エルロンの働き
では材料が出揃ったところでフライトを科学的に議論していこう。
この一連の記事で君は飛行機のコントロールを航空宇宙工学的に理解することができる。
ここからぐっと専門的になるが、気を張る必要はない。君が小学生であっても、図を多様するので、イメージだけ理解できれば充分だ。
いきなりこの記事を読んでも意味のわからない人もいるかもしれない。
エルロンってなんだ?って思った人は先に飛行機の基本三舵を読んでほしい。
では始めよう。今回は図を大量に作ってみたから楽しんでくれ。
これはもうご存知だよな?エルロンの図だ。操縦桿と、エルロンがワイヤー(ハイテク機はコンピューター)で繋がっていて、操縦桿を回すと左右のエルロンが上下に動く。
すると空力的にある変化が起こるんだが、揚力Lの式を思い出して欲しい。
L = 0.5 ρV2 S CL
だったよな?覚えてるか?忘れてたら飛行機はなぜ飛ぶか読んでくれ。
いいかな、ここからが大事なところだ。エルロンを動かすと、上の式のCLが変化するんだ。
CLって揚力係数だ。揚力を作る効果みたいなものだ。これは、次の図のようになってる。
この図は線を左端から、迎え角αが増えるに従って、揚力係数の値が変わるっていう風に見ればいい。君が小学生ならここは見なくていいよ。
つまり、迎え角を増やすと、揚力係数が大きくなるんだ。グラフが途中で折れているが、そこは今は気にしないでくれ。
で、迎え角ってどんなだったろうか?『飛行機の進行方向と、機軸との角度』だったよな?
翼に関して言えば、翼に空気の流れが当たる角度だ。
この角度が、エルロンが上下することによって変わってしまう。
エルロンが下に下がった場合、上の図で言うと左翼だよな。
この場合、空気の流れが翼に当たる角度はどうなる? 大きくなるんだ。
言い換えよう、『左翼の迎え角が大きくなる』ということだ。
上の曲線の図に戻ってくれ。
『左翼の迎え角が大きくなる』=『左翼の揚力が大きくなる』
ってことになるよな?
こうなる。
ここまで来たらもうあと一押しだ。
左右の翼で揚力の大きさが違うということは、回転が起こる。これはいいかな?君が小学生なら、誰かに飛行機の模型の頭を持ってもらって、左右の翼を右と左で違う力で押してみればいい。すると
回転するってわけだ。
いいかな?飛行機のコントロールは、100% 航空宇宙工学の理論に基づいて行われている。
人間の知識の力ってすごいんだぞ。