フライト中のことについて質問です。

何度も質問に答えてくださりありがとうございます!今は部活を続けながらある大学の航空宇宙工学を学べる工学部を目指して勉強しています。
質問なのですが、パイロットは毎回毎回のフライトで緊張しているのですか?特に、離着陸の時に手汗をかくような緊張はしますか?僕は大勢の人の前で演奏をする時、最初の頃は頭が回らなくなるほど緊張しました。今では、だいぶ慣れて少しの緊張しかしなくなりました。フライトも同じような感じですか?
また、長時間のフライトで安定飛行しているときにボーっとしたりフライト以外のことを考えたりすることはありますか?
パイロットになりたいと友達に言ったときに、めちゃくちゃ多い人数の命を預かる仕事なのにできるん!? と言われて、パイロットの責任の大きさに改めて気づきこの質問をしました。答えてくださるとありがたいです。
By 飛行機LOVEさん
回答
飛行機LOVEさん
いつも質問してくれてありがとう。回答にはいつも時間がかかってますが、何度でも質問して下さい。
さっそく質問に答えていきましょう。
最初に、手に汗をかくような緊張するフライトはあるか?
あります。しかしもちろん、いつもそんなに緊張しているわけではありません。
やはり天気の悪い日には緊張します。
例えば、風の強い日の着陸なんかは少し緊張します。
「風は息をしている」と言われますが、風は常に同じ速度で吹いているわけではなく、強くなったり、弱くなったりします。
風が強い日なんかは、その振れ幅も大きくなりがちですが、この風の速度の増減はそのまま飛行機の性能に影響します。揚力の式についてはもうこのサイトで読んでくれたかな?
この風の急激な増分のことをガストと呼びますが、ガストが強い時には飛行機の速度計の速度が上に振れたり、下に振れたりします。
速度が小さくなりすぎると失速してしまう危険があるし、逆に大きくなりすぎると、飛行機が構造上許容できる速度を越えてしまう危険があります。
また速度が減ってしまうと揚力が減るので、飛行機はパスから沈んでしまうし、横風が強いと滑走路のセンターラインからずれないようにヘディングを調整しなければなりません。
まあ大変なわけです。
しかしこれが飛行機の醍醐味でもあって、自分で天気を予測しておいて、「ここらへんから風が変わるはずからパワーをちょっと足しておこうかな」とか、「ほらセンターラインからずれてきたぞ」なんて先を読みながら操縦してうまく着陸できた時にはやっぱり飛行機は面白いなと思います。
緊張して頭が働かなくなるのはよくないですが、ある程度の緊張感を持つのはいいことです。
それはやはり慣れや自信によってかなりの部分で克服できると思います。
次に長時間のフライトでフライト以外のことを考えることはあるのか?
うーん、大げさにとってほしくないですが、あります。
例えば、パイロットはフライト中に食事をします。
その時はコントロールもATCももう片方のパイロットに任せてしまって自分は食事をしますが、食事をしながらも飛行機の計器は見ているし、ATCも聞いています。
またフライト中もパイロットの二人でたわいのない会話なんかはします。
出身はどこだとか、今日の飯はどこに行くかとかね。
でもその会話にのべりこんでしまうこともまずなく、二人とも計器と外を見るために前を向いたまま会話するし、会話の途中でATCが入ってきてもしっかりと反応できます。
ATC指示により急に忙しくなって、会話が中断されて、その20分後なんかに落ち着いてきたらさっきの会話に戻るなんてこともよくあります。
つまり、完全にフライトを忘れて他のことを考えてしまうことはまずありませんが、フライトをモニターしながら、頭の余裕部分を使って他のことをすることはある、というと正確かな?
また責任感云々については今の高校生の君が気にすることではないと思います。
だって高校生に「乗客300人の命を預かる責任感が自分にはあります」なんて言われても、うーん、、、となりますよね。大学生に言われてもそうです。
責任とは感情で持つものではなく、能力によって担保するものだと思います。
それは訓練や勉強、経験によって磨かれていくのでしょう。そのための自己鍛錬を怠らないことが責任感があるということなんじゃないかな?
以上、たくさん質問して、この世界のことをもっとよく知って下さい。