飛行機の進化とパイロットの役割

2021-02-09

今日は飛行機の進化の歴史について触れてみようと思う。

世界最初の飛行機は1903年、ライト兄弟の『ライトフライヤー』であることは知っている人は多いだろう。
最も原始的な飛行機だと言っていいと思うけど、飛行機の基本的な構造は変わっていない。これって意外とすごいことだよな。

上の図がライトフライヤーなんだけど(しょぼい図で申し訳ない)、現在よく目にする飛行機とは違って、翼の短い方が前だ。

基本的な構造っていうのは翼があり、エンジンがあり、方向や高度を変えるための舵面がついていて、パイロットはこれを動かすことで飛行機を操縦する。

詳しくはパイロットの教える航空宇宙工学で勉強してみてほしい。

操縦桿から舵面まではケーブルが繋がっていて、文字通りパイロットの力で舵面を動かし、飛行機をコントロールするし、ナビゲーションもパイロットの目で見て行うわけだ。これが最も原始的な飛行機

じゃあ今君たちが乗っている飛行機はどうなっているかというと、強いエンジンに軽い素材を使って生物が存在できないほど高い高度まで上昇でき、高性能なセンサーから計器に飛行機の情報を表示することで雲中など視界ゼロでも目的地まで飛行することができ、さらに人間が操縦しなくてもオートパイロットで自動で操縦されて、おまけに故障が起こったなら飛行機が勝手に診断して対処してくれる。

 

パイロットの世界は面白いもので、原始的な飛行機のライセンスの上にハイテク飛行機のライセンスが乗っかるような形になっていて、訓練もその順に行われる。

小型機を用いる基礎訓練では自分で自由に航路を決め、高度を決め、雲があれば目視でさけて、近くに飛行機がいれば無線で交信して位置を知らせ合う。

気分が乗れば地上500ftまで降下して、遊覧飛行気分に浸ることもできる。

また一昔前は、長距離路線では機長、副操縦士の他に航空士という人もコックピットに乗っていてナビゲーションを担当していたし、かのジャンボジェットでは航空機関士という人もいて、コックピット内の仕事を分担していた。

それが現在では飛行機のハイテク化によって、コックピット内の仕事は2人でこなせるようになり、FMS(Flight Management System )と呼ばれる装置にルートを入力するだけで飛行機はその通りに自動で飛んでいけるようになった。

さらにILS(Instrument Landing System)と呼ばれる地上、機上の装置を使うことによって、着陸までも全て自動でできるようになった。

これらの進化は、ざっくり言ってしまうと、次の3つの理由で行われてきたと言える。

より安全に、高速化、効率化するためだ。
残念なことに民間機の進化は軍用機の技術がベースとなっているんだけど、ここでは置いておこう。

パイロットの仕事量の軽減も効率化、安全に寄与するものだと思う。

順に説明していくと、より高速、低燃費で飛ぶためには空気密度の小さい高高度を飛行する必要がある。

しかし空気の薄い高高度では人間は酸素を血液に取り入れることができないために、与圧装置というものが装備されることになった。今の飛行機では地上40000ftくらいを飛ぶんだけど、機内高度は8000ft程度、富士山よりも低い高度環境になる。

レシプロエンジンより推力が高く、薄い空気でも作動可能なジェットエンジンが発明されたためにこれが可能になった。

さらに機体を軽くして燃料効率を上げ、長距離を飛べるように金属から炭素繊維を用いた構造に代わった。

また雲中で飛行できないんじゃ飛べる機会が限られるために高度計や速度計が装備され、地上が見えなくても目的地にたどり着けるようにいろんな航法(ナビゲーション)が開発されたが、その究極は今のところGPSを用いたRNAV(aRea  NAVigationの略)だ。これは地球上のあらゆる地点にウェイポイントという座標を設定して、機上のコンピューターで入力すればコックピットの計器上にその地点に向かうためのヘディングや到達までの時間、その時の残存燃料量まで計算してくれる。

またオートパイロットの発達によりパイロットが自分の手で操縦するよりも高精度な飛行が可能になったし、同時にパイロットのワークロードの軽減にもなった。

おまけに飛行機内には無数のセンサーが装備されていて、どこかに異常が発生した場合には視覚的に分かるようにディスプレイに表示してくれるし、必要なスイッチ類の操作までもやってくれる。

飛行機同士の空中衝突を避けるための警報機能も搭載されているし、意図せず地表に近づいたときにも警報を出してくれる。

そんな高性能な飛行機でパイロットは何をやっているんだ?って言いたくなるけど、それについては別の記事で触れているけど、パイロットは飛行機を操縦する人から、状況を認識してシステムを管理し、意思決定を行う管理者という存在に変わってきている。

この先はAIの発達によってさらにパイロットの存在意義は変わってくるだろう。

どうなっていくのか、楽しみではあるけど、AIに代替されないためにもパイロットの存在意義を考えていかないといけない。