パイロットのつらさ

2011-02-17

今日はこの仕事のつらさについて述べよう。ここではつらいことだけ述べるが、他で述べているようにすばらしいこともいっぱいあるからな。

この仕事にあるのは陰湿な類の辛さだ。

消防士みたいに肉体的につらい思いをすることもないし、出版社の人みたいに徹夜が続いてるということもないし、ITエンジニアみたいにパソコンをずっと見つめて目が疲れて肩も凝るってこともない。

僕は他の仕事の辛さを経験したわけでもないんだが、学生時代は工学部だったので研究で忙しく、何日も学校に泊まってずっとパソコンの前に座ってた経験がある。
『なんでこんな辛い思いしてんだ俺』なんて思ったりもしたが、この仕事のつらさの非じゃない。

どんな辛さか。

これから仕事を辞めるまでずっと、地味な勉強と地道な努力を続けていかなければならない。そしてその努力の先にあるものは普通のサラリーマンみたいにでっかい契約だとかそんな華やかな業績ではなく、できなければ職を失うというネガティブなモチベーションによるものだということだろう。

もちろんパイロットが全てそんなことを考えているわけではないし、僕の主観も多いに入っているが、僕らの仕事には『チェック』というものがある。これは前にも述べたよな。これに落ちるとどうなるか、しばらく飛べなくなる。で、また再チェックを受けてやっぱりだめだったら、、パイロットを辞めなければならなくなる。

と同時に『身体検査』があるってのも知ってるよな?こっちはもっとどうしようもない。
一年に一回、この二つの歓迎すべきイベントがやってくる。

若い頃でも緊張したものだけど、歳を食うごとに同期や周りのパイロットがちょこちょこ引っかかり出して、「○○、最近体で降りてるみたいよ」なんて話題が増えてくるにつれて、どんどん他人事ではなくなってくる。

最近はそもそもアルコールに関して厳しくなったけど、健康のためにもお酒や食事には気をつけないといけないし、そもそも外泊の多いこの仕事ではそれがなかなか大変だ。

運動も定期的にしてなんとか健康を維持しなければならない。

まあありふれた言い方をすれば、『ずっと何かに追われてる』みたいな仕事だ。

どんな仕事にも良い面と悪い面があるのは当たり前。

パイロットといえども例外ではない。

しかしこれらを超える楽しみがあるのも事実だが、これらの事を知っておいて欲しい。

追記:この記事について質問をもらったので、少し深く掘り下げてみた。興味のある人は読んでみてほしい。

パイロットの辛さについて質問です。