訓練時のフェイル、旅客機の追撃回避について質問です。

質問です!パイロット訓練生が訓練でフェイルするのはやはり生まれつきのセンスの問題なのでしょうか?それともただ単に努力不足で努力すれば大抵受かるものですか?(抽象的な質問ですみません。)
あと、純粋に気になったのですが旅客機にはミサイル回避のための手段はないのでしょうか?マレーシア航空機の撃墜や最近のウクライナ航空機の撃墜事件を見るとやはり無防備な旅客機にも何かしら防衛するための装備が必要なのではないかと思うんですけれども。
By へたれな浪人生さん
回答
へたれな浪人生さん、ご質問ありがとうございます。
訓練生がなぜフェイルしてしまうのかですね、これはみんな気になるとこだと思います。
僕も実機訓練の前は不安がいっぱいで、いろんな先輩に聞いていました。
しかし終わってみれば平然と人に言えるものですが、当時の僕はやはり訓練が始まるまでドキドキしていましたね。
一概には言えませんが、訓練生の最初の関門はファーストソロに出れるかだと思います。
ファーストソロというのは読んで字の如くですが、通常10回前後のレッスンの後と、割と早い時期にファーストソロに出ることになります。
しかし、ここはセンスというより適性が出てくるのだと思います。
ファーストソロではトラフィックパターンといって、空港の周りを離陸からレベルオフ、ターンしてダウンウィンドといって滑走路を見ながら反対向きに飛んで、降下しながらターンして滑走路延長線上にアラインして着陸を行います。
この間、飛行機のコントロールはもちろん、ATCやFlapの上げ下げなど、たくさんのタスクが重なります。高度もスピードも守らないといけないし、まあ難しい。
これがどうしてもできない人がいます。またなんとか出来てても、事故を起こすかもしれない人はやはり危なくてソロには出せません。横で助けてくれる教官がいないわけですからね。
ここで適性がないとはまあ難しいのですが、よく言われるマルチタスク能力や空間識別能力、パニックにならないような性格など、様々な要素が絡むのだと思います。それは自分に適性があるか、やってみないと分からないし、何度も時間をかけて練習すれば誰でもできるようになるのだろうけど、限られた時間内にクリアーできないとダメということになっています。
僕の感覚ではそこが第一にして最大の関門だと思います。
その後にフェイルするケースは、チェックフェイルだったり、そのチェックのためのレディがでないというケースがあります。
ここは適性ありという前提なので努力不足、、というわけではないと僕は思います。
努力不足でフェイルする人もいると思いますが、やはりどうしてもこの科目がうまくできない、とか、教官に目をつけられてなんだかんだで、みないなケースもあります。
努力するのは当たり前で、それでもダメな人もいるし、適性もあるし、いろんな不運もある、という感じでしょうか。
逆に混乱させたかもしれませんが、次の質問。
いいですね、こういう質問も考えていて楽しいです。
現状において旅客機にミサイル迎撃のための装備とか、回避する方法はありません。
あったとしても、例えば戦闘機を相手にしてはどんなに優秀なパイロットが乗っていたとしても勝ち目、というか逃げ切れる可能性も1%もないと思います。
理由はやはり飛行機の性能が違うからです。
空ではどんなに巧みに操縦したってなんせ視界がいいので、隠れるところはありません。
しかも戦闘機より数倍(数十倍?)も大きくて重たい旅客機で、最高速度も倍近く違うのかな?
敵意のある戦闘機に遭遇した場合、相手になりません。逃げることもできません。
ならばせめて反撃でもしたいところですが、ミサイルなんか積んでは重たくって、消費燃料が増えるし、そもそもそのせいで旅客や貨物を乗せる量が減ってしまうかもしれません。
航空会社はやはり企業だから、利益を出さないと存続していけません。(法的なものや技術的な色々をクリアーできたとしても)ミサイルを積んだ旅客機を運航する航空会社は同業他社との競争に勝てるのか、厳しそうな気がしますね。
地上からのミサイルで、誤射に対する対策として使うフレアーみたいなもんなら積んでもいいのかな?
技術的に可能かとかは置いといて、やっぱり、相手に敵意がある場合にはどうしようもなさそうですね。相手の射程外まで逃げる必要がありますが、相手にこちらを撃墜する意思がある場合、一発目をフレアーで回避しても、射程外に出るまでにもう一発、二発と打たれてしまうと思います。フレアーはそんなにたくさん積めないだろうし、重たくなるし、やっぱりさっきの理屈に戻っていきますね。
昔見た映画で、エアフォースワンが戦闘機に狙われた時にフレアーでミサイル回避している映像を見たことがありますが、ああいうのはエアフォースワンだから必要な装備で、旅客機にはどうなんだろうなー、という気がします。
この辺の話が好きなら、ドッグファイトの科学という本が面白いのでおすすめです。

自衛隊の戦闘機乗りの方の本のようですが、図も多くて分かりやすく、面白く読めると思います。
飛行機のことについて、僕もへぇ、と思うようなこともたくさん学べました。
興味があれば読んでみて下さい。
回答は以上。こういうタラレバの話は考えていて楽しいですね。他に意見があれば教えてください。
暗いニュースが多いですが、めげずにいきましょう。ここの読者は若い人が多いと思います。若い人にはウイルスは大した脅威にはならなくても、お年寄りには危険です。元気が有り余って外に出たい気持ちもあると思いますが、自分ではなく他人のために、しばらくは不要な外出は避けましょう。