パイロットの転職
今日はパイロットの転職について考えてみたいと思う。
このブログでも何度かパイロットの転職について触れたことがあると思うけど、最近は本当にパイロットの転職が増えてきたなと思う。
どこに勤めているかでパイロットとして優劣なんてないんだけど、以前作った航空業界マップをもとに話を進めていこうと思う。
ANAとJALを頂点として、その下にスカイマークやソラシド、ジェットスターやピーチなどの小型JETを飛ばす会社、その下に天草やオリエンタルエアブリッジなどのプロペラ機材を飛ばす航空会社の順に会社の規模はなっている。
JALが出資するZIPAIRはB787を使って中距離国際線と飛ばすことで、人気はANA/JALに継ぐかもしれないが、今のところ人の集まりがそこまでよくないらしい。
もう一度言うけど、会社によってパイロットの優劣はない。
なぜなら、パイロットのミッションとは『乗客を安全に目的地に運ぶこと』であり、これを遂行する能力が高いほど優秀なパイロットだと言えるんだけど、フライトってのは正解がないことも多いし、『定年まで事故やインシデントを起こさずに勤めきった』人が結果的に優秀なパイロットだったという他にない。
また給料もANA/JALが最も高いとは思うんだけど、そのほかはピラミッドの上の階層の方が高いとも一概に言えない。
パイロットの転職のモチベーションとしては人によって色々でもあるんだけど、代表的なのは『給料』『機材や路線』『住む場所』だと思う。
やっぱり人間だからね。ジャンボみたいな超大型機を操縦してみたいし、もらえるもんなら高い給料をもらいたい。
また家族の都合などで地方に住まなければならない人もいる。
そんな中で最近のパイロットの移動がどうなっているかというと、一番大きな流れになるのは新たな航空会社ができた時だと思う。
最近だとZIPAIRとか。
その前はJETSTARやPEACHができた時にいろんな会社からそこへパイロットが流れた。
実際のところ、ANAとJALには現状では副操縦士も機長もエアライン経験者が行くことはできない。
理由は色々あるんだろうけど、大きいのは機長昇格のためのセニョリティの問題で揉めるから。またやめる人が少ないから基本的にパイロットの総数の管理がしやすいということだと思う。
逆にANAやJALから他の会社へ転職する人はちらほらいる。
しかし一番大きな動きはピラミッドでの横の階層の動きだと思う。
これはより良い給料や環境を求めて起こるものだと思うんだけど、B737からB737への転職やA320からA320への転職では機材の移行訓練に失敗するリスクが少ない。
またB737からA320も比較的楽だと言う。逆にA320からB737はちょっと大変らしい。
B737やB767はオートメーションが弱い、つまりより原始的な飛行機なので、パイロットにかかっている負荷が高く、そこからエアバスのような洗練された(?)飛行機に移行するのはどちらかというと楽という話である。
パイロットの転職っていうのは必ず転職先の会社で訓練と審査をしないといけなくて、それに失敗するとどうしようもなくなってしまう。失敗したからと元の会社に帰ることも許されないし、割とリスクは高い。
また話を戻すが、JACからエアドゥやスカイマーク、ピーチへの転職も割と多く聞く。
これはプロペラジェットからジェットに機材のステップアップをしたいという思いと、JACはベース(住む場所)の話で会社とパイロットが揉めたことがあって、これは割とよくあることなんだけど、そんな理由でこれらの移動が起こっていると思う。
ざっくりと移動を上の図の中に書き込んでみるとこんな感じになるのかな?
ちなみに、ANAグループはANAグループだけ、JALグループはJALグループにしか転職できないとかそういったことはない。
最後に注意点なんだけど、パイロットは業界が狭い。
パワハラなど古巣で違反行為をやってしまって依願退職などになったりすると、他の会社にいこうとも情報が拡散していて転職にめちゃくちゃ苦労したりする。
また転職して、その機材のレーティングだけとってすぐに他の会社に転職するとか、そういったパイロットもいたりする。
当たり前のことなんだけど、後ろ指を差されない生き方をしたい。
ディスカッション
コメント一覧
航空業界尾ようやく黒字化が見えてきたところで、再びコロナが広がってきて大変ですね。息子もコロナは陰性のようですが、発熱が続いて訓練が遅れていますし、私も急遽、国の方針変更で4回目のワクチンを来週することになりました。
さて、今回のテーマについてですが、
管理人が、ANA、JALから転職するとしたら、どこのエアラインが一番よいと思いますか?理由も一緒に教えてください。差し支えなければよろしくお願いいたします。
息子をパイロットにしたい眼科医さん、お久しぶりです。
うちの息子もしばらく体調を崩していましたが、風が流行っているようですね。
早く元気になられることを願っています。
ご質問についてですが、考えさせられる質問ですね。
個人の価値観によって全然違う答えになると思いますが、あくまで僕の個人的な考えとして。
僕がANAかJALで働いていると仮定してですが、他の会社に転職するときにこんな会社がいいなーと思う条件が大きくは2つあります。
一つ目は小から中規模の会社であること。
二つ目は大手からある程度独立していて会社の経営方針を自社で決められること。
パイロットが1000人以上もいる会社では、ほとんどのフライトで初めまして、ということが多くなります。
それはそれで気楽でいいとも言えますが、毎回よく知らない人とフライトをするのはやっぱり緊張するし、疲れます。
パイロット同士だけではなく、客室乗務員や整備士、ディスパッチャーとも人間関係が希薄になりがちです。
小規模の会社では同じ人と比較的顔を合わせる頻度が増えるので、アットホームな雰囲気が濃くなります。
居心地のいい会社…かどうかはその中での人間関係にもよりますが、小規模の会社である方が関係性は気付きやすく、僕の好みではあります。
次に大手から独立している会社というところですが、例えばANAの系列会社は親会社の意向で路線や機材、経営方針が決まるので、自分の会社と言えども自由にできません。
親会社の古い機材を押し付けられたり…なんてこともあります。
そういうことに閉塞感を感じてしまう僕としては、ある程度の経営の独立性を持った会社が理想ではあります。
それらを踏まえて考えてみると、スカイマークやフジドリームなんかが面白そうかなと思います。
今はコロナのダメージでそうでもありませんが、勢いのある会社だなと思っていました。
しかし正直なところ、海外のエアラインも興味があります。
コロナで外国人パイロットになることのリスクが露呈してしまいましたが、それでも待遇や将来性、会社の雰囲気はいいところが多いと思います。
ありがとうございました。
そうですね。毎回違うメンバーだと疲れますよね。
現在放映中の、NICE FIGHTのように、毎回のように同じメンバーで飛んで管制も同じ人なら気が楽でしょうね。
>それらを踏まえて考えてみると、スカイマークやフジドリームなんかが面白そうかなと思います。
そうですね。私もANA,JAL以外ならスカイマークなんかいいなと思います。
>しかし正直なところ、会社のエアラインも興味があります。
これは,海外のエアラインと言うことですよね?
たしかに海外のエアラインで働いていた、日本人パイロットが退職されたようですね。やはり自国のパイロットの雇用が優先と言うことで。
会社のエアライン →海外のエアラインでした。訂正しました。
人によって違うとは思います。
B737やA320までを『ナローボディ』
B767以上を『ワイドボディ』と言いますが、ワイドボディに乗りたい人は多いと思います。
そうなると今のところANA/JAL以外ではZIPしか選択肢がありません。
今後人気になるだろうなと思います。
海外は本当にハイリスクハイリターンだと思います。
びっくりするくらいの給料や福利厚生がありますが、クビを切られる可能性が比較的高い…難しいところですね。