中学三年生からできること

初めまして。 
私は現在、中3です。
そして、将来の夢は女性パイロットです。
突然ですが、大きく分けて3つの質問をさせていただきます。
 
1. 航空専門学校に行くほうが、自社養成よりパイロットになるのに有利になったりするんですか。
2. パイロットには論理的に物事を見る力がいるとおっしゃっていますが、その力は訓練で身につくものですか。
また、身につけるためにできることはありますか。
3. 中3の今から、パイロットになるために注意することとか、やっておいたほうがいいことってありますか。
 
まだ、パイロットになるのに時間があり、もしかすると、新しい夢ができるかもしれません。
でも、私は、今、すごくパイロットになりたいと思っています。
夢を実現するために、今からできることを精一杯、やりたいと思います。(もちろん、この時期、勉強も大切なのですが)
 
毎日、お忙しいと思いますが、アドバイスをいただけるとうれしいです。
※多少、失礼な表現や、分かりにくい表現があるかもしれません。すみません。 
 
by fieさん 
 
回答
fieさん、ご質問ありがとうございます。 
中学3年生。今から夢をおいかけるなんて、素晴らしいことです。君の文章も、中学生とは思えないほど整然としていています。
 
では順番に回答しましょう。
まず1番目の「航空専門学校と自社養成の違い」 について。これは先の大学でのパイロット免許取得でも述べたので一読して下さい。
航空専門学校と自社養成 パイロットの1番の違いは、当然ですが、「すでに航空会社に入っているかどうか」でしょう。
例えば、超難関の航空大学校の門を開けたとしても、卒業するさいには航空会社への入社試験を受験しなければなりません。
私にもたくさん知り合いいるのですが、特に今はJALグループからの採用がなく、一昔前に比べて非常に厳しい就職状況となっています。せっかく厳しい訓練を終えても、そこから就職先がないという事態も現実として起こっています。
 
逆に自社養成パイロットの場合は、文字通り航空会社に入社するわけですから、就職先の心配をする必要がありません。当たり前ですね。そして比較的大手の航空会社で、世界、または日本全国を飛び回ることができます。
しかし、その門は極端に狭い。7,8千人受けて、受かるのは100人に満たない  。常識的に考えて、「自分は将来絶対パイロットになりたいんだ」という人の選ぶ道ではありません。自社養成をまず受けて、その後だめなら航空大学校なりアメリカへパイロット留学をするという選択は大いにありえますが。
 
したがってfieさんがおっしゃっているように、どちらが有利というものではありません。また、東海大をでてANAに入社するのも、自社養成でANAに入社するのも扱いは同じです。
もちろん、自社養成組は同期がたくさんいるという現実はありますが、専門大学から入ってきたからというだけの理由で差別するような小さい人は僕の知る限りこの世界にはいません。 
 
だから、どっちが自分にとって適切な道であるかが判断基準になります。
割と経済的に余裕があって、どうしても空を飛びたいというならば専門大学(正確にはパイロットの免許も取れる、総合大学です)に入学する方がいいし、学力に自信があって自分は一流の大学に入って、職業選択一つとして自社養成パイロットを目指してもいい。僕はどちらかというと後者の方でした。
航空大は大学2年次の時に受験はしましたが不合格となり、 東海大などに行く経済力はありませんでした。最も、私が大学に入ってから東海大のパイロットコースができたのですが。でも、自社養成に落ちたら就職してお金を貯めて、パイロット留学に行くという程の根性もありませんでした。
 
どちらが自分の信条にあってるのか、それを考えてみて下さい。
 
 
次に2番目、「論理的にものごとを見る力」について。
 
これはもちろん訓練によって培われるものです。いや、これでは漠然としていてわかりませんよね。要は、百回やって百回とも失敗しちゃいけないわけです。
例えば、滑走路の延長線上に直角で入ってきて、90°のターンで一発で滑走路の延長線上に飛行機を乗せなければいけない。うまい人ならばなんとなく「この辺かなー」なんて感覚的にターンを開始してうまくセンターラインに乗せられたりもするのですが、それを百発百中でやらないといけないわけです。
だから、旋回半径を計算しておいて、どこでターン開始しなければならないってのを最初から決めとくわけです。もちろん飛行機は風があれば流されますから、それも計算しておいて頭の中に入れておきます。
 
実際に飛んでいる時は、「いつもならあの池の横でターンをするけど、今日は追い風が20ktあるからあの公園らへんになるな 」って考える。これが論理的に考えるということです。
 
論理的に論理的にと言いますが、もっと正確に言うと自分の行動に明確な根拠を持つということです。
 
因みに、これができる人は別にパイロットだけじゃなくても一流になれると思います。僕の大学時代の友人でこいつ程論理的な思考ができるやつはいないという人がいましたが、成績は超優秀で、就職はそれを認められて外資系の金融機関に務めています。
 
 
最後に、「中学3年生からやっておくべきこと」について。
 
これが1番回答に難しいのですが、パイロットといえども中にいる人間は千差万別です。こんなことをいってしまっては元も子もないのですが、それでも最低限必要なことを、また僕が個人的に大事だと思うことをこのサイトで議論しています。
 
最低限健康であることは紛れもなく重要ですので、それを守ったうえで、パイロット養成道場等を読んで、自分で考えて下さい。
 
もちろん、他にやりたいことが見つかってもいい。素晴らしい仕事は世の中にたくさんあります。いろんなことに興味を持つといいでしょう。それで君の知識が広がり、見識が広がり、人間性に幅がでる。そんな人とは話していても楽しいものです。
 
回答は以上になります。君はまだ若いし、可能性は無限にあります。青春を謳歌して下さい。その中でやはりパイロットというならば、アドバイスくらいならあげられます。 
頑張って下さい。