安全と安心の違い
職種を問わず、航空会社に就職活動をしているとよく聞かれる事だと思う。
安全と安心ってよく似た言葉だけど、どう違うのだろう?
僕も昔この質問をぶつけられて、『そんなの言葉の定義の問題だろ、何を聞いてるんだ』なんて思った記憶があるんだけど、真面目に考えると深いんだなぁと思う。
広辞苑で調べたわけでもないんだけど、当時僕はこう答えた。
『安全ってのは客観的なもので、この飛行機が落ちない可能性が高ければそれは安全だと言える。でも安心ってのはお客さんの主観の問題で、ある人にとっては安心でもまた別の人にとっては安心でないという状況がありうる。また、安全であってもお客さんが安心するとは限らないです』
とまあそんな感じのことを答えたと思う。我ながら、定義の問題としては悪くないよな。
でもきっと面接官が聞きたかったことはそんな言葉の定義を知ってますか?ってことじゃなくて、君は安全とか安心ということに対して考えたことがありますかってことだと思う。
安全を守るにはどうすればいいんだろう?お客さんに安心して飛行機に乗ってもらうために、何ができるんだろう?
一例を挙げると、機内アナウンスなんかもお客さんの安心感を高めるのに一役買ってる。
アナウンスしなくても安全かどうかには影響はないけど、アナウンスにより安心感を得るお客さんもいるんだ。信じられないかもしれないが、飛行機酔いをする人も減る。
人間って、未知なるものに恐怖を感じるようになってる。そしてその恐怖心が飛行機酔いなどの症状として顕在化する。
例えば、暗闇なんかわかりやすいよな。人間は根源的に暗闇に恐怖を感じるようにできているけど、それは未知なるものへの恐怖なんだ。
今飛行機がどこを飛んでいるのかもわからないし、いつになったら目的地に着くのかもわからない。おまけになんでこんなにでかい鉄の塊が(鉄ではないけど)宙に受けるのか分からない。
そんな状況が恐怖を生む。
だから、機内アナウンスでは必ず今どこを飛んでるだとか、いつ到着するなんてことをアナウンスするわけだ。
すると、恐怖心がとり除かれる。つまりは、お客さんの安心感が増す。
実際、安全ってものの重要性を本当の意味で理解している学生ってのは本当に少ないと思う。もちろんみんな知識としては知っている。でも経験として知っている人はごくわずかだろう。自分で飛行機飛ばしてみて、死ぬほど怖いって思いをして、やっと飛行機の怖さを知って安全に対する意識が芽生えるものだと思う。
でもそんな経験をしたことのある人はほとんどいない。だから、せめて過去にどんな事故があったのか知っていてほしい。
逆に過去にどんな事故があったのか知らないようなやつが安全安全って言葉を連呼しても空虚だよな。
僕が薦めるのは、過去の事故に精通することだ。
過去にどんな事故があったのか知って、それについて自分なりにでも考察してみるといい。そうすれば安全に対する意識も生まれると思う。