自分の役割を知れ

今日は役割の話をしようと思う。

僕も割と最近知ったんだけど、こういう話って学校とかじゃ教わらないし、意外と誰も教えてくれないんだよな。

最近ちょっと考えさせられることがあって、このブログを読んでくれている人には知っておいて欲しいと思う。

自社養成でも航大でも私大でもそうなんだけど、せっかく長い年月と努力をかけて副操縦士に昇格したのにも関わらず、フライト以外の部分で問題を起こして会社をクビになったり、地上職に配置転換されたり、仕事に対する姿勢を問題視されて機長に昇格できなかったりする人が一定数いる。

犯罪行為は論外として、意外とあるのがパワハラちっくなもの。
目上の機長に対しては礼儀正しい人が、客室乗務員やディスパッチなどの他部署の人に対して横柄な態度をとったり、バカにしたり、ひどい場合には何かあった際に怒鳴ってしまったという話もある。

こういう人は機長昇格に入る直前に『待った』が入ることがある。
機長は責任者なんだから、人間性とか、人格が伴わないといけないって話になる。
すると『じゃああと1年くらい様子見てみようか。』みたいなことになる。

でもそれって不思議な話でもあって、人間性とか人格なんて1年やそこらで変わるわけないし、『だったらそんな人最初から採用ではじいてくれよ』って思うんだけど。

それで真面目にこの話を議論するとき、『役割』の話になると思う。

自分ってものを考えてみた時、実はいろんな要素が絡み合って『自分たるもの』になっている。

まずはこの図を見て欲しい。

いや諸説あると思うんだけど、まあそういうもんかと読み進めてほしい。

人間の『その人らしさ』っていうのは、まず一番最初に持って生まれた『性質』がその中心にある。
怒りっぽいとか、我が強いとか、おとなしいとか。

ちなみに僕の息子は生まれた時から我が強くて、気に入らないことは断固拒否する。全力で泣いて暴れる。
友人の子供がおとなしく素直なのを見て非常に羨ましく思ったりする。

それから人生で色々経験したり、関わってきた人たちや周りの環境でその人の『性格』が形成されていく。
我が強い性質を生まれ持ったとして、これからの人生でどうにでも変わるわけだ。(いいか悪いかは別にして)

微妙なとこなんだけど、ここまでを『その人の人格』と言ってもいいと思う。
でも、人は他人と関わることで『その人らしさ』が表面化するわけだけど、この人格が全て現れるわけではない。

人は『役割』という社会的な立場によって他人との関わり方が変わる。
パイロットという役割、父親という役割、社長という役割、いろんな役割があるわけだけど、これに応じて人は振る舞いを変えるし、少なからず役割はその人の性格に影響を与える。

パイロットになった人はパイロットらしい振る舞いをするし、そうすることを他の人から求められているわけだ。
例えばルールを守らないようなパイロットは、『あの人パイロットとしてどうなんだ?』と言われる。

我が強い僕の息子も、自分より小さい赤ちゃんに対してはおもちゃをゆずってあげられる。
小さい子供でさえ、自分の役割を理解して、それに応じて自分の振る舞いを変えているわけだ。

それで最初の話、副操縦士昇格後に問題を起こしてしまう人の話に戻るんだけど、『パイロットとしての役割』って何?というところは、結構難しい。

それは自分で理解する役割と、他者が求める役割があって、ここに乖離がある場合に問題が起こってしまう。
またさらに他の人がパイロットに求めている役割は自分が思っているよりも高いんだと思う。
極端な話、『みんなが憧れるようなパイロットなんだから品行方正、スマートでエレガントであれよ』みたいなね。まあそこまでハードルを上げる必要はないけど。

この役割の部分を理解していない人が問題を起こしてしまっている気がする。
自分全てを曝け出して、体当たりで人と関わっていいのは、大学生までなんだよね。

そして逆に、人格に問題があったとしても、役割をちゃんと理解してそれに応じた振る舞いができればいいわけだ。
プライベートでは時間も約束も守らない野郎だったとしても、すぐにカッとなる攻撃的な人間だったとしても、ど変態だったとしても、制服を着ている間はそれを見せなければ何も問題にはならない。極論な話。

うまく言いたいことが伝えられなかったかもしれないけど、役割について考えてみてほしい。