飛行機の種類による操縦の違い
世の中にはいろんな飛行機がある。その飛行機ごとに操縦に特性があるのでそれについてここでは触れたい。
もともと、『航空機』っていうカテゴリーがあって、そこには飛行機、飛行船、セリコプターなどが入る。
その中の『飛行機』の中にもいろいろあって、エンジンが一つしかない単発機、二つ以上のエンジンをもつ多発機というカテゴライズがある。
またその他にもボーイングやエアバスに代表される大型機とセスナなどでイメージされる小型機がある。
それらそれぞれ操縦性に近いがあってライセンス上は単発と多発ではエンジンが一つ止まってしまった場合の操縦技術が求められるため区切りがつけられているし、同じ多発でもボーイングとエアバスでは操縦桿の形が違ったり、システムが大きく異なるし、ボーイングシリーズの中でさえ『型式証明』というその型式に特化したライセンスを取得する必要がある。
衝撃的に下手な図かもしれない。
まずはレシプロ機とジェット機の違いについてだけど、エンジンの構造による違いがある。
セスナなどの小型機や個人で所有されるような小型の飛行機はこのタイプが多く、簡単に言うとエンジンの構造としては燃料の爆発エネルギーをピストンの上下運動に仕事を変換して、それによってプロペラを回して推力を得る構造になってる。
一方ジェット機とは現在エアラインが使っている機体に多いんだけど、エンジン内に線で流れる空気に対して、コンプレッサーという羽を回して圧縮していって、燃料を送って火をつけて、それによる膨張を今度はタービンという羽により仕事を取りだしてプロペラを回して推力を得る。
同時に膨張した空気の噴出も推力として使う。この辺はターボファンエンジンと、ターボジェットエンジンの違いに現れる。
両者ともメリット、デメリットがあるんだけど、操縦性の違いとして現れてくるのは、パイロットのスロットル操作に対する推力の遅れだろうか。
コックピットにあるスラストレバーはそれを動かすことでエンジンへの空気の流量や燃料の量を変化させてその出力を変化させる。
レシプロエンジンはレバーを動かして比較的すぐに推力がついてきて、上昇したい時なんかはすぐに上昇できるんだけど、ジェットエンジンではレバーの操作に対し、推力がついてくるのが遅く、アイドル出力で降下中から巡航形態に移行する時には、スプールアップといって早めに少しパワーを入れてやって、その後所望の出力に合わせてやるという一手間が必要になる。
慣れればなんてことはないんだけど、最初はちょっと違和感があると思う。
次にレシプロ機の中での単発機と双発機の違いについてだけど、これが結構違う。
というより、単発機の特性として、トルクの反作用、ジャイロ効果とか、Pファクターというものがあり、それを考慮して操縦する必要があるので難しい。
用語の説明はいつか追記したいと思ってるけど、パワーレバーを前後させて推力を変化させる際や、機体の姿勢を変化させるときに、左右で非対称の力が発生してしまうため、どちらかの足(ラダー)を踏まなければならない。
つまり、常にパワーと足がセットで動くわけだ。
着陸操作のような繊細な操作中にもこの操作が必要になるので、最初はかなり難しい。
パイロットの基礎訓練では単発機のライセンスをとってから多発機へと限定解除を行う。
単発から多発へいくと当然ながら推力を左右で合わせないといけないので、管理人もこれが難しかった記憶がある。
ハイテクなエンジンではないので、左右を同じレバーポジションにしてやっても微妙に推力がずれているし、着陸時には両方のエンジンをアイドルにするんだけど、この時に推力が左右で同じように落ちてくれないので飛行機がどちらかに首をふってしまう。
パイロットはこれを認知してラダーで止めないといけないので、難しい。
次にジェット旅客機の中でも、僕が乗務しているB737は割とクラシカルな飛行機で、重心に比べて推力軸が下についているため、例えば速度を増やしたい時にパワーを出すと、ピッチアップのモーメントが発生するので、自分で操縦桿を押してそのモーメントに対抗してあげないと飛行機は上昇していってしまう。
このため着陸時のファイナルアプローチなんかで速度をターゲットに合わせる際にパスがずれやすく、少し難しくなる。常にパワーとピッチを同時に意識しなければならない。
しかし、B777などの飛行機ではこの補正をコンピューターが自動でやってくれるので、速度が欲しい時にはパワーを上げてやればそれでよしとなる。
またボーイングは操縦桿を使って飛行機を操縦するんだけど、エアバスは最近の機材ではジョイスティックを採用している。
僕はエアバス機は操縦したことがないんだけど、操縦性は変わる。
それらを踏まえて、操縦自体の楽しみはレシプロ単発機が一番だと思う。
訓練中にソロフライトといって、教官を乗せずに訓練生だけでフライトを行うことがあるんだけど、この訓練があるのは単発機の間だけ。このソロフライトが本当に楽しい。
まさしく、自由に空を飛び回れるわけだ。
一方で訓練では横に厳しい教官が座っていて口煩く注意される。ましてや常に評価されていて出来が悪いとパイロットへの道を閉ざされてしまうかもしれないから、訓練生は必死だ。
その中でも楽しみはあるんだけど、そんな状況だからこそソロフライトでの楽しみは格別となる。
また操縦にパイロットが手をかけなければいけないほど楽しいとも言えるのかな。
車の運転と似ているけど、簡単快適に運転できる高級車よりも、ゴーカートの方が運転していて楽しいもんな。