慌てないメンタルについて相談です。
こんにちは。
いつも楽しく拝見しています。
お尋ねしたいことがあります。
それは慌てないメンタルの持ち方についてです。
私は他の業界の運行部門で働いていますが、急なトラブルの対応の際に慌ててしまいミスをすることがあります。
パイロットの方々は異常時には慌てないために訓練や準備をどのようにされているのでしょうか?
それとも慌てない性格の方がパイロットになられているのでしょうか?
アドバイスをお願いします。
By はらっちさん
回答
はらっちさん、ご質問ありがとうございます。
慌てないメンタルですか、僕も、いや僕に限らず、現場で働く全ての人の課題だと思います。
パイロットしてどうするかと言うと、やはり異常事態を事前に想定しておくことだと思います。
航空業界ではICAOという世界規模の航空安全を守る機関があって、航空事故が起こってしまった場合にはその調査を行い、その原因や対策を発表して、それを誰でも見ることができます。
これはものすごいお金がかかるし、航空業界ならではの組織だと思います。
パイロットは毎年審査を受けますが、その中で最近起こった事故事例について知識確認、また自分だったらどうする?なんてことを聞かれることが多いです。まあ聞かれなくてもパイロットならば事故について自分で勉強して、それについて深く考えて、自分だったらどうしたか、どうしたら生還できたのかを考えておかなければなりません。
これは実は気の遠くなるような作業で、例えば2018年にサウスウェスト航空機がエンジン故障と共に急減圧が起こったという事故がありましたが、じゃあこれに対して同じ状況で自分だったらどうしたかを考えます。
この作業ができていると、いざ自分の身に同じことが起こったとしても、対応できる可能性が高いと思います。慌てはするでしょうが。逆に何も考えていなかった人はパニックになって何もできないかもしれません。
しかし、同じことがじゃあ離陸上昇中に起こったら?とか、着陸直前に起こったら?とか、またエンジン故障と他のトラブルが同時に起こったら?とか、ケースとしては無数のケースが想定されます。
また今回は大きな事故をあげましたが、そのほかにもいろんな小さなトラブルがあります。小さなトラブルでも、正しく対応しないと危険な状況になってしまうこともあります。
だから大きなトラブルだけでなく、小さなトラブルも会社で共有するし、もっと小さな、同期とのミーティングで失敗したことなんかを共有します。それでじゃあどうすべきだったのかディスカッションして、自分なりに対応策を考えておくことが必要です。
これらについて、愚直にイメージして対策をしている人が、優秀なパイロットだと僕は思います。
たまに鉄の心の持ち主みたいに慌てない人もいますが、多くの人はそうではありません。コツコツとした努力が必要なんだと思います。