優柔不断はパイロットで致命傷ですか?
初めまして。
今年自社養成を受験します。
その際、弱みを必ず聞かれるのですが、私は「優柔不断」と答えようと考えています。
そこで質問です。
①優柔不断はパイロットのどのような局面で弱みになりますか?
②最初は優柔不断なパイロットもいると思います。訓練の中で、どうやって判断力を鍛えますか?
以上、コロナなどで航空業界も大変でしょうがよろしくお願い致します。
By 握力さん
回答
握力さん、ご質問ありがとうございます。
優柔不断、僕は特に悪いことだとは思いません。
ただ、よく言われることですが、人の意見ですぐに自分の考えを曲げてしまう人はよくないと言われています。
しかし同時に自分の考えに固執してしまう人もよくないので、バランスが大事なんだと思いますが。
たとえばよくない状況としては、羽田空港から新千歳空港へ向かっていて、大雪の中、雪が積もりすぎて滑走路がクローズしました。
すると空港の近くで滑走路が除雪されてオープンするまでホールディングすることになりますが、新千歳空港は混雑空港なので、進入順位が20番目ですなんて言われることがあります。
滑走路のオープンから、2分間隔でアプローチするとして、40分ですね。除雪に20分かかるとしたら、自分が着陸できるのは約1時間後です。
パイロットとしては、ホールディングしながらカンパニー無線で会社から情報を集めたり、ディスパッチャーのアドバイスをもらったりするわけですが、たまにここで意見が食い違うことがあります。
自分は羽田にエアターンバックすること、またリターンする飛行機が多くて羽田も混むかもしれないから、少し燃料を多く残して羽田にリターンしたい。一方、ディスパッチはまだ計算上の燃料は残っているし、前の飛行機もどんどん着陸してはけていっているかは、もう少し待ってくれと言ってきました。ここでパイロットとしてどうするかは、そこで考えると難しいですよね。
正解はなくて、待てば確かに降りられる可能性は高いけど、最悪を考慮したらもう待てない。でも計算上はOK。地上からもそうアドバイスをもらってる。
ここで「あ〜どうしよう」って頭を抱えちゃうのは機長としては良くないと思います。
根拠は必要ですが、自分なりのリミットを超えてしまう前に周りの反対を押し切って安全策をとるっていうのは、機長としての責務だと思います。
これは結構難しいことで、こういう状況になったらこうしますと、事前にある程度自分なりの理由と根拠を持っておく必要があります。
燃料のマネジメントであったり、緊急時における措置なんかがそうなるのだと思います。
ここから2つ目の質問に絡みますが、判断についてこの記事を参考にしてみてください。
判断力ってなんだ?
ちょっと上の例は極端かもしれないけど、優柔不断であっても本来そんなことは何かを判断するのに関係なくて、知識や経験に基づいて判断を行います。
よくパイロットの訓練では何を判断するにも根拠をもてと言われます。
ただ、通常のフライトにおいても自分の許容範囲の中でどっちでもいいような判断をすることも日常茶飯事ですが、そんな時には本当にどっちでも構いません。そんな時には、基本的には規程に忠実にであったり、90%の人がこうするだろうなってことを選ぶのが普通のセンスだと思います。
そんなとこでしょうか。
以上、参考にしてみてください。自社養成試験、がんばれ。