プロとマニアの違い

よくあるテレビ番組で、『プロとマニアが知識を競って対決する』みたいな企画があるけど、プロのパイロットと航空マニアの方が対決をしている番組を見たことがあるかな?

僕自身もそういう番組は楽しんで観るし、以前質問にもらって回答したことがあるんだけど、これからパイロットになろうとする人には考える価値のあるテーマだと思う。

まずはプロとマニアの一番大きな違いは何か?ちょっと考えてみてから読み進めてほしい。

僕が思うに、それは責任だと思う。
精神論を語っているわけではない。これによってパイロットとマニアの知識が異なってくる。

マニアは「自分の知りたいこと」を勉強すればいいけど、プロパイロットは「安全運航のために知らなければいけないこと」を勉強しなければならない。

つまり、飛行機が大好きなマニアの人は飛行機の構造(システム)や、飛行機が飛ぶ仕組み(航空力学)、世界にどんな飛行機があるのかなんてことを勉強し、プロパイロットにも負けないくらいの知識を身につけるかもしれない。

またエアラインそのものや、空港ってものに興味を持つマニアの方は、世界にどんな航空会社があって、どの路線をどの機種で飛ばしていて、あそこは搭乗率が高いけど意外と赤字なんだよとか、どこどこの空港のラウンジはとても綺麗で…なんてこともめちゃくちゃ詳しかったりする。これも、航空会社の社員以上の知識を持っている人は珍しくない。

じゃあプロのパイロットはどうだろう?

お客さんの命を預かって飛ぶパイロットは、自分が興味のあることよりも、パイロットとして知らなければならないことを知っていなければならない。

飛行機のシステムや航空力学はもちろん、例えそれが面白くなくても航空法も勉強しなきゃならないし、管制通信の方法、英語も必要だ。

でも逆にマニアのように、自分の就航していない空港については知っている必要はないし、自分がライセンスを持っている飛行機でない飛行機のシステムがどうなっているのか(ある程度を除いて)知らなくてもいい。

またあまりエアラインの教育では行われないけど、海に漂着した時のために体を冷やさないサバイバル法なんかも知っていた方がいいかもしれない。
このように、プロパイロットは安全運航のために必要な知識をすべて身につける必要がある。必要のない知識は趣味の範囲なんだよな。

冒頭のような番組でパイロットが負けることは当然あり得るし、パイロットがなりふり構わず超難問をぶつければパイロットが楽勝ということにもなる。

今回はこれで終わりだけど、
『じゃあプロパイロットとアマチュアパイロットの違いは?』なんていうのも事業用操縦士の試験で聞かれることもあるくらい大切なテーマだから、考えてみてほしい。