大学、高校での学部選択についての質問まとめ

2020-05-07

大学での学部選択について、多く相談をいただいています。

航空宇宙工学科に行った方が有利なのか、自分の興味よりも優先させてまで工学部へ進むべきか、または高校での文理選択もどちらがいいのか、など。変わったものでは医学部からパイロット受験することについてもありました。

基本的には僕は自分の興味のあることを思い切り勉強するのが一番だと思っていますが、考えをまとめていきます。

結論としては、文系でも理解でも、工学部でも国際系の学部でも、航空宇宙工学科を選んでも電気電子系の学科を選んでも、どれでもいいと思います。上の中で一番飛行機っぽいのは工学部航空宇宙工学科だと思うし、僕自身そこ出身なのですが、それで有利になるか、というと微妙なとこだと思います。

パイロットの仕事としては当然ながら飛行機の操縦、飛行中のタスクのマネジメント、危機管理が主な仕事になりますが、飛行機の操縦については航空力学を理解しながら身につける必要があります。航空力学は力学を基礎にしているし、力学は物理ですね。

そうすると高校の文理選択で理系を選んで、大学の学部では工学部や理学部の物理系を選んで…と思ってしまうかもしれませんが、そんなことはありません。

パイロットに必要とされるそれらの知識は航空力学の中のほんのわずか一部で、独学でも充分できるし、むしろ各航空会社の座学で初めて学んで充分なくらいだと思います。航空宇宙工学科では航空宇宙工学の柱で説明しているように、基礎としては飛行機の材料やその組み上げ型、流体力学や気体力学、熱力学など様々なことを学びます。そして研究室に配属されると、例えばスクラムジェットエンジンのエンジン内部のくびれがどうなっていればいいのか、なんてことを理論立てて研究したり、風洞を使って実験したりします。

それらは飛行機の開発のために必要とされる知識でパイロットの知識として必要な知識とは重なる部分もありますが、4年間の学生生活の中でそのほとんどは飛行機の操縦を行う上では必要ではありません。

もちろん、例えば航空宇宙工学科を卒業した人にしてみれば航空力学なんかは基本中の基本であり、座学中や学科試験は楽勝だと思いますが、副操縦士としてフライトを始める頃にはだいたいみんなフライトで使う部分に関しては同じくらいの理解になっていると思います。僕自身、そういう感想を持っています。大学で一生懸命勉強したことも、使わないとどんどん忘れていくしね。

学部選択で悩む人は、基本的に自社養成パイロットの試験を考えて悩むのだと思います。
その就職試験において、筆記試験で簡単な算数や物理の問題は出てくるかもしれませんが、航空力学の知識を必要とするような問題は出てこないと思います。

航空宇宙工学科を卒業する人が就職試験時にその学科だけで有利になるとも考えにくいと僕は思います。

事実、航空宇宙工学を専攻していた人が自社養成パイロットの試験に合格者に多いかというと、そんなことはないかなぁという感覚です。実際に同期を思い浮かべてみると、経済学部数人、法学部、航空宇宙工学以外の工学部数人、体育大、政治系、国際系、教育学科、そんな感じです。航空宇宙工学科出身は期に一人か二人くらいかなぁというところでしょうか。そう考えると比較的多いかもしれませんが、他の学科に比べて航空宇宙工学科からは飛行機に興味がある人が多いので、パイロットを志望する人も多いだろうし、割合で考えるとあんまり変わらないんじゃないかなぁという気がします。

つまり理系なり、航空宇宙工学を専攻していたから特別に有利になるということはないのかなと思います。
だから、苦手だけど理系に行った方がいいのかなとか、他に勉強したいことがあるけれどパイロットに有利そうだから航空宇宙工学科を選ぼうかな、というのはもったいないと思います。

高校の文理選択では得意な方へ行って、大学の学部を選ぶ際には自分が勉強したいことを専門にして、思いっきり勉強する。

自社養成においてライバルがたくさんいる中パイロット候補者として選んでもらうには、そういったオリジナリティのある、突き抜けた主体性なり、熱意なり、価値観を持っている人の方が選ばれやすいだろうと思います。もちろん、結果的に自分のやりたいことが航空宇宙工学であり、それでその学科に行けてパイロット受験もするというのは最高かもしれませんが、パイロットになりたいからこうする、というのはあまりにコストパフォーマンスが悪い気がします。

また究極を言えば、それが学問でなくてもいいと思います。

自分のやりたいことを本気でやっている人は顔つきが違って溌剌としているし、その方面の知識も半端ないし、話していても、ああこいつはすごいなとわかるものです。

またそうやって好きなことをやっていれば、他にやりたいことができるかもしれません。
そうなればパイロットと併願して受験することができるし、そうなると試験もリラックスして臨めるかもしれません。言い方は悪いですが、落ちてもまあこっちもやりたいからいいやと割り切ることができれば、むしろ試験では有利に働くのではないかな。また、面接においても自分はこんなことに興味があって一生懸命やってきて、こんな道に進みたいと思っているけど、昔からパイロットに憧れていて、それも捨てきれずに受けにきました。って言われても、そんだけ本気で何かに打ち込んでいる人って魅力的で、ぜひうちの会社に欲しいって思いますよね。

そういうものを見つけて欲しい。

そうやって結果的にパイロットになれるんだったら、より嬉しいと僕は思います。
以下に関連する質問をまとめます。似た質問でも、相談でも、気軽に書き込んでください。

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