レガシーへの転職はできますか?

以前質問させていただいた際、お答えいただきありがとうございました。

いくつかの記事の中で、以前より航空会社間でのパイロットの移籍が活発になっているというようなことをおっしゃられていますが

例えばANA↔SFJや、SFJ↔NCA、またSFJ↔海外のような、違う規模の会社(レガシー↔リージョナル)や、旅客と貨物、国内と海外のような種類の違う会社での移籍の難易度や頻度はどの程度なのでしょうか。

文が拙く分かりにくいかと思いますが、ご回答よろしくお願いいたします。

by TNさん

回答

TNさん、ご質問ありがとうございます。
違う規模の会社、旅客と貨物、国内と国外、これらのパイロットの転職もあります。1点を除いて。

それは上の例で言うと、ANA→SFJはありますがSFJ→ANAはありません。
たぶん今のところ、機長も副操縦士共にありません。

つまり大手2社から出ていくことはできるけど、外から入ることはできないという感じです。
『一方通行』なんて言われたらもします。

その理由として大手航空会社はパイロットの絶対数が足りているという点と、組合が強いという点があると思います。

例えばANAに外の会社から機長が入ってきたとすると、もともとANAにいた副操縦士の機長昇格が遅れてしまいます。

会社の経営陣としては外から機長をとっちゃった方が安上がりだし、機長の数にそこまで余裕があるわけでもないので外から取りたくとも、必ず組合と揉めることになりやりたがりません。

海外では大手航空会社もパイロットの転職も受け入れていますが、もともと機長で飛んでいた人でも大手に入ると副操縦士からやり直しというところが多いです。
これも組合が強いからです。

だから大手に行きたいたいう思いはみんなあると思いますが、今のところは日本では最初のキャリアで大手に受かるしかないということになります。

今後パイロット2030年問題などが深刻化して『そんなこと言ってられねぇよ』となれば状況も変わるかもしれません。

その他のケースを見てみましょう。

旅客⇄貨物については、現状貨物専用の航空会社が国内にはNCAしかないので必然的に数は少ないのかなと思います。

またその貨物唯一のNCAの待遇や諸条件がいいので、NCA→旅客はあんまり聞いたことがありません。

次にSFJ⇄海外について。(SFJ推しなのかな?)

まず基本的に国際線、国内線の区別はパイロットにとってそこまで意味はなくて、ワイドボディとナロウボディの差が意味を持ちます。

ナロウボディとは通路が真ん中に一本の飛行機、エンブラエルやB737、A320などですね。

ワイドボディとは通路が2本以上ある飛行機で、B777やA350などが入ります。

海外のパイロットの採用では機種別にパイロットを募集されることが多く、『ワイドボディで1000時間以上の飛行経験』とか決まっていたりします。

現状国内の航空会社でワイドボディ機を運航しているのは大手2社とZIPAIRだけなので、そこと他の航空会社の差は割と大きいのかなと思います。

この転職の頻度も多くはありません。国内と海外の航空会社への転職はメリットも大きいけどリスクもそれなりにあって、日本の会社で働く分にはコロナなどで経営が危なくなっても最後まで雇用は守られますが、外国の会社では比較的解雇の対象になりやすい。またパイロットを解雇する場合にはやはり外国人から切っていく傾向があるので、不安定になってしまうこと。

また将来日本の航空会社に帰ってきたいと思っていても、そのタイミングで採用があるかの保証はないこと。

他にも隠れたリスクがあるかもしれません。
それを考慮しても魅力的な外国のエアラインはたくさんありますが、あとは英語とビザの問題もあります。

また『難易度は?』ということですが、たぶん訓練の難易度というより、『その会社に採用されるか』という尺度での難易度だと思いますが、基本的にはいづれもそんな変わらないんじゃないかなと思います。

採用が出ていて、要件を満たしているならば基本は同じ。
それよりもむしろタイミングが重要で、そもそも自分が転職したいタイミングで希望の会社の採用が出てこないといけません。

コロナ禍で多くパイロットが職を失いましたが、その時期に募集を出していたピーチには世界中から大量のパイロットの応募が殺到したそうです。

そんな中で自分も…というのは厳しくなりますよね。
だから難易度を考えるのはあんまり意味がなくて、むしろ自分のタイミングと業界のタイミングが合うこと。つまり運の占める要素がでかいのかなと思います。

そんな感じで回答になっているかな?
またなんでも相談してください。最近質問が来なくて困っています。