パイロットの結婚

今日はパイロットの結婚について考えてみたいと思う。

過去にももらった質問で何度か答えたことがあるんだけど、結婚っていうのは人生の一大イベントだし、結婚相手選びというのは失敗すると結構痛い。
その後数十年の年月を一緒に過ごさないといけないわけだし、離婚もそれにかかるストレスと労力は計り知れない。

幸い僕の同期には離婚したカップルはいないんだけど、先輩や後輩も離婚した人が何人かいる。中には離婚したくても離婚できず、泥沼になっている人もいる。でもその話はまた今度にして、今日はもっとポジティブに結婚というものを考えてみようと思う。あくまで僕の考えなんだけど、『客観的にどうなりやすい』ということを踏まえて今後の結婚観をイメージ、また注意してもらえればいいと思う。

今日は以下の切り口に沿って考えてみる。
①結婚のタイミング
②誰と結婚するか
③不規則、外泊の多い中での結婚生活
④訓練やチェックの中との付き合い方

では①パイロットの結婚のタイミングから考えてみよう。
まずはパイロットのキャリアを時間軸と共に追っていくと、自社養成の場合だと典型的なパターンとしてはだいたい以下のようになる。

23歳 入社 地上研修 → (24〜26歳 副操縦士昇格訓練) → 27歳 副操縦士昇格 → (36〜37歳 機長昇格訓練) → 38歳 機長昇格

会社によっても人によっても時代によっても変わってしまうので、流れとしてざっくりとイメージしてもらえればそれでいい。
航空大だと自社養成とそんなに変わらないし、私大パイロットコースだとこれより2年くらい早くなるし、浪人や大学院生はその分プラスして考えればOK

この訓練期間に結婚する人は比較的少ない。不可能ではないけど、人生大一番の勝負時だからね。
フェイルしてしまう可能性もあるし、結婚するとなると両家の顔合わせ、結納、結婚式、新婚旅行と行事がてんこ盛りで、それぞれの準備や日程の調整だけでめちゃくちゃ時間がかかる。

なんならドレスを選ぶだけで何度か式場に足を運び、2.3時間もの間、あれがいい、これがいいと話し合う必要がある。もちろんそれを含めて楽しいんだけど、『勉強しないといけないのに…』と思いながらこれをやるのは辛いと思う。
海外での訓練中は物理的にこういう準備もできなくなるし、訓練中に結婚する人はやっぱり少ない。

結婚のタイミングで多いケースとしては23歳前後の地上研修中か、27歳〜35歳くらいまでの副操縦士としての期間の間が多い。
機長になった38歳を越えて初婚の人ももちろんいるけど、割合的にはやっぱり少なくなる。

次にこれに絡んで②パイロットは誰と結婚するか

最初の地上研修中に結婚する人の中で多いのはやはり学生時代からの恋人。

次に多いのはやはり社内婚。前に質問でももらったけど(訓練前の地上職について)地上研修中のグランドスタッフと結婚したり、客室乗務員と結婚する人が多い。
でも意外と客室乗務員は一緒に仕事をするのが3日間とか期間が少ないし、規模の大きい会社だとその後数年一緒に仕事をすることがなかったりする。さらに見事その短い期間で連絡先をゲットしてもスケジュールがなかなか合わないので、割合で言うと地上研修中に毎日顔を合わせて仕事をするグランドスタッフと比べると少ないような気もする。

これに加えてその他の出会いで結婚する人ももちろんいるけど、土日休みの仕事じゃないし夜遅くに帰る、翌日の朝が早いということが多いので合コンとかはあんまりないと思う(その他イケイケの会社に比べて)。パイロットのスケジュールの記事を読んでくれれば分かりやすいと思う。
ってか令和の世に合コンってまだあるのかな?

最近でよく聞くのはマッチングアプリ。一緒に飛ぶ副操縦士と雑談で最近結婚しました!とか、彼女できました!
とかいう話は大好物なので楽しんで聞くんだけど、最近はそこにマッチングアプリが増えてきている。すごい時代だなーと思うけど、彼らに言わせると実際に会うまでに多くの情報がわかっていてお互い選別された上で会えるので、タイムパフォーマンスがいいそうだ。

僕は合コンの『どんな人が来るんだろう?』みたいなドキドキが楽しかった思い出があるんだけど、いろんな選択がある現代はやはり便利だなぁと。

次に③不規則、外泊が多い中でのパイロットの結婚生活
これはぶっちゃけ子供が生まれるまでは全然余裕。うちの場合は僕が朝早い時は妻は最初は起きてくれていたが、そのうち起きなくなった。
まあお互い仕事をしていれば尚更、無駄に睡眠不足になってもしょうがないのでそれでいいと思う。

外泊が多くて会えない時間が寂しい…という夫婦には辛いのかもしれないが、一人で漫画を読んだりゲームをしたり、自由にできる時間はかけがえのないものなのでいいところも悪いところもあると言える。

次に④訓練やチェックとの付き合い方
これは前もって話し合い、理解をしてもらうことが大事だと思う。

副操縦士昇格訓練も機長昇格訓練もシビアで、昇格できない人が一定数いることは事実で、適性とか努力ではどうにもならないこともある。
そんな中で勉強するための時間が取れない…というのはどんな理由があってもいい訳にはならなくて、基準を満たせなければフェイルする。
過去に僕がみた中では家族の介護で十分な勉強ができなくて、訓練フェイルという人もいた。本人のせいではないし、性格もいい人だったし、自分の時間を削って家族のために頑張っていたのになんで…と思ったが、やっぱり厳しい。

またこれは毎年ある定期審査でも同じで、チェックで低評価がつくとその記録は残る。
低評価が続くと『こいつパイロットとして大丈夫か?』となってくるだろうし、数年後にくる機長昇格訓練にも影響する可能性がある。

ただこちらも子供がいないうちはまだちゃんと配偶者の理解を得ていればなんの問題もなくて、『せっかくのお休みの日だけどチェック前だから勉強させてね』で済む。
子供ができるとそもそも幼児と話し合いなんてできないし、自分が勉強に時間を使う分配偶者の負担が増えるので、どんどん疲弊していく。
親の援助が得られればだいぶ楽なんだろうけど、両方の実家から離れている場合なんかは大変だ。しかしこの辺の話は次回、『パイロットの子育て』として話そうと思う。

最後に男性諸君に向けて僕から注意

タイミングとか、相手に求める条件とか人によって色々あるだろうけど、『この人と結婚したい!』と思ったらすぐに結婚した方がいい。
逆に好きでもないのに勢いでズルズルと付き合っている人とは早く別れた方がいい。

この先5、60年一緒に過ごすことになるんだから、望まぬ結婚はお互いの人生を捨てるに等しいし、逆にそれだけの人に出会えたのに結婚のタイミングを逃してしまうのも不幸だと思う。

またパイロットというだけでモテるので、遊びまくる人も一定数いる。
僕がそれにとやかくいうことはないんだけど、それで身を滅ぼす人も一定数いる。

社内不倫は普通の会社では『異動』になるし、不倫でなくとも遊ばれた女から会社に怪電話がかかってきて本人に事情聴取、ということもたまに聞く。
人生に失敗する3大要素というものがあって、『金』『女』『酒』だと言われるくらい。最近はここに『パワハラ』が入ってきてる。

気をつけなはれ。