パイロットの寿命

『パイロットは神経をすり減らすから寿命が短くなる。』

『パイロットは放射線に多く晒されるから短命』

『パイロットは気圧変化で内臓に負担がかかるから…』

こんな話を聞いたことがないかな?

僕も学生時代にそんな話を聞いたことはあったけど、『どうせ都市伝説の類でしょ。』とか『そんな50年以上先の話どうでもいいよ。』とか思っていたんだけど、寿命の期限が近づいてきたのでもう一度、パイロットの寿命について考えてみたいと思う。(嘘です)

そもそも、日本人の平均寿命って今どれくらいなんだろう?
サクッとググってみたところ、2021年時点で男性は81歳だそうだ。

ということはパイロットの平均寿命が81歳よりも少なければ上の都市伝説にも信憑性が出てくるわけだけど、調べても出てこなかった。僕にも検討がつかない。

じゃあちょっと見方を変えてみて、『健康寿命』に注目してみようと思う。
健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことで、これもググってみると日本人の男性の健康寿命は平均72歳らしい。

これならなんとなく見えてきそうな気がする。
今日本ではパイロットは国の規定上67歳まで飛べることになっている。航空会社によって65歳とかもっと若く制限している会社もあるけど、現状でも67歳でフライトしている人はたくさんいる。

パイロットはみんな航空身体検査を受けていることはみんな知っていると思うけど、この航空身体検査は60歳を超えるとぐっと厳しくなる。
だから実際に67歳までフライトができるのはパイロットの中でも半分に届かないくらいなのかな?という気はするんだけど、航空身体検査に通って67歳までフライトをしている人はめちゃくちゃ元気。誰がみても67歳には見えないと思う。

こういう人が67歳で退職して、日本人の平均の健康寿命まであと5年ということを考えると、『全然いけそうな気がする』というのが僕の肌感覚だ。

実際のところ僕はパイロットは平均よりも寿命が長いんじゃないのかと思っていて、確かに放射線とか時差とかのストレスはあるんだけど、毎年航空身体検査に通らないと仕事を続けられないからみんな健康にはめちゃくちゃ気をつけている。

ほんとに死活問題だからね。肥満になるだけでもどっかに引っかかってくるし、高血圧や糖尿ももちろんダメ。毎年診断結果にはちゃんと目を通して、去年よりも悪くなっているとか、だんだん基準値を超えそうになってくるものに対してはみんなちゃんと生活習慣を改善して対策する。

その『健康に対する認識による好影響』とストレスなんかの『フライトによる悪影響』とが天秤にかかるわけだけど、前者の好影響の方が効果は大きいんじゃないかというのが肌感覚だ。

日本では67歳がMAXだけど、海外では航空身体検査に通り続ける限り年齢制限なく飛べる国もたくさんある。
70歳を超えてもフライトをしている人が現実にたくさんいる。

退職をした人がその後どうなったのか正直知らないので正確な話はできないんだけど、僕の感覚では『パイロットは寿命が短い』というのは嘘なんじゃないかと思う。