無線航法

2011-05-25

今日はかなり専門的なことを紹介しよう。

もちろんこれらは知ってなきゃいけないってもんじゃない。でも知ってたらいろいろ面白くなることがある。

天気のいい日は地上の物標を目印にして目的地に辿り着ける。

でも、エアラインの運航だと地上が見えないような天候の時でも飛ばなきゃいけない。
もちろん、迷うことは絶対に許されない。自分がどこにいるか分からなくなることを、『ロストポジション(ロスポジ)』っていうんだけど、車でいう道に迷うとはわけが違う。

なんでか分かるかな?

燃料がきれると飛行機は落ちるしかないからだ。

そもそも飛行機は必要な燃料の量しか積んでない。
もちろん、ダイバートを行う時のための燃料や空中で待機するための燃料は航空会社の規定に従って積んでるんだけど、車みたいにタンクに満タン積んでくってことはまずない。重くなってしまって、飛行するのに無駄な燃料が必要になるからだ。

つまり、飛行機には道に迷って燃料を無駄遣いする余裕なんてない。

ちょっと脱線してしまったので話を戻そう。

地面が全く見えなくても目的地に迷うことなくたどり着けないといけない。
そのための手段として最も基礎的なものが、無線航法だ。今はGPSが発達してこれを通常時に行うことはないんだけど、訓練ではみっちりとやらされる。

本題に入るまでに長くなてしまったけど、流れは分かってくれたかな?

空港や航空路には飛行機に信号を送るための無線施設がいくつも設置されている。

君も空港へ行った時にでも展望デッキに上がって見てみるといい。
変な形をした物体がたくさんあるけど、そのうちのいくつかがこのアンテナに当たる。山の上に設置されているアンテナもたくさんある。

飛行機にはその電波の受信機が積んであって、その電波をキャッチしてどの方向から電波が来ているのかを感知する。

そして、そこから自分が地図上のどこにいるかを決定できるんだ。
イメージを図にしてみようか。
機位の測定 局一つ
羽田からの無線電波をキャッチすることによって、自分が羽田空港から方位として110°のところにいることがわかる。

でも、これじゃまだ自分が正確にどこにいるのかはわからない。
羽田空港から110°の線上のどこかにはいるけど、そのどこかがわからないわけだ。
機位の測定 局一つじゃあ
でももう一つ、例えば成田空港にまた無線施設を作って、そこからの方位がわかるようにすれば、飛行機の位置が決定できる。
機位の測定 局2つ
まあつまりは、1つ無線局があればその線上にいることが分かるんだから、2つあれば、2つの線の交点に飛行機がいると決定できるわけだ。

今回は『方位』だったけど、実は無線局によっては『距離』が感知できるものもある。
もちろん方位と距離が分かれば位置は決定できるよな?

こうやって自分の位置を決定した後は、そこから目的地に向かって機首を向ける方向を決めればいい。

まあ実際はそんな面倒なことしなくても、電波の飛んできている無線局に向かって飛んで行くのでもっと簡単だ。

実は、この無線施設を使った飛行法は、MicrosoftのFlight Simulatorでもできるんだ。
しかもこのゲームは非常に高性能で、上空から見える景色も実際のフライトと場所によってはほとんど変わらない。

まあこの無線航法はパイロットの訓練が始まったら君もきっと悩ませられるだろうから、ここで概要だけでも知っておいてくれ。