女性パイロットについての質問まとめ
女性パイロットについて、最近ならではの質問ですがこれも多く頂いてます。
やはりパイロットと言えば昔は男の仕事のイメージで、女性でもなれるのか。女性でパイロットになることへの不安や、家庭はどんな形になるのか、など。
まずざっくりと僕の認識を述べていくと、今は女性でもパイロットになれる時代です。
世界中で仕事のジェンダーレス化が始まって久しいですが、日本も追いついてきました。
航空業界も例に漏れず、パイロット、整備士、グランドハンドリングなど昔は男性ばかりでしたが、今は女性を見かけて珍しいとも思いません。
特に女性パイロットについて、詳しく考えてみたいと思います。
前提として僕は男性なので、自身で経験していない分、推測も入るし当人にしてみれば無責任なこと言ってるなというところも多分にあると思います。が、なるべく客観的に思うことを書いていきます。
まず能力として、女性も男性もパイロットに必要とされる部分で関係はないと思います。
エアラインパイロットの仕事は操縦もそうですが、フライト全体のマネジメント、危機管理が重要で主にヘッドワークとなります。
そもそも男性と女性の能力の違いって、筋力くらいしか思い当たりませんが、当然パイロットの仕事を行う上でこれは全く問題になりません。そんなの誰だってわかってると思いますが、出産とそれに伴う産休、育休のことで悩みに思われる方は多いと思います。
順に考えていきますが、僕が航空業界に入ったのは約十年前で、自社養成で同期が約50人いる中、女性は一人でした。自社養成に関して言えばちょうどこの頃から女性の割合がどんどん増えていったのかなというタイミングで、少し上の先輩の期では女性は一人いるかいないかというところで、後輩の期では二人、三人と人数が増えていました。
ちょうどその頃、まだ女性機長はいなくて、これから日本初の女性機長が誕生するかもという時でした。
それで今はどれくらいなのか、詳しい数字はわかりませんが、1割前後くらいなのかなという印象です。これも詳細なデータを持っているわけではないので想像ですが、受験者数に対する女性の割合もそれくらいなのであれば、かなり公平な状態なのかなと思います。
これから女性のパイロット志望者の数が増えていけば、それに応じてこの割合も増えるべきだと思うし、理想は仕事に関して男性と女性という議論が生まれないくらい自然に男性も女性も普通に仕事をしているってことだと思います。
自社養成パイロットだけでなく、私大の操縦科も、航空大学校も女性の割合が増えています。
過去の質問にもありましたが、全体のパイロットの割合に対する女性の割合で言えば、女性パイロットが増え始めたのが約10年前くらいなので上の数字よりもかなり小さくなるでしょう。
以上、採用の上では女性であることのハードルはかなり下がってきていると思います。
またパイロットとして仕事をする上でどうかというところに目を向けますが、その会社で最初に女性パイロットになった人たちは相当な苦労と努力をしたんだと思います。
厳しい訓練の末やっと副操縦士になって、上の教官や機長は男性ばかりです。
やはり会社にはいろんな人がいるので、女性であることを理由に難癖をつける人もいるようでした。9割以上の人はそうではありませんが、なんであの人はあんなに自己中心的で人に対して心ない行動を取れるんだろう、って人はいます。どこの会社にもいるでしょう。
まあそういう人は相手が男でも女でも心ないことを口にするものですが、日本では副操縦士から機長に昇格するのが非常に厳しいし、そんな中でどういう理由であれ、要職にいる人に難癖を付けられると極端に不利になってしまいます。
各会社において女性のトップバッター達はそんな障害を越えて機長になったのだと思います。
僕の比較的期の近い女性パイロットも色々と苦労をしていて、理解のある上司に相談していたという話を聞いたことがありますが、周りには苦しそうな様子は見せませんでした。本当に、立派だなと思います。そうやって彼女達が通ってきたところが、後に続く人の道になっていきます。
だからこれから女性パイロットになる人たちは、比較的に整備された道を進むのだとは思いますが、まだ嫌な思いをすることがあると思います。
もちろん男であっても嫌な思いをたくさんすることになりますが、それが性別に起因するものであってはならないと思います。
しかし最近は社会全体でその辺は整備されつつあって、上のような行為はいわゆるセクハラと言いますが、今はセクハラは一発アウトです。例えば、何かフライトで下手をしてしまったとして、「だから女は…」という発言は許されません。軽い気持ちで口にしたとしても、非常に厳しい処分を受けます。
だからこの辺も急速に改善されていくと思います。
また同じ女性の先輩、機長がいれば相談できるし、力になってくれると思います。
僕の身勝手な願いですが、まだまだこれからの日本の女性パイロットについて、自分がその道を作っていくんだという気持ちで頑張ってほしいと思います。
最後に家庭について。
これは性別によらず、パイロットという仕事の性質上、家を空けることが多くなります。
会社にもよりますが、月の1/3〜1/2はホテル泊まりです。会社によっては子供が小さいうちは日帰りのフライトスケジュールを組んでくれるところもあるかもしれませんが、そんな余力のない会社も多いと思います。
これは客室乗務員にも同じことが言えるのですが、ANAやJALなどの大手航空会社では組合も強いのでその辺の整備は進んでいますが、パイロットについてはまだどうなんだろう、という印象です。今後改善していくべき課題だと思います。
現状においては、家族の協力やうまく工夫してやりくりするしかないのかなと思います。パイロットと客室乗務員の夫婦で子供が小さい友人がいますが、本当に大変そうです。
また育休、産休については取れます。
僕の同期が男性ですが、育休をとっていました。
ただ、3ヶ月だったかな?
それ以上休んでしまうと、復帰のための訓練と審査が必要になります。これはなかなかキツいのですが、性別に関係なく、お客さんを乗せてフライトする以上技量の維持と確認は必要なことなので仕方がないと思います。
なので産休の場合は復帰審査が必要になると思いますが、どうせパイロットは飛んでいる間は定期審査を受けないといけないので、そう考えるとそこまで大きなデメリットではないのかもしれませんね。
そんなとこですが、関連する質問を下にまとめます。
似たようなことでも、人によって状況はそれぞれ。また僕自身男性だからそこまで力になれるか微妙なとこですが、質問大歓迎です。
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