パイロットの需要と待遇についての質問まとめ

2020-11-10

パイロットを目指す人ならば気になるところでしょう。

パイロットの需要と待遇について、僕から見た現状と将来の展望について、真面目に考えて見たいと思います。

まず、パイロットの需要について考えてみましょう。

航空会社にとって、必要なパイロットの数は基本的には保有している飛行機の数によって決まります。

大手かLCCによっても異なりますが、一機につき機長、副操縦士4人~6人といったところでしょうか。これをもとに計算してみると、飛行機を10機保有している航空会社は機長、副操縦士合わせて100人前後のパイロットが必要ということになります。

同様に、ここ数年で急拡大しているピーチなどが例えば10機機体を新規導入するならば、追加で100人のパイロットを雇わなければならないということになりますね。

じゃあ機体の数がどう決まるのかと言えば当然、航空需要の予測に基づいた各航空会社の経営計画で決まることになります。「ココとココに一日何本の飛行機を飛ばしたいから、これだけの飛行機が必要になる」といった理屈ですね。

ここまでは当たり前のことなのですが、難しいのはすでに需要のあるところにはどこかの航空会社が就航しているだろうし、例えば海外のLCCなんかは運賃が非常に安いので、日本の航空会社が新たにそこに新規就航しても太刀打ちできない可能性が高い。

それを超える需要があるならば就航する価値はあるだろうし、他にいい路線はないだろうかと、航空会社の経営陣は頭を悩ませています。(たぶん)

その辺を考えていくと難しいので、ざっくりと、航空需要に比例して機材数、そしてパイロットの数が前後すると考えると、パイロットの需要を予測するとはつまり航空需要を予測することになると思います。

航空需要予測について、色々と探してみましたが、コロナウイルスの影響を考慮した予測を日本航空機開発協会が出していました。
民間航空機に関する市場予測 2020-2039

このPDFの23ページ前後に予測の表が出ていますが、コロナウイルスからの需要回復後、増加を続けると予測していますね。他にも色々と面白いことが書いてあるので、時間があれば読んでみてください。

他にもICAOがコロナウイルスからの航空需要回復を2024年と予測していますが(1年悪化し、さらに遅れる可能性はありますね)、基本的な業界のコンセンサスとしては少なくともここ20年程度は航空需要は増加すると予測されています。

これは世界的な航空需要で、国別に考えると状況は変わるし、日本国内のパイロットという面ではそう単純なことではありませんが、パイロットの需要のイメージとしてはまだ増えていくんだと思います。

次にパイロットの給料について。

他の職種に比べてパイロットの給料は高いと思いますが、今後はどうなるのか。
結論からいうと、あくまで僕の考えですが、少なくともここ10年くらいは大きくは変わらないんじゃないかと思います。

そもそも何で給料は決まるのかというところですが、資格や変則勤務手当て、責任に対する対価というものはありますが、大きいものは需要と供給だと思います。

パイロットの数が少ないから、他社に引き抜かれないように給料を高く設定する。または新規参入するLCCなんかは給料を高く設定して、他社からの流入を狙います。

以前はパイロットの移動は稀でしたが、パイロットになるにはお金も時間もかかるし、一人前に育ててもらった会社を出ていくなんてけしからん、なんて風潮があったと思います。

それがLCCが出てきて、またJALが破綻した頃からパイロットの転職が活発になったように感じます。

今はどうかというと、ニュースでもご存知の通り、パイロットが余っています。
じゃあパイロットの給料は下がっているのかというと、現状では上の需要と供給とは別の理屈で下がっています。

多くの会社ではパイロットの給料はその飛行時間によって変わります。

多く飛んだ月は給料が多くなるし、あまり飛ばなかった月は給料が減ります。

コロナで減便が続いて、ほとんどのパイロットは飛行時間が減っているので、それに伴い給料が減っています。これはLCCほど顕著だと思います。

しかし最低保証時間というものがあるので、飛行時間がゼロでも給料がゼロになることはありません。

ただ、これはある定まった給与体型の中での給与変動で、本来的に給料が下がるとは、このベース賃金が下がることを言うと思います。

コロナにより、これが下がった会社も既にあります。

しかし多くの場合は、給料の減額は難しいものです。この期間のみの一時的な減額ならば理解は得られるでしょうが、恒久的な減額となると組合から反発が大きくなるためです。
完全に会社が縮小していく状況では給料の減額は起こると思います。

しかし、業界全体でみた時には、上のパイロットの需要で考えたように、増えていくパイロット需要と、それに対する新たなパイロットの誕生数によって需給が決まり、以前からパイロット需要のバランスが取れるように国策としてもパイロットの養成を行ってきたことを考えると、現在のコロナによる一時的な減給はあっても、10年とか長期的なスパンで見れば大きくは変わらないんじゃないのかなと僕は思います。

今回のテーマとしては以上です。
人工知能の誕生や、技術の発達によりパイロットはどうなる?なんて面白い質問もしてもらっているので、興味があれば考えてみてください。面白い意見があれば教えてもらえると嬉しいです。
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