るたびに、ああいう人たちが操縦しているから安心して乗っていられる。そう思っています。